レム睡眠とは?レム睡眠の特徴と役割を解説

睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」によるサイクルがあります。

両者は質的に異なる睡眠段階ですが、具体的にどのような特徴や役割があるかわからない方も多いかもしれません。

今回は、睡眠段階のうちレム睡眠の概要・特徴・役割を解説します。ぜひ、自分の睡眠サイクルを見直す際の参考にしてください。

1.レム睡眠とは?

睡眠は、質的に異なる「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」から成り立ち、一晩では睡眠の20~25%程度をレム睡眠が占めます。レム睡眠は、ノンレム睡眠よりも夢を見やすい睡眠段階です。

通常の睡眠では、ノンレム睡眠のうち「徐波睡眠」と呼ばれる深い睡眠段階を過ぎたあとに、レム睡眠が訪れます。健康な成人の場合、レム睡眠が訪れる周期の目安は90~120分ごとで、そのたびに5~30分ほど続くのが一般的です。このレム睡眠の持続時間は、朝の覚醒が近づくにつれ、長くなります。

レム睡眠時は、体は寝ていても脳波は比較的活発に活動しているため、ノンレム睡眠と覚醒の中間状態といえるでしょう。それに対し、ノンレム睡眠時は脳波の活動が低下するため、周波数が遅くなります。

2.レム睡眠の特徴

レム睡眠という名前は、英語の「Rapid Eye Movements(REMs)」の頭文字から取って呼ばれています。これは、急速眼球運動(睡眠中に眼球が素早く動くこと)を意味し、レム睡眠の代表的な特徴の一つです。

ノンレム睡眠の場合、浅い睡眠段階ではゆっくりとした眼球運動が現れますが、深い睡眠段階になると、眼球運動は現れません。

また、レム睡眠では姿勢筋や抗重力筋など、体の姿勢を維持する筋肉があまり緊張しない状態になります。脳は起きている一方で、体の筋肉はゆるんでいるため、レム睡眠は「体の睡眠」と表現されることがあるのです。

その他のレム睡眠の特徴として、呼吸・脈拍・血圧などの機能が不規則に変化すること、感覚刺激を与えても目覚めにくいことが挙げられます。

3.レム睡眠の役割

睡眠は、起きて活動している間に蓄積した疲労やストレスから、体を回復させるうえで欠かせません。なかでもレム睡眠では、全身の筋肉がほぼ緊張しない状態になるため、エネルギーの節約と体を休息させる役割があるといえるでしょう。

前述したように、一晩の睡眠の20~25%程度をレム睡眠が占めますが、新生児はその割合が50%にもおよぶのが特徴です。年齢を重ねるにつれてレム睡眠の割合が減少することから、レム睡眠は中枢神経系の発達に関与しているともいわれています。

また、起きている間の学習量が多かった日は、就寝時のレム睡眠の割合が増加します。このことから、レム睡眠は記憶の固定・消去などの情報処理に関しても、重要な役割を持つと考えられるでしょう。

前述したように、レム睡眠時の脳波活動は比較的活発なうえに、脈拍や血圧も変動するため、レム睡眠は心身を覚醒させるための準備も担っています。

健康のために睡眠時間をしっかりと確保しよう

急速眼球運動や筋肉のゆるみなどが特徴として現れるレム睡眠には、体の休息・中枢神経系の発達・記憶の情報処理・心身の覚醒などの役割があります。昼間の疲労やストレスから体を回復させるには、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが欠かせません。

したがって、健康のためには睡眠時間をしっかりと確保することが大切だといえるでしょう。

ただし、個人が必要とする睡眠時間は、年齢・生活スタイル・体質などによって異なります。日中の眠気を参考に少しずつ睡眠時間を変えてみて、自分に適した睡眠時間を見つけましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。