目次
1.マグネシウムとは
マグネシウムは、古代ギリシアのマグネシアという地域で採掘されたことから、その名前が付けられました。
体内で起こる300種類以上もの酵素反応やエネルギー産生をサポートするミネラルで、カルシウムとの関係性も深いため、骨や歯の形成にも欠かせません。人間の体内に存在するマグネシウムは約25gで、そのうち50~60%は骨に分布しています。
マグネシウムは、健康を維持するために必要なミネラルの一種です。不足すると、体にさまざまな悪影響をおよぼす可能性があります。
この記事では、マグネシウムの働きや摂取量の基準、マグネシウムを含む食品などを解説します。
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マグネシウムは、古代ギリシアのマグネシアという地域で採掘されたことから、その名前が付けられました。
体内で起こる300種類以上もの酵素反応やエネルギー産生をサポートするミネラルで、カルシウムとの関係性も深いため、骨や歯の形成にも欠かせません。人間の体内に存在するマグネシウムは約25gで、そのうち50~60%は骨に分布しています。
マグネシウムは血清中に1.8~2.3 mg/dLの濃度で維持され、体のさまざまな機能に利用される物質です。ここでは、マグネシウムの具体的な働きを解説します。
酵素は体内でのさまざまな反応に関与しています。マグネシウムは300種類以上の酵素反応において補酵素として働いています。そのため、マグネシウムが不足すると体内の酵素反応がスムーズに行なわれず、健康を損なう可能性があるでしょう。
骨は、カルシウムだけでなく、マグネシウムやリンなどによっても構成されています。マグネシウムは、骨の弾性や密度の維持に関与しているため、不足すると骨折などのリスクが高まるでしょう。
マグネシウムは、ホルモン分泌を促す働きがあります。例えば、骨の代謝を制御する副甲状腺ホルモンの濃度が適正であることは、骨量の減少を抑え、骨の健康維持に役立ちます。
筋肉は収縮したり、弛緩したりすることで動くもので、マグネシウムには筋肉を収縮させる働きがあります。
マグネシウムの一日摂取目安量は下表のとおりです。
性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
年齢など | 推奨量 (mg/日) | 推奨量 (mg/日) |
0~5ヵ月 | 20※ | 20※ |
6~11ヵ月 | 60※ | 60※ |
1~2歳 | 70 | 70 |
3~5歳 | 100 | 100 |
6~7歳 | 130 | 130 |
8~9歳 | 170 | 160 |
10~11歳 | 210 | 220 |
12~14歳 | 290 | 290 |
15~17歳 | 360 | 310 |
18~29歳 | 340 | 270 |
30~49歳 | 370 | 290 |
50~64歳 | 370 | 290 |
65~74歳 | 350 | 280 |
75歳以上 | 320 | 260 |
妊婦(付加量) | ─ | +40 |
授乳婦(付加量) | ─ | +0 |
※1歳未満は目安量
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2019年の国民健康・栄養調査によると、マグネシウムの平均摂取量は男性で261mg/日、女性で235mg/日と報告されており、成人の摂取推奨量と比較すると不足傾向にあります。
マグネシウムは、通常の食事では過剰摂取を起こしづらいとされています。マグネシウムのサプリメントなどを過剰摂取した場合は、腸からの吸収が抑えられ下痢や軟便になりますが、この作用を活かして便秘に対する医薬品として用いられることも珍しくありません。
もし、マグネシウムが体内に過剰に吸収された場合でも、尿と一緒に排泄されるので下痢・軟便以外の症状が起こることはほぼないでしょう。
しかし、腎機能が低下している場合には体内からマグネシウムをうまく排泄できない可能性があります。
マグネシウムは、さまざまな食品に含まれています。ここでは、マグネシウムが豊富に含まれる食品を、植物性食品と動物性食品に分けて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
食品名 | 1食あたりの重量(g) | マグネシウム含有量(mg) | |
---|---|---|---|
1食あたり | 100gあたり | ||
絹ごし豆腐 | 150 | 75 | 50 |
そば(ゆで) | 200 | 54 | 27 |
アーモンド(フライ味付け) | 15 | 41 | 270 |
ほうれん草 (ゆで) | 80 | 32 | 40 |
バナナ | 100 | 32 | 32 |
(文部科学省「食品成分データベース」をもとに作成)
食品名 | 1食あたりの重量(g) | マグネシウム含有量(mg) | |
---|---|---|---|
1食あたり | 100gあたり | ||
ほたてがい | 100 | 59 | 59 |
かつお (生) | 80 | 34 | 42 |
くろまぐろ(赤身) | 70 | 32 | 45 |
するめいか | 60 | 28 | 46 |
さば缶詰(みそ煮) | 90 | 26 | 29 |
(文部科学省「食品成分データベース」をもとに作成)
マグネシウムは骨を構成する成分の一つであるため、不足すると骨折のリスクが高まります。また、体内で起こる代謝反応やエネルギー産生の補酵素としても働いており、神経伝達や筋肉収縮、ホルモン分泌などにも影響を与える物質です。
マグネシウムは、幅広い食品に含まれるため、通常の食生活ではマグネシウム欠乏による症状がみられることはほとんどありません。
マグネシウムは、体内の健康を維持するために重要な役割を果たしていますので、日ごろの食生活から意識してみるのもいかがでしょうか。
氏名:松繁 治(まつしげ・おさむ)
2009年から整形外科医として病院に勤務。 現在はおもに整形外科中心に外来業務・手術業務などにあたる。 専門は脊椎手術・脊椎内視鏡手術など。
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