大臀筋とは?
鍛えるメリットや高齢者でもできるトレーニング方法を紹介

年齢を重ねると、次第に全身の筋肉が減少していきます。20~30代頃から筋肉の減少が始まるため、要注意です。

高齢になるにつれて筋肉量が減ることを特にサルコペニアといい、歩行困難になるケースもあることから問題視されています。サルコペニアを予防するためには、日常生活に大きな影響を与える筋肉の一つでもある大臀筋(だいでんきん)が重要になります。

今回は、大臀筋を鍛えるメリットや、高齢者でもできるトレーニング方法を紹介します。

1.大臀筋とは

大臀筋とは、お尻にある筋肉のことです。太ももを後ろに振るときに大臀筋が必要になります。立ったり歩いたり、姿勢を維持したりするのに必要な筋肉です。

QOL(生活の質)を大きく左右するため、大臀筋を鍛えるトレーニングを行なうことが非常に重要だといわれています。高齢になると、徐々に筋肉が減少していくサルコペニアになるため、注意しましょう。

はっきりとしたメカニズムはわかっていませんが、体を動かす量が減ることでサルコペニアになると考えられています。大臀筋や広背筋、腹筋などでサルコペニアがよく見られ、何も対処せず放置しておくと歩けなくなることも少なくありません。

意外かもしれませんが、私たちの筋肉は20代をピークに毎年約1%ずつ減少していきます。徐々に筋肉が減るスピードは増えていき、70代では年に約2%、80代では年に約3%ずつ減少するため足腰の筋肉の衰えには注意しなければなりません。

2.大臀筋を鍛えるメリット

大臀筋を鍛えるメリットは、おもに次の2つです。

  • ・立ったり歩いたりなどの動作をするための体幹が鍛えられる

  • ・強い足腰を作ることで日常生活の質が上がる

大臀筋は、日常生活を送るうえで基盤となる筋肉として知られています。若いうちは、筋力不足が気になることは少ないかもしれません。しかし、歳を重ねるにつれて徐々に筋肉が減少していくため、日頃から大臀筋を含め日常生活を送る基盤となる筋肉を鍛えておくことが大切です。

筋力が衰えてサルコペニアになると、歩くことすら難しくなることがあります。「高齢になると足から弱っていく」といわれることがあるように、足腰の強度は体だけでなく人生を支えていくためにも重要です。

3.大臀筋のストレッチやトレーニング

「筋肉を鍛える」と聞くと難しく感じる方が多いかもしれませんが、実は特別な道具を使うことなく誰でも簡単に鍛えられます。
ジムに通う必要もなく、「歳だから……」と年齢で諦める必要もありません。筋肉は何歳になっても鍛えることができます。

ここからは、筋肉の衰えが気になる方が今日からでも始められるストレッチや筋トレを紹介します。ぜひチャレンジしてみてください。

3-1.大臀筋周辺のストレッチ

まずは、大臀筋の周りを伸ばすストレッチの方法を見ていきましょう。

〈腰痛改善にもつながるストレッチ〉

  • 1. 足を腰幅に開いて立ちます。

  • 2. 背筋を伸ばしたまま両手を太ももの上に置き、上体を前に45度ほど倒してください。

  • 3. そのまま両膝をゆっくり曲げてお尻を後方に突き出します。

  • 4. できる範囲で膝を曲げて腰を落としてください。

〈足の疲れを取るのにも効果的なストレッチ〉

  • 1. 椅子に両手を着いて立ちます。

  • 2. 片足をもう片方の膝の上にのせてください。

  • 3. この状態でお尻を後ろへ突き出すように腰をおとします。

  • 4. 20~30秒ストレッチをしたら、反対の足も同様に行なってください。

3-2.高齢者でもできる大臀筋の筋トレ

次は、大臀筋を鍛えられる簡単な筋トレとして知られている、スクワットのやり方を紹介します。スクワットは大臀筋のみならず、下半身全体を鍛えるのに適しています。

軽い負荷で筋肥大をしていくためにも、ゆっくりとした動作で行なうスロートレーニングを意識してみましょう。

〈スクワット(空気椅子)〉

  • 1. 椅子に座る要領で3~5秒かけて空間に腰をおろします。

  • 2. 3~5秒かけて元の体勢に戻していきます。

余裕がある方は、立ち上がり切る前に再び腰をおろすようにスクワットをすると、より効果的に大臀筋を鍛えることができます。

しゃがんだり立ったりを繰り返すだけの動作ですが、大臀筋を鍛えるためには上体を前に倒してお尻を後ろに突き出したフォームで行なうのが効果的です。

大臀筋を鍛えて健康に過ごそう

大臀筋は、私たちの普段の動作を支えている大切な筋肉です。筋力が衰えることにより歩くことが困難になることもあるため、日頃から大臀筋を鍛えるよう意識することが大切です。

筋力は、20代や30代から少しずつ衰えていきます。ストレッチやスクワットを行ない、早いうちから大臀筋のトレーニングを始めましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医