1.口臭の原因とは?
口臭の原因には、おもに次の5つが考えられます。
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1. 舌苔
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2. 歯垢(プラーク)
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3. 歯周病
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4. 口呼吸
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5. ドライマウス
口臭のほとんどを占めるのは、口の中に住んでいる嫌気性菌が、唾液や食べ物などにある含硫アミノ酸などを分解して、腐ったときに生まれる気体(揮発性硫黄化合物)です。口臭となる揮発性硫黄化合物の産生部位は複数ありますが、おもに歯周病と舌苔が原因の大部分を占めています。
歯垢(プラーク)は、歯に付いている白く粘り気のある細菌の塊です。これらの細菌は、強い臭いを発するガスを生み、口臭となります。
ドライマウスとは、唾液が通常より減少し乾燥している状態で、「口腔乾燥症」とも呼ばれる現象です。
唾液にはさまざまな働きがあり、食べ物を食べるときは、唾液に含まれるアミラーゼがでんぷん質を麦芽糖に変えて吸収しやすいようにします。口内の食べかすを洗い流すのも唾液の役割です。さらに口の中を中性に保ち、歯に含まれるカルシウムが流出するのを防止し、歯の表面の修復(再石灰化)も行ないます。また、殺菌や止血の作用もあります。
ドライマウスは、そのような重要な役割をしている唾液が極端に少ないため、歯に歯垢が付きやすくなり、虫歯の原因になります。また、服用中の薬の影響やストレスが交感神経を刺激することなどで、唾液の量が減少することも原因の一つです。
口呼吸によって口内が乾き、ドライマウスになるケースもあります。
2.自分の口臭が気になる人の割合
自分の口臭が気になる方は、どの程度いるのでしょうか。
厚生労働省が行なった『平成28年歯科疾患実態調査』の結果によると、全体の9.6%の人が「口臭がある」と回答しています。
実は、嗅覚はいつも嗅いでいる臭いには順応してしまい、客観的に認識しにくくなります。そのため、口臭が強い場合でも、自分では気付かないということが起こりうるのです。
3.口臭の予防と対策方法とは?
口臭の原因がわかったところで、ここからは口臭の予防と対策方法について紹介します。
3-1.口臭の予防・対策方法について
口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(VSC)は、舌の上で最も多く生産されています。そのため口臭予防には、歯磨きはもちろんのこと、舌の表面をきれいにして、舌苔を除去することが有効です。
舌苔は、起床時や食事をしなかったときに多くなる傾向があります。そのため、舌を掃除するタイミングは、起床直後がおすすめです。
また口臭は、口内の汚れだけではなく、病気が原因で発生している場合もあります。
口臭の原因となる有名な病気は、歯周病です。歯周病の原因となる嫌気性菌は、口臭の原因でもある揮発性硫黄化合物(VSC)を作る細菌であります。歯周病のほかにも虫歯や口内にできた潰瘍などで口臭が発生しますが、これらは痛みがともないます。
歯周病はほとんど痛みがないため、自覚がないのにいきなり口臭を指摘されたら、歯科で歯周病の検査をし、治療すると改善するでしょう。
3-2.舌掃除の方法について
ここでは、舌の上の舌苔を掃除する方法について解説します。
まず、舌用ブラシや毛先のやわらかい歯ブラシなどを用意しましょう。手順は次のとおりです。
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1. 鏡を見ながら、舌がしっかり見えるように舌を前に出して、舌の後ろ側に舌苔がついていないか確認します。
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2. 見える範囲の一番奥に歯ブラシを置き、軽く押しあてるように手前に引きます。このとき、強く力を込めないように注意が必要です。
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3. どうしてもえづいて吐きそうになってしまう方は、ブラシを手前に引くタイミングで数秒間息を止めると、吐きそうになるのを防げます。
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4. ブラシを水できれいに洗って、舌苔の汚れがなくなるまで繰り返したら終了です。
舌の掃除は、やり過ぎると粘膜を傷つける可能性があるため、一日1回起床時だけで問題ありません。また、もし傷や潰瘍など異常がある場合は、舌掃除は中止しましょう。
口臭の原因は舌苔
口臭にはさまざまな原因があります。しかし、そのほとんどが舌の上についた舌苔です。
舌苔の除去には、専用の舌ブラシが効果的です。起床時に1回舌掃除を行なうことで、口内を必要以上に傷つけずに舌の上を清潔に保つことができます。
口臭の原因は舌苔以外にもあるので、口臭の原因をしっかり理解し予防・対策を行ないましょう。
監修者情報
氏名:福田尚美(ふくだ・なおみ)
歯科医師臨床研修終了後、審美歯科・ホワイトニング専門医院に勤務。現在は一般歯科・小児歯科非常勤勤務のかたわら歯科医師としての知識と経験を生かし、歯科医師webライター、歯科企業やオンラインセミナーのサポートなども行なっている。