善玉菌とは?不足した際の現象や増やす方法を解説

体に良い作用を与えるとされる善玉菌は、免疫やコレステロール値に深い関わりがあります。

今回の記事では善玉菌の種類や働きを解説し、善玉菌を増やす2つの方法と効果的な食品を紹介します。

1.善玉菌とは?

いわゆる善玉菌とは、腸内細菌のうちの一つです。そもそも腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3タイプがあります。善玉菌は体に良い作用を与える菌、悪玉菌は体に悪い作用をおよぼす菌、そして日和見菌は状況に応じて善玉菌もしくは悪玉菌になりうる菌です。

これら3タイプの菌が、菌の種類ごとに集合して腸壁に存在する状態を、品種ごとに咲く花畑(フローラ)に見立てて「腸内フローラ」と呼びます。腸内フローラには理想的なバランスがあるとされ、善玉菌:悪玉菌:日和見菌のバランスが2:1:7となるのが良いとされています。

人間の健康に役立つおもな善玉菌として、乳酸菌やビフィズス菌などが挙げられます。善玉菌はさまざまな健康への効果が期待されており、近頃では免疫機能を整える働きが注目を集めています。

2.善玉菌の働き

善玉菌のおもな働きは次のとおりです。

  • ・腸を酸性に保つ

  • ・食中毒を起こすような菌への感染予防

  • ・ビタミンB1やB2、葉酸などの産生

  • ・免疫機能を整える

  • ・コレステロール値を下げる など

体の外から入ってくる食中毒菌などは酸性環境下では死滅するため、食中毒予防に効果的です。このほかにも、ビタミン類の産生やコレステロール低下、免疫機能のサポートなど重要な役割を担っています。

毎日を健康に過ごすためには、腸内の善玉菌を理想的なバランスに保つことが大切です。

3.善玉菌を増やす方法

健康のためには善玉菌が占める割合を維持することが重要ですが、善玉菌を増やす方法は大きく分けて2通りあります。それぞれの特徴と、効果的な食品について見ていきましょう。

3-1.「プロバイオティクス」を直接摂取する

プロバイオティクスとは善玉菌そのものを食品から直接摂取する方法です。ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を食べることで、外から善玉菌を補給します。

プロバイオティクスで重要なのは、毎日続けて食べることです。外から取り込んだ善玉菌は腸内に長く住み続けられないため、補充し続けなければいけません。なお、生きたままの善玉菌が大腸まで到達しなければいけないと考えられがちですが、死んでしまった菌であっても有効で、善玉菌の体を作るサポートをします。

3-2.「プレバイオティクス」を摂取する

プレバイオティクスとは、腸内にもとから住んでいる善玉菌に炭水化物の「エサ」を与えて増やす方法です。善玉菌が好きな「エサ」は食物繊維やオリゴ糖で、これらは野菜や果物、豆などに多く含まれています。

食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、不溶性食物繊維は豆、水溶性食物繊維はきのこやこんにゃくなどに含まれます。オリゴ糖は、大豆やたまねぎ、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナといった食品から摂取可能です。

オリゴ糖を摂取するためには、これらの食品を積極的に毎日の食事に取り入れるほか、市販されているオリゴ糖製品を利用するのもよいでしょう。ただし、急にオリゴ糖の摂取量が増えると、消化不良でなかには下痢やおなかの張りをきたす人もいます。

下痢やおなかの張りを感じる場合は、それぞれの製品で推奨されている1回量を数回に分けて摂取したり、少量から始めて徐々に増やしたりするのがおすすめです。腸内細菌にオリゴ糖を少しずつ慣れさせていきましょう。

善玉菌を増やして健康を目指そう

善玉菌にはビタミン類の産生や免疫機能、コレステロール低下をサポートする働きがあります。健康のためには、腸内フローラにおける善玉菌のバランスの維持が重要です。

プレバイオティクスとプロバイオティクスを毎日の食生活に取り入れて、健康を目指しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。