ストレスは過食の原因になる?症状を緩和する方法について

ストレスは日常生活で気軽に使われている言葉ですが、ストレスの影響で疲れが出たり痛みを感じたり、私たちの体にはさまざまな反応が起こります。

今回はストレスと過食の関係、ストレスを緩和させる方法について説明します。

1.過度なストレスは過食の原因の一つ

ストレスによってさまざまな反応が体に現れますが、過食もそのうちの一つです。ここではストレスとはどのようなものか、ストレスにより体に生じる反応について説明します。

1-1.ストレスとは

ストレスとは、外部からの刺激で体に起こる反応のことです。ストレスのもととなる外的刺激のことをストレッサーといい、ストレッサーによって生じる心や体の反応とを合わせてストレスと呼ばれることもあります。

1-2.ストレスでみられる症状

ストレッサーには、心理面・行動面・身体面に現れるものなどさまざまな種類があります。具体的には、寒暖差や有害物質による刺激といった物理的なもの、病気や睡眠不足などの生理的なもの、家庭環境や職場の人間関係などから受ける緊張・恐怖といった社会的なものが挙げられます。

ストレスによる過食とは、このようなストレッサーにより行動面に出るストレス反応のことです。過食以外に行動面・心理面・身体面でみられるおもなストレス反応は、以下のとおりです。

<行動面でみられるおもなストレス反応>

  • ・拒食

  • ・攻撃的な行動

  • ・引きこもり

  • ・物事に消極的になる

  • ・泣く

  • ・幼児返り

  • ・身なりに気を使わなくなる

  • ・落ち着かない

  • ・ミスが多くなる

<心理面でみられるおもなストレス反応>

  • ・不安やイライラ

  • ・元気がなくなる

  • ・悲しみ

  • ・緊張

  • ・無気力

  • ・落ち込む

  • ・思考力・集中力・判断力の低下

  • ・短期記憶力の低下

<身体面でみられるおもなストレス反応>

  • ・関節痛

  • ・頭痛・腹痛・腰痛

  • ・肩こり

  • ・動悸や息切れ

  • ・体の疲労感や目の疲れ

  • ・食欲の低下

  • ・胃痛・便秘・下痢などの胃腸の症状

  • ・めまい

  • ・血圧の上昇

  • ・睡眠の障害

2.ストレスによる現象を緩和する方法について

ストレスによる症状を和らげる方法を紹介します。

2-1.軽めの運動をする

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」によると、運動はストレス解消や気分転換など、精神面において良い影響があるといわれています。運動によって心身をリラックスさせ、睡眠リズム改善なども期待できます。

運動には、有酸素運動(エアロビクス)が良いとされています。有酸素運動は、酸素を取り込みながら体内の脂質や糖質を使いつつ、筋肉への負荷が比較的軽い動きのことです。

具体的にはウォーキングやエアロビクスダンス、体操、太極拳、水泳やアクアウォーキング、ジョギングやハイキングなどがよいでしょう。

いずれも一度にたくさん運動するというよりも、1回20分ほどを目安に、軽く汗ばむくらいの運動を継続して行なうことが大切です。

2-2.十分な睡眠時間を確保する

ストレスへの抵抗力をつけるためには、睡眠をとることも大切です。

睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモンであるレプチンが分泌されにくくなり、食欲を増大するホルモンであるグレリンの分泌が増えます。結果的に食べ過ぎにつながるため、寝不足には注意が必要です。

ただし、就寝時間にはこだわり過ぎずに、自分に合う時間で十分な睡眠や、同じような時間に食事をとるなど、規則正しい生活を送ることが大切です。

朝のうちに日光を浴びる、寝室の環境を整える、寝る前のカフェイン摂取や喫煙などを避けるといったことも睡眠に良い影響があります。

就寝前には、背伸びや腰をひねるといったストレッチをすることもよいでしょう。心身がほぐれて寝付きが良くなり、より睡眠の質を上げるために効果的です。

2-3.自分の時間を持つ

趣味に向き合うと、ストレス解消になることもわかっています。

テレビや映画などを観る、買い物をする、友人や家族と話す、体を動かすなど、人によってさまざまですが、自分に合う趣味を見つけるとストレス解消によいでしょう。

ストレス解消のために趣味を探すより、興味のあることや前から気になっていたことに挑戦していたら結果的にストレス解消につながっていた、ということが理想的です。

仕事終わりや休日などは、心身ともにリラックスすることを心がけましょう。

ストレスは過食のもと、適切なケアを

人間の体は、ストレス反応によりさまざまな症状を起こします。過食はそのうち身体面に出る症状の一つです。

軽い運動を継続的にしたり、十分な睡眠をとったり、自分の時間を持つなど、普段の生活に取り入れられる範囲で適切にストレスを解消し、健康的な生活を送りましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。