1.寝汗と自律神経の関係
まずは寝汗と自律神経の関係を解説します。
1-1.そもそも自律神経とは
神経は大きく分けて、脳や脊髄にある中枢神経、体に存在にする末梢神経の2つが存在します。「自律神経」は末梢神経に分類され、自分自身の意思によって体を動かすための「体性神経」に対して、意思と関係なく刺激に反応して体の機能を調整する役割を担っています。自律神経は体を活発に動かすために働く交感神経と、休めるために働く副交感神経から成り立っています。
私たちの体は交感神経と副交感神経がバランス良く働くことによって調節されています。しかし、不規則な生活や過度なストレス、更年期障害などのホルモンの乱れなどによって交感神経が活発になりすぎると自律神経のバランスが崩れ、以下のようなさまざまな不調をきたします。
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・不眠
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・疲労
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・動悸
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・息切れ
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・立ちくらみ
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・便秘
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・下痢
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・怒りっぽくなる
1-2.自律神経が乱れると寝汗が増える理由
自律神経が乱れると、寝汗が増える場合があります。汗は体温調節のためにかくので、寝ているときに発汗することは自然なことです。しかし、過度なストレスやホルモン分泌の乱れなどで自律神経が乱れたときには、のぼせやほてり、発汗といった症状がみられることがあります。
また、季節的な観点からは、秋バテにより寝汗をよくかいてしまうこともあります。夏の暑さを乗り切れたとしても、冷たい食事や冷房と外気温の差によって自律神経が乱れることがあるでしょう。
2.自律神経を整えるためのポイント
自律神経を整えるためには、ストレスのコントロールと十分な睡眠をとることが大切です。そのためにまず、早寝早起きをして朝の生活習慣を整えましょう。
職場の環境が変わる春先や、生活で変化が起こると自覚がないままにストレスを感じていることがあります。このようなストレスが自律神経の乱れにつながります。こまめに解消するためにも、早寝早起きをして規則正しい生活を送ることが大切です。
睡眠にはメラトニンというホルモンの分泌が影響しているため、朝起きたらカーテンを開けたり外を歩いたりして、太陽の光を浴びるようにしましょう。私たちの体は、陽の光を浴びることで、朝や日中はメラトニンの分泌が抑制され、陽が沈む夜になるとメラトニンが分泌されて眠りやすくなります。
また、眠る前にスマートフォンやパソコンの画面を見てしまうと、メラトニンが分泌されにくくなるため注意してください。就寝前にカフェイン・ニコチン・寝酒を控えることも、良い睡眠につながります。
その他、快眠のためにできることとしては、運動や入浴を心がけるとよいでしょう。
習慣的に運動をする人には不眠が少ないことがわかっており、軽いジョギングや散歩などの有酸素運動をすることで、寝付きの良い、深い睡眠を得られます。一方で、激しい運動は目を覚まさせてしまうため注意が必要です。
入浴については、就寝の2~3時間前にお風呂に浸かると寝付きが良くなります。目安としては38~39度くらいのぬるいお湯なら30分程度、42度の熱いお湯なら5分ほどの入浴がおすすめです。
入浴も運動と同じく、一時的に体を温める効果があります。どちらも負荷・時間・温度を意識して行なうことで、睡眠に良い影響が期待できます。
寝汗が気になるときは自律神経の乱れが隠れているかも
自律神経とは、交感神経と副交感神経の2種類があります。活動しているときは交感神経が、休むときは副交感神経が働いており、何らかの理由でこのバランスが崩れるとさまざまな症状が現れます。
寝汗との関係については、自律神経が体温調節にも関与していることが挙げられます。自律神経の乱れがほてりや発汗につながり、寝汗をかくことにも影響してしまうのです。
自律神経を整えるためには、生活習慣を改善してストレスをコントロールすることが大切です。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。