2型糖尿病とは?
おもな原因や合併症、糖尿病予防のポイントを解説

健康的な人は、食事によって糖分を摂取すると一時的に血糖値が上昇するものの、インスリンの働きで次第に下がるのが正常です。

しかし、インスリンの分泌量や働きが十分でない場合、血糖値が高い状態が続きます。このような状態になるのが、糖尿病です。

本記事では、糖尿病のなかでも日本人に多い「2型糖尿病」について、原因や合併症、予防法を解説します。

1.2型糖尿病とは?

糖尿病は、日本人の4人に1人は糖尿病か予備軍といわれるほど、身近な疾患です。

糖尿病には、1型と2型があります。1型糖尿病は、インスリンの分泌が極端に少ないのが特徴です。原因ははっきりとわかっていませんが、自己免疫が発症に関わると考えられています。1型糖尿病の場合、インスリンを使って血糖値をコントロールする必要があります。

一方、日本人に多く見られるのが2型糖尿病です。2型糖尿病の原因は、インスリンの作用低下にあります。遺伝による影響もあるものの、多くは食べすぎ・太りすぎ・ストレス・運動不足などの生活習慣によるものです。

このような生活習慣は、インスリンの分泌を妨げたりインスリンを受け取る細胞の感度を低下させたりして、血糖値が高い状態を慢性化させます。

2.2型糖尿病のおもな原因

2型糖尿病のおもな原因は、次のとおりです。

  • ・食べすぎ

  • ・肥満

  • ・運動不足

  • ・ストレス

  • ・喫煙

  • ・遺伝的なもの

生活習慣の乱れがインスリンの働きを阻害します。

また、家族に糖尿病の方がいる場合、そうではないケースよりも発症の可能性は高いでしょう。

3.2型糖尿病の合併症について

糖尿病を恐ろしい疾患だと考えている方もいるかもしれませんが、恐ろしいのは糖尿病そのものではなく、悪化した際に引き起こされる合併症です。

高血糖状態が続いて細い血管の血流を阻害することで引き起こされる合併症は、おもに以下の3つの臓器です。

  • ・糖尿病性腎症

  • ・糖尿病性網膜症

  • ・糖尿病性神経障害

糖尿病性腎症は、高い血糖が続くことで腎臓の機能が低下する状態で、むくみのほかに、タンパク質が尿に多量に混ざるタンパク尿が現れます。

糖尿病性網膜症は、眼底に通っている血管に障害が起きて視力が低下する疾患です。最悪の場合、失明します。実際に、糖尿病性網膜症は日本の失明原因の上位にあるとされています。

そして糖尿病性神経障害は、高血糖の状態により血流が悪化して神経細胞に栄養が行き届きにくくなったり、神経細胞が変化したりして起こる神経障害です。

障害を受ける末梢神経によって、現れる現象が異なります。運動神経の場合は足の変形や筋肉の収縮、感覚神経の場合は足先がしびれたり、足の裏に砂利を踏んだような異常な感覚があったりします。また、自律神経の場合は、便秘や下痢、発汗異常、排尿障害などが現れます。

4.2型糖尿病の予防には生活習慣の見直しがポイント

2型糖尿病を予防するためには、生活習慣の見直しが大切です。ここでは、2型糖尿病を予防するための生活習慣の見直しポイントを、2つ紹介します。

4-1.食生活のポイント

まずは食生活を見直しましょう。

例えば、以下の点を意識してみてください。

  • ・早食いや過食をしない

  • ・毎食規則正しく食べて欠食しない

  • ・塩分を摂りすぎない

  • ・野菜から食べる

  • ・飲酒は節度ある適度な量にする

  • ・食物繊維が豊富や野菜や果物を摂る

  • ・コレステロールを多く含む食品は控える

上記を意識しつつ、さまざまな栄養素が適度に摂れるバランスの良い献立を心がけましょう。

4-2.日常生活のポイント

食事以外に、日常生活での注意点があります。おもに、次の3点を意識しましょう。

  • ・適度に運動をする

  • ・禁煙をする

  • ・ストレスを発散する

有酸素運動や筋力トレーニングは、インスリンの働きを促し、血糖値を下げるために効果的な運動です。少しきつく感じる程度の有酸素運動を取り入れることが、推奨されています。有酸素運動と筋力トレーニングを上手に組み合わせると、より効果的でしょう。

普段運動をしない方は、きちんと準備運動を行ない、軽めの運動から始めることが大切です。

また、合併症やその他の疾患を持っている方は、医師と相談してから運動してください。

2型糖尿病の予防は生活習慣の見直しが大切

2型糖尿病は日本人に多い糖尿病で、遺伝的な要因に加えて生活習慣が深く関係しています。そのため、2型糖尿病を予防するには、生活習慣の見直しが大切です。

食生活においては、バランスの取れた健康的な献立と、一日3食の規則正しい食事を意識しましょう。さらに、適度な運動や禁煙、ストレス発散を行ない、心身を健やかな状態にすることも重要です。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。