虫歯の予防方法を紹介
虫歯ができる仕組みや原因についても解説

人生で一度は虫歯になったことがあるという人は多いでしょう。虫歯は世界で一番多い疾患といわれ、日本でも治療をしていない虫歯のある人が多くいます。

歯磨きを毎日していたとしても、虫歯が発生するのはなぜでしょうか。

今回は、虫歯ができる原因や予防方法について解説します。

1.なぜ虫歯になるのか?

虫歯になってしまう要因は何でしょうか。まずは虫歯が発生するメカニズムと原因について解説します。

1-1.虫歯ができるメカニズム

私たちの口の中には常に細菌が存在し、なかには虫歯や歯周病の要因となる菌も含まれています。この細菌が食べ物や飲み物に含まれている糖分をもとに酸を作り出し、これが歯を溶かす要因となり虫歯が生じうるのです。

虫歯の多くは、歯間や奥歯の溝から発生します。なかでも溝に存在する細菌は、歯磨きだけでは取り除くことが難しいといわれています。

1-2.虫歯の原因

虫歯は酸を作り出す「細菌」「糖分」「歯の質」の3つの良くない条件が重なり、さらに時間が経過すると発生します。3つの条件について詳しく見ていきましょう。

  • 細菌

    虫歯の要因となる菌としては、「ミュータンス菌」がよく知られています。この細菌とほかの細菌は、歯の表面に存在する食べ物の残りカスなどに入り込み、歯垢(プラーク)を生成します。プラークに含まれている細菌が酸を作り出すことで歯の表面が溶かされ、虫歯となるのです。

  • 糖分

    口の中に存在する糖分は細菌によって分解され、歯の表面に付着します。これが歯を溶かす酸を生成する原因にもなります。

    さまざまな調査によって、食べ物に含まれる砂糖の量と虫歯になる人の増加には関係があることが示唆されているため、なるべく糖分を控えることは虫歯予防になるでしょう。

  • 歯の質

    毎日しっかり歯磨きをしているのに虫歯ができてしまう人もいれば、それほど歯を磨かなくとも虫歯ができにくい人もいます。これは、一人ひとりの歯の質によって、虫歯のなりやすさに違いが生じうるためと考えられています。

この「細菌」「糖分」「歯の質」が重なることで、はじめて虫歯が発生します。また、口の中の清掃が不十分であることも、虫歯の発生リスクを高めるのです。

2.虫歯の予防方法

ここからは、虫歯を予防するための具体的な方法をお伝えします。

2-1.食後に歯磨きをする

虫歯予防には、原因となるプラークをしっかり取り除くことが大切です。そのためには歯磨きを習慣にしましょう。歯に付いているプラークの付着力はかなり強いため、うがいだけでは取り除くことが難しく、歯ブラシを使ってこすり取る必要があります。

歯磨きを行なう理想のタイミングは「食べたらすぐ」です。食事をすると食べ物に含まれている糖分がプラーク中の細菌に取り込まれ、酸を生成し始めるからです。

ただし、毎回食べたあとにすぐ歯磨きをすることは難しい人も多いでしょう。現実的な歯磨きのタイミングとしては、朝食のあと・昼食のあと、または間食後・就寝前に歯磨きをすれば十分です。

正しい歯の磨き方のポイントは、以下のとおりです。

  • ・歯ブラシは歯の表面の根元に対して直角に当て、歯肉まで歯ブラシが当たるようにする

  • ・奥歯の表面の溝に歯ブラシの毛先を当て、毛先が5mmほど動くように横に小刻みに動かす(一度に2~3本の歯を磨く程度)

  • ・歯の表側と裏側に歯ブラシの毛先を直角に当てて、小刻みに往復に動かす

このような磨き方で、すべての歯を丁寧に磨きましょう。丁寧に磨くことですべてのプラーク除去は難しいですが、ある程度は取り除くことが可能です。

2-2.歯と歯の間も掃除する

歯ブラシで丁寧に磨いても、歯間に存在するプラークをすべて取り除くことはできません。しかし、歯間は、虫歯や歯周病ができやすい場所です。歯と歯の間を掃除するためには、デンタルフロスや歯間ブラシがおすすめです。歯ブラシだけではおよそ60%しか取り除くことができない歯間のプラークは、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで90%近くまで取り除けます。

デンタルフロスには、おもに「ホルダー付きタイプ」と「糸巻きタイプ」の2種類が存在します。それぞれの使い方のポイントを見ていきましょう。

ホルダー付きデンタルフロスの使い方

  • ・鏡でチェックしながら、歯間に糸を当てる

  • ・歯肉を傷付けないように注意しながら、歯間にゆっくりと入れる

  • ・歯の面に沿って上下に動かし、前・奥両方の歯を清掃し、ゆっくりと取り出す

糸巻きタイプのデンタルフロスの使い方

  • ・デンタルフロスを40cmほどの長さにカットして両手の中指に2~3回巻き付け、15cmほどの長さにしてまっすぐに張る

  • ・両手の親指と人差し指で糸をつかみ、歯の部位に合わせて歯間にゆっくりと入れる

  • ・歯と歯が接しているところを通ったら、歯肉のさらに中までデンタルフロスを入れる

  • ・歯の面を2~3回、上下にこすりながら清掃する

  • ・隣り合っている前・奥両方の歯を同じように清掃し、ゆっくりと動かしながら取り出す

  • ・他の歯間部を清掃するときは、糸の新しい部位を使う

デンタルフロスは勢い良く動かすと歯肉を傷付ける要因となるため、注意が必要です。使い方がよくわからない場合は歯科医院で相談しましょう。

2-3.唾液をたくさん出すためによく咀嚼する

唾液は、口の中にいる細菌や酸を洗い流す役割があります。そのため、唾液の量が少ない人は虫歯になるリスクが高まります。

唾液をたくさん出すためには、食べるときによく噛むことが大切です。やわらかい食べ物はあまり噛まずに飲み込めるため、なるべく噛みごたえのある硬い食べ物を摂るようにしましょう。

虫歯は毎日のケアで予防しよう

虫歯は、口の中に存在する細菌が糖質をエサにして酸を作り出し、歯を溶かしてしまうことで発生します。

この細菌は歯の表面にできる歯垢(プラーク)に多く存在するため、虫歯予防にはプラークを取り除くことが大切です。

プラークを清掃するためには、日頃の歯磨きだけでなく、デンタルフロスも併用しましょう。そうすれば、効率良く虫歯予防のためのケアができます。

歯磨きの方法やデンタルフロスの使い方で疑問点があれば、近くの歯科医院で相談してみてください。虫歯をなくすようにして健康的な歯を保ちましょう。

監修者情報

氏名:福田尚美(ふくだ・なおみ)
歯科医師臨床研修終了後、審美歯科・ホワイトニング専門医院に勤務。現在は一般歯科・小児歯科非常勤勤務のかたわら歯科医師としての知識と経験を生かし、歯科医師webライター、歯科企業やオンラインセミナーのサポートなども行なっている。