メンタルとは?心の不調と心に負担をかけない方法

病院に行っても異常がないにも関わらず、体の不調を感じることはありませんか?こういった場合は、メンタルの不調が原因の可能性があります。
メンタルは、日々のストレスが原因で不調を起こすこともあるので、日常生活におけるケアが重要です。

今回は、メンタルや日常のメンタルケアについて解説します。

1.メンタルとは?

メンタルは、日本語で「精神」や「心」を意味しています。日本では、心の病気によって通院や入院している人が約420万人存在するとされ、心の病気は誰もがかかりうる病気といえるでしょう。しかし、万が一心の病気になったとしても、治療によって回復するケースが多く、回復後は日常生活に復帰することが可能です。

しかし、そもそも心の病気につながらないようにするためには、その前兆である心の不調に早めに気付くことが大切です。心の不調に早めに気付くことで、病気の発症を未然に防ぐことができる場合もあります。

ただ、そうはいっても、心の不調は自分では気付きにくいことも往々にしてあるものです。そのため、あらかじめ不調のサインを把握しておくことが大切になってきます。

2.メンタル不調のサイン

メンタルの不調のサインは、自覚できる症状と、他の人に気付いてもらいやすい症状とがあります。

2-1.自覚できるサイン

以下の症状が長期的に続いたり、日常生活に影響を及ぼしたりする場合には、医療機関や専門家への相談をご検討ください。

  • ・気分が落ち込む

  • ・不安感が強い

  • ・イライラする

  • ・動悸、息苦しさ

  • ・幻聴

  • ・食欲不振

  • ・不眠や中途覚醒 など

また、「以前は楽しめた趣味を楽しめない」という場合なども心の病気の前兆として考えられます。

2-2.他者が気付きやすいサイン

自分では気付かなかったとしても、ときに他者が「その人らしくない」「以前と違う」と異変に気付く場合もあります。

  • ・服装の乱れ

  • ・体形の急激な変化

  • ・感情の起伏が激しい

  • ・他人を避ける

  • ・トラブルが多い

  • ・集中力がない

  • ・不自然な傷がある

以上のような言動が見られ、日常生活に影響が表れているなどの指摘を受けた場合、医療機関や専門家への相談をご検討ください。

また、目の前にいる人がそのような状態であった場合にも、当人に受診を勧めましょう。

3.メンタルの不調で悪化する疾患

メンタルの不調が慢性化していくと、具体的な身体的疾患に至ってしまうケースもあります。ここからは、それらの疾患について解説していきます。

3-1.呼吸器系疾患

急に息が苦しくなり、動悸、めまい、胸痛など症状を呈す呼吸器系疾患の一つに、過換気症候群があります。過換気症候群は、緊張しやすかったり、不安に陥りやすかったりする人などに発症しやすいとされる疾患です。その他の呼吸器系疾患では、気管支喘息もストレス関連疾患に類されています。

3-2.循環器系疾患

食習慣の乱れによって高血圧になることもありますが、メンタルの不調も高血圧の原因の一つです。高血圧は、さまざまな疾患の危険因子にもなるので注意が必要です。

3-3.消化器系疾患

過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化器系疾患もストレス関連疾患です。消化器の働きは、自律神経によって自分の意思とは無関係に調節されています。ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、消化器の働きもうまくコントロールできなくなるので、さまざまな疾患を発症しやすくなります。

3-4.糖尿病

メンタルが不調な方は、血糖値の調整がうまくいかず糖尿病を発症することがあるといわれています。また、その一方で、糖尿病の患者さんが食事制限などの治療によるストレスから、メンタルの不調を引き起こしやすくなるともいわれ、ともに早期の治療が必要です。

3-5.神経・筋肉系疾患

過度なストレスなどにより肩や首の筋肉が緊張することで、筋緊張性頭痛を発症する場合があります。その他の神経・筋肉系疾患では、痙性斜頸、書痙などもストレス関連疾患に類されています。

3-6.皮膚疾患

慢性蕁麻疹やアトピー性皮膚炎、円形脱毛症などの皮膚疾患もストレスによって発症したり、症状が悪化したりすることがあります。

3-7.耳鼻咽喉科領域疾患

過度なストレスがかかるとメニエール病や突発性難聴を発症することがあります。

4.メンタルに負担をかけすぎない方法

メンタルの不調を防ぐためには、ストレスとうまく付き合うことが大切です。ここからは、日常生活のなかでストレスをためないようにする方法を解説します。

4-1.生活習慣を整える

栄養バランスの良い食事や適切な睡眠時間、適度な運動習慣など生活習慣の改善は、ストレス耐性を高めるために重要です。また、ゆっくりお風呂に入ったり、好きな音楽を聞いたりするなどのリラックスができる時間を確保してみるのもいいでしょう。

4-2.考え方を変える

ストレスを感じるとき、問題点や良くないことなどに注目しやすくなります。ネガティブなことばかりではなく、実際にできていることやうまくいっていることに注目したり、物事の見方を少し変えてみたりするもの良いでしょう。

4-3.相談をする

つらいときは誰かに話を聞いてもらうだけでも、ストレスが軽減することがあります。家族や友人、必要な場合にはカウンセラーなどの専門家に相談しても良いでしょう。

メンタルを守るために日々の生活習慣を見直そう

メンタルの不調は、精神だけでなく体にも何らかの症状が現れたり、症状を悪化させたりすることもありえます。そのため、不調のサインをあらかじめ押さえ、早めの対処が重要です。

メンタルの不調を予防するためには、ストレスとうまく付き合う必要があります。生活習慣の改善、十分な睡眠、栄養バランスに富んだ食事、適度な運動を行なうことが、その足掛かりになるでしょう。

また、つらい気持ちを友人や家族に話してみるのも効果的です。それでも改善が難しい場合は、医療機関などへの相談もご検討ください。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。