抗炎症作用とは?食事と抗炎症作用の関係を解説

「炎症」という言葉を聞くと、ケガをしたときの腫れや痛みを想像する人が多いかもしれません。しかし、生活習慣病や老化なども体内での慢性的な炎症が関与しているとされています。

この記事では、炎症が起こる仕組みやその対処法についてお伝えします。炎症を予防する食事についても紹介しますので参考にしてください。

1.炎症が起こる仕組み

炎症とはそもそもどのような症状でしょうか。炎症が起こる仕組みと種類について解説します。

1-1.炎症とは

ケガをしたときに、その部分が腫れて痛みを感じたり、熱を持ったりする経験がある人もいるでしょう。これは体の傷ついた部分が炎症を起こした状態です。

ケガをしたところから細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入すると、人間の免疫がそれを除去しようとします。この際に起こる反応が炎症性反応です。つまり痛みや腫れを伴う炎症性反応は、人間の正常な免疫反応からなる症状です。そのため徐々にケガが治癒することで、痛みや腫れの症状も改善していきます。

また風邪などの感染症では、体温が上昇することもあります。

1-2.慢性炎症は生活習慣病や老化に関係している

慢性炎症が関わる病気でこれまでわかっているものでは、ぜんそくなどのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫性疾患があります。これらはすぐ命に関わるような病気ではありませんが、長期にわたってつらい症状が継続しやすい疾患です。

また最近では、生活習慣病や老化にも慢性炎症が関わっている可能性があることがわかってきました。加齢とともに増加しやすい肥満なども、慢性炎症の影響で症状が進行するのではないかといわれています。

2.抗炎症作用とは

炎症が起きたときにその炎症を鎮める作用のことを「抗炎症作用」といいます。
腫れ・発熱・痛みなどの急性炎症に対しては、非ステロイド性抗炎症薬によってこれらの症状を抑えることがあります。

慢性炎症への対策の一つは、日々の食事の見直しです。食事の内容によって、慢性炎症を起こしやすくしたり、逆に抑制しやすくしたりすることがあるとされています。

3.食事と抗炎症作用の関係

前述のように、慢性炎症には食事が影響しているとされています。食事の内容によっては抗炎症作用が期待でき、慢性炎症を抑えやすくなると考えられているため、普段の食事を見直してみるのがおすすめです。

3-1.食事と慢性炎症

筋力低下の原因の一つに慢性炎症が挙げられます。

筋力の低下は転倒・骨折のリスクを上げたり要介護状態になりやすくなったりすることから、筋力低下の予防をすることは生活の質への維持に大切です。

慢性炎症を起こしやすい食事と握力の関係について12年間調べた研究があります。その結果、慢性炎症を起こしやすい食事をしていたグループは、慢性炎症を抑えやすい食事をしていたグループに比べて、握力が低下しやすかったことがわかりました。

つまり食事内容によって筋力の低下しやすさが違っていたのです。

3-2.抗炎症作用が期待できる食品

先ほどの研究で、炎症を起こしやすい食事をしているグループの食事を調べたところ、穀類・菓子類・肉類などを多く摂り、魚介類・種実類・野菜・果物・豆類・調味香辛料などの摂取が少ないことがわかりました。

筋力低下とその原因である慢性炎症を抑えるには、食事内容が大切といえそうです。

慢性炎症を抑えるためには毎日の食事を見直しましょう

急性炎症によって起こった症状は修復が可能ですが、慢性炎症によって損傷を受けてしまった臓器は修復が難しいといわれているため、慢性炎症をなるべく起こさないようにすることが大切となります。その予防法の手段の一つが、食事を改善することです。

海外では野菜・果物・種実類・魚介類を多く食べる人は慢性炎症を抑えやすいことが報告されていますので、これらを積極的に摂ることが推奨されます。

早めの対策が将来の健康維持に役立つでしょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医