不摂生が病気を招きやすい?不摂生と病気の関係性

忙しい現代人はつい不摂生な生活を送りがちですが、そのような習慣を続けていると体に良くないことは多くの人が感じているでしょう。実際、不摂生は病気を招きやすいことがわかっています。

そこでこの記事では不摂生と病気の関係や、不摂生を改善する方法についてお伝えします。ぜひ日頃の生活習慣を見直すきっかけにしてください。

1.不摂生だと病気になるのか?

不摂生とは、生活習慣の乱れを指し、生活習慣病に発展しかねない日常生活をすることです。

例えば、食事においては肉中心の生活・脂質過多・塩分過多などが食習慣の乱れに相当します。また運動不足である・夜更かしが続いている・タバコを吸うなどの習慣が続くことも生活習慣病につながりやすいでしょう。

ただし、不摂生をしなくても、体質や遺伝などによって、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病に分類される病気に罹患している人なども少なからず存在します。そのため、「糖尿病に罹患しているのは自己責任である」というような偏見がないように考える必要があるでしょう。

2.不摂生との関係が明らかになっている病気

生活習慣病は、不摂生な生活が続くことで引き起こされるものですが、バランスの良い食事、適度な運動、禁煙などを実践すれば防ぐことが期待できるでしょう。具体的に生活習慣と病気の関係が明らかになっているものを紹介します。

2-1.食生活の不摂生で罹患リスクが高くなる病気

食生活の不摂生でリスクが高まるおもな病気としては、以下のようなものがあります。

  • ・インスリン非依存性糖尿病

  • ・単純性肥満

  • ・脂質異常症(家族性のものは含まれない)

  • ・高尿酸血症(先天性のものは含まれない)

  • ・歯周病

2-2.運動不足で罹患リスクが高くなる病気

運動不足が原因で罹患リスクが高くなるおもな病気は、以下のものになります。

  • ・単純性

  • ・肥満脂質異常症(家族性のものは含まれない)

  • ・高血圧症

先述の2型糖尿病も、食事の面からだけでなく、運動不足も一つの要因です。

2-3.喫煙習慣で罹患リスクが高くなる病気

喫煙習慣がある場合、以下の病気などにかかるリスクが高まります。

  • ・呼吸器の病気(慢性閉塞性肺疾患など)

  • ・歯周病

  • ・2型糖尿病

  • ・早産

また、若いうちから喫煙を始めるほど健康を害するリスクを高めます。

2-4.適量を超える飲酒習慣で罹患リスクが高くなる病気

適量を超える飲酒は精神的・身体的健康へ影響しやすいものです。また、体への影響としては、以下のリスクが挙げられます。

  • ・肝疾患

  • ・感染症

また、未成年者や妊娠している女性はアルコールによる悪影響が大きいため、アルコールを控えるべきです。

3.不摂生を改め病気を遠ざける方法

不摂生な生活は生活習慣病などのあらゆるリスクをもたらします。しかし、それらを発症する前に生活を改めることができれば、自ずとそのリスクも低減されるものです。
ここからは、不摂生を改め、目標とすべき生活習慣について解説します。

3-1.バランス良く食べる

おなかの内臓脂肪が増えてしまうと血圧や血糖値、血中の脂質を上げる要因となり、結果として生活習慣病を招きます。おなか周りの脂肪を減らすためには毎日の食事を見直すことが大切です。

まずは一日3食をバランス良くしっかり食べることを習慣にしましょう。そのうえで野菜を意識して摂る、揚げ物などの油が多い食事は控えめにする、塩分を控えめにするなどを意識することで生活習慣病予防につながります。

3-2.適度な運動を取り入れる

不摂生による生活習慣病を予防するためには、食事とともに運動の取り組みが重要になります。

体を動かす機会としては「生活活動」と「運動」に分けられ、「生活活動」は日常生活のなかで行なう掃除や買い物、通勤時の歩き、階段の昇り降りなど無意識に動いている活動です。「運動」はスポーツやエクササイズを意識して行なう活動で、運動については時間がとれるかどうかの環境や、運動自体が好きであるかなどの個人差にも左右されるでしょう。

そのため、まずは無理のない範囲で今より10分生活活動を増やすことが推奨されています。例えば通勤や散歩で10分多めに歩いてみるのもおすすめです。

なお、すでに生活習慣病になっている人でも、運動によって改善されやすいといわれています。運動量についてはおおむね一日30~60分、中強度の有酸素運動(速歩き、ジョギング、テニス、水泳など)を週3日以上実践することが推奨されています。

3-3.アルコールは節度ある適度な量にする

  • アルコールと病気の関係

    適量を超える慢性的な飲酒は、肝臓の病気や肥満・高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めるものです。
    アルコールが肥満を招く要因として、お酒自体のカロリーだけでなく、一緒に食べるおつまみに揚げ物などの高カロリーなものが多かったり、アルコールの食欲増進効果が食べ過ぎてしまう原因となったりすることが挙げられます。

  • アルコールの適量とは

    日本人の成人男性において、節度のある適度な飲酒量は「一日平均純アルコールで20g程度」とされています。純アルコール20gは具体的に、「ビールなら500ml」「日本酒なら約1合」「チューハイ(7%)なら350ml」「ウィスキーならシングル2杯」などです。

    また、女性や65歳以上の高齢者、お酒に弱い人(わずかな量の飲酒で顔が赤くなるなど)においては、アルコール20gよりも少なくすることが推奨されています。

防げる病気を予防するためにも不摂生を改めよう

遺伝性の病気などを除いた生活習慣病は、日頃の食事・運動・睡眠・喫煙などの不摂生な生活によってもたらされるケースも少なくありません。逆をいえば、生活習慣を改めることによって防げる疾患が多いため、毎日の生活を少しずつ見直すことが大切です。

食生活が不安な場合は少しでも野菜の量を増やしてみたり、運動不足を感じている場合は、10分長く歩いてみたりするなど、すぐにできることから改善し、健康的な毎日を過ごしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。