1.【中年男性に多い病気1】生活習慣病の原因と予防法
食事・運動・睡眠・喫煙など、生活習慣に関わるものが原因となり発症する病気を、生活習慣病と呼びます。
生活習慣病にはさまざまな病気がありますが、代表的なものは高血圧、糖尿病、脂質異常症などです。これらの病気を疑われる人の割合は、40代から年齢とともに増える傾向にあります。生活習慣病を放置すると、重症化したり合併症を引き起こしたりし、要介護状態へと進行するため、注意しましょう。
高血圧は、塩分のとり過ぎや肥満がおもな原因です。その他に、ストレスや遺伝、副腎や甲状腺の病気、睡眠時無呼吸症候群などが高血圧につながることもあります。
高血圧の予防には、食塩をとり過ぎないようにすることが大切です。例えば、漬物・みそ汁を少量にする、しょうゆやソースなどの調味料を抑え食材本来の味を活かして調理する、食塩を抑えてだしや香辛料を活用するなど、普段の食事に工夫を取り入れるとよいでしょう。
糖尿病は、インスリン(血糖値を一定に保つ役割を持つホルモン)の体内の分泌量が減ったり、効きにくくなったりして血糖値が上がります。
糖尿病の予防には、カロリーのとり過ぎに気を付ける、アルコールは節度ある適度な量にする、喫煙を控える、運動習慣を身に付けるなどが大切とされています。
脂質異常症は、中性脂肪、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)、善玉コレステロール(HDLコレステロール)など血中の脂質量が基準値外の状態です。
脂質異常症の予防として、LDLコレステロールが高い場合は飽和脂肪酸を多く含む脂身・バター・カップ麺などの食品や、コレステロールを多く含む鶏卵・魚卵などをとり過ぎないことが挙げられます。
また、運動不足や喫煙はHDLコレステロールの低下に影響し、糖質のとり過ぎは中性脂肪の上昇に影響するので注意しましょう。
2.【中年男性に多い病気2】歯周病の原因と予防法
口腔内に溜まった歯垢中の細菌により歯ぐきに炎症がおき、歯と歯ぐきの間の溝が深くなった状態を歯周ポケットといいます。そして、歯周ポケットが進行してさらに深くなって起こるのが歯周病です。歯周病は食生活や喫煙が関係することから生活習慣病とされ、糖尿病の合併症としても知られています。
45歳以上では過半数の人が歯周ポケットを持つため、歯周病になるリスクは高いといえるでしょう。
歯周病は進行するまで気付きにくい病気ですが、以下のような初期症状があるなら、予防を始めてみてください。
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・自分の口臭が気になる
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・歯ぐきから出血することがある
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・歯ぐきが腫れることがある
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・歯の間に食べ物が挟まりやすい
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・起床時に口腔内がねばつく
歯周病を予防するには、原因である歯垢を溜めないようにすることが大事です。具体的には、歯磨きを正しい方法で行なうこと、歯周組織の抵抗力を維持するために栄養バランスの良い食事をとったり規則正しい生活を送ったりすることが挙げられます。
また、たばこの成分が血流を低下させることで、歯ぐきに十分な量の酸素が行き渡らなくなり、細菌が繁殖しやすくなります。その結果、歯周病を進行させるため、喫煙を控えることも大切です。
3.【中年男性に多い病気3】更年期障害の原因と対処法
男性の更年期障害は、テストステロンという男性ホルモンの低下とストレスが重なって起こるものとされています。具体的な症状は、のぼせ、頭痛、集中力の低下、勃起機能不全(ED)、性欲の低下などです。
30歳以降にテストステロンの分泌量が減少し、症状が出るのは40代後半とされています。しかし、女性の更年期障害と比べると症状が緩やかなことから、更年期障害と気づかないケースが少なくありません。
加齢による男性ホルモンの低下は避けられないため、しっかりと休息をとってストレスを溜めないようにするのが対処法といえるでしょう。
ただし、「更年期障害だと思っていたら、別の病気だった」ということも十分にありうるので、自己判断せず医師に相談することをおすすめします。
4.【中年男性に多い病気4】前立腺肥大症の原因と予防法
前立腺は男性だけに存在する臓器で、男性ホルモンの影響を大きく受けることが特徴です。そして、50歳以降に前立腺の各細胞が肥大化して起こる病気を、前立腺肥大症と呼びます。
前立腺肥大症は、加齢とともに男性ホルモンの分泌量が減少することで起こると考えられていますが、明確な原因はわかっていません。55歳以上では400万人超の潜在患者が存在するとされていますが、治療を受けているのはそのうち15%ほどのようです。
なお、前立腺肥大症の症状は、進行度合いによって次のように分かれます。
【刺激期】
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・トイレが近くなる
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・夜中に度々トイレに行きたくなる
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・排尿後に、すぐトイレに行きたくなる
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・すぐトイレに行かないと漏れそうになる
【残尿発生期】
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・お腹に力を入れないと排尿できない
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・トイレに行きたくなっても、なかなか排尿されない
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・排尿中に尿が途切れる
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・尿切れが悪い
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・排尿後に尿がチョロチョロ出て服を汚してしまう
【慢性尿閉期】
前立腺肥大症は原因が明確になっておらず、現在原因として想定されているのが加齢のため、予防は難しいかもしれません。しかし、飲酒は節度ある適度な量にする、長時間座り続けることは避けて軽い運動を行なう、排尿を我慢しないなどを普段から心がければ、症状の進行抑制につながるでしょう。
少しずつでも健康的な生活に改善していきましょう
40代以降など、中年男性に多く見られる病気の原因と予防について紹介しました。
要因となるものは塩分のとり過ぎや加齢などさまざまですが、いずれも食事内容の見直しや適度な運度などで健康的な生活を送ったり、禁煙や節度ある適度な量の飲酒を心がけたりすることが効果的なケースが多いようです。
今一度、生活習慣を見直してできることから取り組みましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。