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葉酸の摂取で期待できる効果とは?摂取時の注意点についても解説

ビタミンB群の一つである葉酸は、細胞増殖と深い関わりがある栄養素です。また、葉酸の摂取によって、特定の疾患のリスクを下げる可能性を示す研究結果も報告されており、生体内で重要な働きを担っています。

ただし、葉酸は調理過程で失われやすい栄養素でもあるため、効率よく摂取するためには注意すべきポイントがあります。

葉酸の摂取により期待される効果と、葉酸を摂取するときの注意点について解説します。

1.葉酸とは?

葉酸はビタミンB群に属す水溶性ビタミンの一種です。細胞増殖の過程で起こるDNA合成に関与しており、細胞増殖が活発な胎児の発育に欠かせない栄養素の一つです。そのため、特に妊娠初期は体内における葉酸の需要が高くなります。

その他にも、葉酸は造血細胞のDNA合成や赤血球の形成への関与、アミノ酸の代謝やタンパク質の合成など、さまざまな働きがあります。

もともと葉酸はほうれん草の抽出物から発見されましたが、植物性食品だけでなく、動物性食品にも幅広く含まれています。葉酸を多く含む食品には、ほうれん草などの葉物野菜や柑橘類、豆類などが挙げられます。

2.葉酸の摂取で期待できる効果

受胎前後に十分な量の葉酸を摂取すると、胎児が神経管閉鎖障害にかかるリスクを軽減できることがわかっています。

神経管閉鎖障害は、中枢神経のもととなる神経管が形成される妊娠初期に起こりうる先天性異常で、脳の形成を阻害して死産・流産などを引き起こす「無脳症」や、下肢の運動障害をもたらす「二分脊椎」などがあります。

欧米では、日本と比較して神経管閉鎖障害の発生頻度が高かったため、葉酸摂取による神経管閉鎖障害のリスク軽減を評価する研究が行なわれてきました。これらの研究結果を踏まえて、厚生労働省は妊娠を希望する女性に、一定量の葉酸摂取を推奨しています。

葉酸は、アミノ酸の一種であるホモシステインが、必須アミノ酸であるメチオニンへと変換される反応に使われます。葉酸が不足するとメチオニンの代謝が阻害されるため、動脈硬化や虚血性心疾患のリスクが高まることから、これらの疾患へのリスク低下にも有効です。

また、血中のホモシステイン濃度の増加および葉酸濃度の低下と、認知機能の低下との関連が示唆されており、葉酸摂取により認知機能の低下を予防する効果が期待されています。

さらに、葉酸の摂取が閉経後乳がんの発症リスクを軽減させる可能性があるという研究報告もあるようです。

3.葉酸を摂取する際の注意点

葉酸には、大きく分けて2つの構造があります。

1つは、複数のグルタミン酸が結合した形で、ポリグルタミン酸型の葉酸です。これはおもに食品に含まれる葉酸の構造であり、食事性葉酸とも呼ばれます。

もう1つは、グルタミン酸が1つだけ結合したもので、モノグルタミン酸型といいます。モノグルタミン酸型の葉酸は、サプリメントや葉酸強化食品などに利用されている葉酸の構造です。

食品中に含まれるポリグルタミン酸型の葉酸は、体内で酵素によってモノグルタミン酸型の構造に変換され、小腸から吸収されます。

しかし、食品に含まれる葉酸は調理によって減少してしまうというデータもあり、食事性葉酸の生体内利用率は、モノグルタミン酸型の50%と考えられています。一方で、栄養補助食品中の葉酸はモノグルタミン酸型の構造をしており、安定性に優れ生体内利用率が高いことから、効率よく葉酸を摂取できるといえるでしょう。

厚生労働省は2000年に、妊娠を希望する女性に対して、食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントなどに含まれるモノグルタミン酸型の葉酸を一日あたり400μg摂取することが望ましい、と通達を出しています。

なお、胎児の神経管閉鎖障害予防のため、栄養補助食品からの追加による葉酸摂取が推奨されるのは、妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までとされています。

これまでのところ、葉酸の過剰摂取による健康被害の例はありません。ただし、一日1000μg以上の葉酸を摂取していると、ビタミンB12欠乏にともなう「巨赤芽球性貧血」という疾患の診断を困難にすることがわかっています。

厚生労働省が設定している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食事以外に摂取する葉酸、いわゆるサプリメントや葉酸強化食品などからのモノグルタミン酸型葉酸の追加摂取の上限は、成人男女において一日900μgないし1000μg(年齢によって異なる)としています。

これは妊娠を希望している女性や妊婦の方でも同様で、栄養補助食品による葉酸の摂取は1000μgを超えないようにすべきとなっています。

上手に葉酸を摂取しよう

ビタミンB群の一種である葉酸は、細胞増殖や造血機能の維持、タンパク質の合成など、さまざまな働きを担っています。

ただし、調理による損失などにより食品中の葉酸が体内で吸収される過程で生体内における利用率が低下することから、安定性が高いサプリメントなどの栄養補助食品による葉酸の摂取が推奨されるケースもあります。

食事からの葉酸摂取に加えて、必要に応じてサプリメントなども活用し、上手に葉酸を取り入れてみましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医