女性に多い抜け毛の原因や注意点、対処法を解説

「近頃、抜け毛の量が多くなった気がする」「髪の毛のボリュームが以前より少なくなった」と感じ始めた方もいるかもしれません。

髪の毛は誰でもいつかは抜け落ちていくものですが、抜ける量が多いと不安になってしまうものです。女性の抜け毛には、びまん性脱毛や分娩後脱毛などいくつか種類があります。

今回は、抜け毛の原因や対処方法、注意すべき抜け毛の特徴などを詳しく見ていきましょう。

1.100本を超える抜け毛は注意が必要な

髪の毛は健康な方でも、一日で約100本抜けているものです。一方で、一日に約100本は再生しているため、100本程度の抜け毛なら大きな問題はありません。

しかし、明らかに100本を超えて抜けている場合は、何かしらの問題があると考えられます。

2.女性に多い抜け毛

では、女性で見られることの多い抜け毛の原因について、いくつか見ていきましょう。

2-1.びまん性脱毛

びまん性脱毛とは、60歳以上の女性によく見られる症状で、頭皮全体がまんべんなく薄くなっていく脱毛のことです。閉経などによって女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンの量が増えることで起こるといわれています。

髪の毛は通常であれば、全体の90~95%が活動していますが、閉経すると活動している髪の毛が85%ほどとなるため薄くなるのです。

2-2.円形脱毛症

円形脱毛症では、コイン程度の大きさの脱毛斑が見られます。自覚症状がなく、気付いたら抜けていたというパターンが多いことが特徴です。

ストレスが原因だといわれていますが、アトピー性皮膚炎が原因となることもあります。抜ける場所は1か所のこともあれば数か所にわたることもあり、ときには全身に脱毛が見られることもある疾患です。

2-3.脂漏性脱毛症

脂漏性脱毛症は、頭皮の皮脂分泌が過剰になることが原因です。抜け毛が増えるだけでなく、ふけが増えたりかゆみをともなったりすることが多いでしょう。

男性ホルモンの影響などにより皮脂が増え、カビの一種である真菌が増殖して炎症を起こし、抜け毛やかゆみなどの症状を引き起こしてしまうのです。

3.抜け毛の対処法

抜け毛は、日々の生活習慣でも対処できます。生活習慣を正して、健康な髪の毛がしっかり成長できるように地肌作りをすることが大切です。

3-1.食生活の改善

まず気を付けたいのが、普段の食事の栄養バランスです。髪の毛は毛母細胞が分裂することで太く長く伸びていきますが、この過程でさまざまな栄養素が必要になります。栄養素が不足すると、髪の毛の分裂や増殖するスピードが遅くなるため、健康的な髪の毛が育ちません。

髪の毛にとって大切な栄養素は、タンパク質やコラーゲン、ビタミンやミネラル、ヨウ素などです。また、女性ホルモンの働きを助けるイソフラボンも、適量摂るとよいでしょう。

3-2.正しい洗髪方法を身につける

頭皮にたまった汚れは、毛穴を詰まらせて抜け毛を増やす原因となるため、正しい洗髪方法を身につけることが大切です。

汚れをしっかり落とすためには、まずブラッシングを行なって汚れを浮き上がらせましょう。その後、お湯のみで髪の毛を洗って汚れをざっと取り除き、それからシャンプーをします。爪を立てないように気を付けつつ、地肌をマッサージするように洗ったら、十分にすすぎましょう。

シャンプーが終わったら、しっかりと乾かします。このとき、ドライヤーを髪の毛に近づけすぎないように気を付けてください。

3-3.ストレスケアをする

ストレスが抜け毛のきっかけを作ることがあります。抜け毛の直接の原因になるというより、過度のストレスによって自律神経のバランスが乱れることが原因です。

やたらとイライラする、食事と関係なく腹痛が起きる、眠れないなどの症状がある方は、ストレスが溜まっているのかもしれません。気分転換をしたりゆっくりと体を休めたりして、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

3-4.育毛剤を使う

育毛剤を使ってみるのも一つの方法です。医療用の成分が配合された育毛剤は、頭皮の状態を改善する効果が期待できます。血行を良くするビタミンEや、ストレスに対する耐性を強くするビタミンB12の内服をするのもよいでしょう。

女性の抜け毛は正しく対処していくことが大切

女性の抜け毛が増える原因としては、びまん性脱毛や円形脱毛症、脂漏性脱毛症などが挙げられます。特に、頭皮全体がまんべんなく薄くなっていくびまん性脱毛は、女性にみられる抜け毛です。

抜け毛に対処するには、髪の毛が成長しやすい環境を作り、髪の毛の土台となる頭皮の健康を守ることが大切です。そのために、まず食生活の改善を心がけましょう。髪の毛の成長に必要なタンパク質やコラーゲン、ビタミンやミネラルなどを積極的に摂るようにしてください。

頭皮の汚れをしっかり落とすために、正しい方法で洗髪することも抜け毛を防ぐ基本です。場合によっては、医療用の成分が配合された育毛剤を使う方法もあります。

症状に合った対処を行ない、抜け毛の悩みを減らしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。