高血圧の診断基準|原因となりうる病気やリスクについて

どれくらい血圧が高いと、高血圧と診断されるのかご存知でしょうか。
高血圧は、生活習慣病と密接な関係にあります。もし高血圧を予防できれば、年間の死亡者数も大きく減らせるといわれているほどです。
今回は、高血圧の診断基準や血圧が高くなる原因、高血圧により高まるリスクなどを解説します。

1.高血圧の診断基準について

日本高血圧学会の基準では、収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合、高血圧としています。

ただし、自宅で測る場合はこれよりも5mmHg低い値が基準となります。

診察室血圧 家庭血圧
Ⅰ度高血圧 収縮期血圧:140~159mmHg
拡張期血圧:90~99mmHg
収縮期血圧:135~144mmHg
拡張期血圧:85~89mmHg
Ⅱ度高血圧 収縮期血圧:160~179mmHg
拡張期血圧:100~109mmHg
収縮期血圧:145~159mmHg
拡張期血圧:90~99mmHg
Ⅲ度高血圧 収縮期血圧:180mmHg以上
拡張期血圧:110mmHg以上
収縮期血圧:160mmHg以上
拡張期血圧:100mmHg以上

参照:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

収縮期血圧と拡張期血圧の両方が基準を超えているか、もしくはどちらかが基準を超えていると高血圧に該当します。

2.なぜ高血圧になるのか?

高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧の2種類があり、このうち二次性高血圧は原発性アルドステロン症や褐色細胞腫など、ほかの病気が原因で起こる高血圧です。

本態性高血圧は特に病気がないのに起こる高血圧のことで、高血圧患者の約90%は本態性高血圧といわれています。

本態性高血圧は、以下のさまざまな要因が絡んでいることが特徴です。

  • ・塩分の過剰摂取

  • ・肥満

  • ・過剰な飲酒

  • ・精神的なストレス

  • ・自律神経の乱れ

  • ・運動不足

  • ・野菜や果物不足

  • ・喫煙

  • ・遺伝的な体質

このうち、特に血圧を上げる要因となりやすいのが塩分の過剰摂取です。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、一日の摂取量を成人男性で7.5g、成人女性で6.5g未満にするよう、推奨しています。日本高血圧学会はこれより厳しく、目標量は高血圧患者の場合は一日6g未満です。

日本食は、食塩の摂取量がどうしても多くなりやすいため、日頃から減塩に努めなければなりません。しょうゆやソースの量を減らす、麺類のスープは飲み干さない、香辛料をうまく使うなどの対策で、減塩を心がけることが大切です。

3.高血圧のリスクと原因となりうる病気について

高血圧と聞いても血圧が高い以外にどのような問題があるのか、ピンと来る方は多くないかもしれません。血圧を下げよう、減塩を心がけようといわれているのには、多くの理由があるのです。

高血圧には自覚症状がほとんどありません。知らない間に血圧が上がっていることが多いため、定期的な健診を受けることが大切です。

高血圧が引き起こす重大な所見として、血管の柔軟性が失われた状態があります。血管の柔軟性が失われると、結果として血栓が生じたり血管が詰まりやすくなったりします。
この症状は、高血圧や加齢が原因で起こるため、自覚症状がなくても高血圧は決して見逃すことはできません。もしもの事態を避けるために、年に一度は健診を受けるようにしましょう。

高血圧はさまざまな病気リスクを上げる要因

収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上になると高血圧と診断されます。

本態性高血圧が患者の約90%を占めており、血液を上げるおもな原因は、塩分の過剰摂取や肥満、過剰な飲酒などが挙げられます。

高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、放っておくとさまざまな病気を引き起こすことがあるため、早期の対策が必要です。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。