「風邪(かぜ)」の原因や症状、予防法・対処法について解説

風邪(かぜ)は誰もがかかりうる身近な病気の一つです。

風邪はおもにウイルス感染によって引き起こされ、さまざまな症状が現れます。風邪を予防するため、あるいは他人に移さないようにするためには、毎日の食生活や手洗い、うがいなどを意識することが大切です。

今回は風邪の原因や症状、予防法から対処法まで詳しく解説します。

1.風邪(かぜ)とは?

医学的には、風邪は「急性気道感染症」といいます。気道は鼻から喉にかけての「上気道」と、その下流にある気管支や肺などの「下気道」に分類されます。

狭義の意味では、風邪は「急性上気道感染症」をさすこともありますが、上気道から下気道に起こる感染症を含めて風邪と称することもあります。なお、「風邪症候群」「感冒」などの名称も、すべて一般的な「風邪」をさします。

風邪ではおもに鼻水や喉の痛み、咳や痰などの気道の症状が現れますが、それだけではなく発熱や倦怠感、その他さまざまな体調不良を「風邪」と認識される方が多いです。

1-1.風邪(かぜ)とインフルエンザの違い

風邪はさまざまなウイルスの気道感染によって起こります。症状としては、鼻水やくしゃみ、喉の痛み、咳などの局部的なものが中心で、全身症状はあまり見られないのが特徴です。発熱がある場合でもインフルエンザほどは高くなく、重症化するケースは少ないとされています。

一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスという特定のウイルスによる感染症です。38度以上の発熱、頭痛、関節痛、倦怠感などさまざまな全身症状が見られ、重症化するとインフルエンザ脳症や肺炎を引き起こすこともあります。

2.風邪(かぜ)が発症するおもな原因

風邪の原因は、80~90%がウイルスによるものとされています。風邪を引いている方のくしゃみや咳などから飛び散った飛沫にウイルスが含まれていた場合、それが気道内に侵入して粘膜に付着すると、ウイルスが増殖して発症します。

ただし、必ずしも風邪の症状が出るとは限りません。環境要因、感染した人の免疫力などによって、症状が出るかが異なります。

3.風邪(かぜ)のおもな症状

ウイルスが体内に侵入すると、局所的な炎症によってさまざまな症状が現れます。

上気道で起こる代表的なものには、喉の痛み、鼻水、くしゃみなどがあります。下気道までウイルスが入り込むと、これを除去しようとして咳や痰が出ます。このほかにも、発熱、頭痛、全身倦怠感などの症状が現れます。

4.風邪(かぜ)の予防法・対処法

ここからは風邪の予防法と対処法について紹介します。

4-1.風邪(かぜ)の予防法

風邪の予防のため、外出するときはマスクを着用し、帰宅後は手洗い・うがいを徹底しましょう。マスクはくしゃみや咳をしている方だけではなく、予防する側もつけるとよりウイルスを吸い込むリスクが低くなるといわれています。手洗いは石鹸を使い、指の間や爪の間、手首も忘れずに洗いましょう。うがいは水道水よりも、殺菌・殺ウイルス効果があるポピドンヨードを用いるのが推奨されます。

なお、くしゃみや咳などが出る場合は、マスクをする、鼻と口元をハンカチや衣服でおさえるなどして、咳エチケットを心がけましょう。

また、乾燥していると気道の粘膜のウイルスに対する防御機能が弱まることから、適度な加湿も大切です。特に乾燥しやすい時期や部屋では、加湿器などで湿度を保つようにするとよいでしょう。目安は50~60%程度です。

さらに、免疫力向上のためには、十分な休養と栄養バランスのとれた食事も欠かせません。

4-2.風邪(かぜ)を引いたときの対処法(治療法)

ウイルスによる一般的な風邪であれば、しっかり休養をとり十分な水分と栄養を補給すれば自然に治ります。インフルエンザなど特定のウイルスによる感染症を除いて、一般的な風邪の治療に使われる薬はすべて対症療法です。

ただし、症状がつらい場合や4日間以上続く場合は、ほかの病気や感染症が疑われる可能性もあります。38~39度を超える発熱のほかに、激しい喉の痛みや腫れ、激しい咳、鼻水が濁っているなどの症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

風邪予防には食生活や休養が大切

風邪の多くはウイルス感染により起こるもので、誰でもかかりうるごく一般的な疾患です。

風邪では、鼻水、くしゃみ、喉の痛み、咳、痰など気道周辺の局所症状が現れますが、発熱や倦怠感などの全身症状をともなう場合もあります。

風邪の予防のためには、日頃から栄養バランスのとれた食事と十分な休養、湿度管理などが欠かせません。外出するときはマスクを着用し、帰宅したら手洗い・うがいを習慣化しましょう。

監修者情報

氏名:河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。