1.冷え(冷え性)のおもな症状とは
冷えの症状は、体だけでなく心にも不調があることを知らせるバロメータです。
ここでは、冷えを身体症状、精神症状、美容面、免疫力の4種類に分けて説明しますので、ぜひ参考にしてください。
1-1.身体症状
冷えから起こる身体症状としては首や肩のコリ、頭痛、腰痛、肥満、倦怠感などがあります。その他にも疲れ・関節痛・めまい・便秘・下痢・耳鳴り・月経痛・アレルギー・ほてり・動悸など、さまざまな症状が見られるでしょう。
1-2.精神症状
冷えから起こる精神症状としては、イライラ、やる気が起きないなどがあげられます。
1-3.美容面
美容面での症状は、ニキビ、乾燥肌、かゆみなどです。肌だけではなく髪にも影響があり、白髪、抜け毛、薄毛も気になるところです。
1-4.免疫力
冷えのため体温が低下することによって免疫力への影響も起こりえます。免疫力が低下することで、インフルエンザをはじめとした感染症にかかりやすくなったりします。
2.冷え(冷え性)によって起こる体の不調
冷えがひどかったり、冷え以外でも気になる症状があったりする場合は、大きな病気が隠れている可能性もあります。
それでは、症状別に、冷えに潜む病気をチェックしてみましょう。
2-1.むくみがある
むくみはリンパ液の流れが滞り気味になるが原因で、血流が悪く冷え性の人に多く見られます。女性ホルモンの関与も考えられるため、婦人科で相談してみましょう。
2-2.貧血がひどい
体のどこかで、出血が起こっておることが考えられます。また、子宮内膜症などの婦人科に関与する疾患の可能性もあるため、婦人科で相談してみましょう。
2-3.特定部分が冷える
足や背中、腰などに局部的な冷えがある場合、過去に負ったケガや手術の影響が出ているかもしれません。原因不明の場合が多く、マッサージなどが有効です。
2-4.左右片側が冷える
左右のうちどちらか一方の全体に冷えを感じるなら、大きな病気が潜んでいる可能性があります。一度、内科や神経内科で相談し、検査を受けることをおすすめします。
2-5.ほてりがある
ほてりも冷えの一種です。この場合、女性ホルモンのトラブルの可能性が疑われます。人前に出るときにのみほてるようなら、赤面症の可能性もあるでしょう。
2-6.汗が出る
女性ホルモンの影響で冷えている場合、発汗するケースもあります。特定の部位からの発汗が多い場合は皮膚科で診てもらいましょう。
2-7.しびれがある
寒さによってしびれを自覚する人もいます。冷えていないときにもしびれがある場合には、整形外科で検査を受けましょう。
2-8.変色している
冷えとむくみが同時に起こり、赤や紫に変色している場合は血めぐりの悪さが原因です。
3.冷え(冷え性)の改善方法
冷え性の改善には、体を内側から温め、血流の促進とともに自律神経を整えるための生活習慣を心がける必要があります。
3-1.運動やストレッチで筋肉をつける
筋肉は体の熱を発生させるために不可欠なものです。そのため、筋肉量の不足は冷えにつながります。筋肉は下半身に多くあることから、下半身の運動やストレッチを行なうとよいでしょう。下半身の筋肉量が増えることで血流も促進され、体温の上昇を促します。
3-2.食事をしっかりと
体を温める食材を積極的に摂るのも有効です。具体的には、山芋・さつま芋などの芋類、にんじん・大根・カブなどの根菜類、ネギ・生姜・ニンニク・玉ねぎなどの薬味野菜などがあります。
3-3.お腹や背中を温める
手軽にできる冷え対策は、腹巻やカイロなどを上手に使うことです。腹部を温めることは胃腸などを温めることにつながるため、便秘解消につながります。
また、カイロを使う際には、低温やけど対策として肌に直接貼らないようにしましょう。
3-4.シャワーだけではなく湯船につかる
38~40度ほどのお湯に15分程度つかるのも効果的です。
基本的に、体の表面が十分に温まるには約5分、筋肉まで温めようとする場合は10分程度の時間を要します。
また、冷えるからといって温度を熱くし過ぎるのはおすすめできません。例えば、42度のお湯に3分つかった場合と、39度のお湯に15分つかった場合とでは、温まった体を長く維持できるのは後者です。
そのことから、ぬるめのお湯にゆっくりつかることが冷え対策には効果的となります。
3-5.タバコは控える
タバコも冷えの原因です。1週間禁煙しただけで冷え性が改善されたというデータもあることから、喫煙は可能であれば控えたほうがよいでしょう。
冷えにくい体質をつくりましょう
冷えはあらゆる症状をまねきますが、検査しても明らかな異常が見つからないことも珍しくありません。しかし、専門医での診察を必要とする疾患が原因となっている冷えもあることから、気になる症状がある場合は、早めの受診がおすすめです。
冷えにくい体をつくるには、運動によって筋肉量を増やす、体を温める食材の積極的な摂取、ゆっくりと湯船につかった入浴をするなど、生活習慣の改善を行なうことが必要です。
適度な運動やバランスのとれた食事による生活習慣は、あらゆる病気の予防にもつながるため、これを機にこれまでの習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医