「ごぼう」に含まれている栄養素とは?基本について解説

ごぼうに含まれる栄養素についてご存知でしょうか。ごぼうは、古くから薬草として利用されてきた歴史があり、さまざまな栄養素が含まれている食材です。

ごぼうを普段の食事に取り入れることで、身体に必要な栄養素をしっかり摂取でき、健康の維持にもつながるでしょう。今回は、ごぼうの基礎知識や栄養素、食事への取り入れ方などを解説します。

1.ごぼうの基礎知識

ごぼうは、ユーラシア大陸北部、中国、ヨーロッパが原産地とされ、日本には10世紀以前に中国から薬草として伝わったと考えられています。当初は日本でも薬の材料に使われましたが、平安時代中期頃には野菜として食べられるようになりました。

現在では、きんぴらごぼうなどお正月料理に使う地域もあり、日本人にとってなじみ深い食材の一つでしょう。

世界的に見ると、日本のようにごぼうを野菜として日常的に食べている国は珍しいようです。しかし近年、健康志向の高まっている中国や台湾では、ごぼうの栄養素の高さが注目され、消費されるようになってきているといわれています。

1-1.ごぼうの種類(品種)

ごぼうと一口にいっても、さまざまな種類(品種)があります。

ここでは、ごぼうの品種や特徴を紹介するので、ぜひ食卓に取り入れてみてください。

  • 滝野川ごぼう

    一般的にイメージされるごぼうは滝野川ごぼうという品種で、日本中で広く普及しています。長さは1mにもなりますが、太さは3cm程度です。江戸時代に滝野川(現在の東京都北区)付近で栽培されていたことから、滝野川ごぼうと名付けられました。

  • 葉ごぼう

    ごぼうは根の部分を食べるのが一般的ですが、葉ごぼうは根だけでなく、葉も食べられるごぼうです。和え物にして口にする機会が多いでしょう。

  • 新ごぼう

    12月から初夏まで出回る直径1.5cmほどのごぼうで、やわらかく、香りも良いのが特徴です。ドジョウを使った柳川鍋には不可欠な食材でもあります。

  • 大浦ごぼう

    直径10cm以上にもなる太さを誇る品種です。わずかしか栽培されておらず、そのほとんどが精進料理の食材として成田山新勝寺に奉納されています。

  • サラダごぼう

    ごぼうは、きんぴらや炊き込みご飯などの火を通した料理だけでなく、茹でたあとにサラダとして利用することも多くなりました。サラダごぼうは、サラダ用として開発された根の短いごぼうで、やわらかな肉質と香りの良さが特徴です。

1-2.おいしいごぼうの選び方

ごぼうは、皮付近に香りと旨味が存在するので、風味や鮮度が保ちやすい泥付きを選ぶとよいでしょう。ひびやしわがなく、全体的にひげ根が少なくて太さが均一のものがおいしいごぼうとされています。

なお、ひげ根の多いものやしわがあるものは、収穫後時間がたっている可能性があるので注意が必要です。

1-3.ごぼうの保存方法

ごぼうは乾燥すると硬くなり、風味が損なわれます。泥が付いたごぼうであれば、新聞紙に包んだうえで、冷暗所にて保存しましょう。傷がなければ2週間ほど保存ができます。

また、泥を洗い流したごぼうや新ごぼうは、ラップに包んで冷蔵庫(あれば野菜室)で保存してください。2~3日以内に使い切るのが理想です。

2.ごぼうに含まれるおもな栄養素

ごぼうに含まれる栄養素では、食物繊維が代表的です。食物繊維は、小腸では消化、吸収できないので大腸まで届く特徴があります。便秘の予防や整腸作用だけでなく、血糖値上昇の抑制、血中コレステロール値低下などにも期待できるとされています。

ごぼうに含まれる食物繊維の量は、可食部100gあたり不溶性食物繊維が3.4g、水溶性食物繊維が2.3gと、野菜のなかでも非常に豊富なほうに分類されます。食物繊維は健康を維持するために重要な栄養素なので、積極的に摂取しましょう。

2-1.日本人の食卓には食物繊維が不足している

現在の日本人は、食物繊維が不足している傾向です。厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上の摂取を目標としています。

しかし、日本人の食物繊維の平均摂取量は一日あたり14g前後にとどまっているのが現状です。ごぼうは可食部100gあたり5.7gも食物繊維を含んでいるため、うまく食生活に取り入れて、効率良く食物繊維を摂取することが推奨されています。

2-2.その他ごぼうに含まれている栄養素

ごぼうには、カリウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

カリウムには体内に存在するナトリウム(塩分)を排出する作用があるとされています。また、マグネシウムは、リンやカルシウムとともに骨の形成に関わるミネラルですが、体内で起きるさまざまな代謝や筋肉の収縮、神経の伝達などにおいても重要な役割を果たしています。

さらに、ごぼうには抗酸化成分であるポリフェノールが多く含まれていることも見逃せません。ごぼうのポリフェノールの一種であるクロロゲン酸は、悪玉コレステロールの減少、血糖値の急な上昇の抑制が期待されています。

3.おいしくごぼうが食べられるレシピ

ごぼうを積極的に食生活に取り入れると、食物繊維やミネラル、ポリフェノールなど健康維持に重要な栄養素をしっかり摂取できるでしょう。ここでは、ごぼうをおいしく食べられるレシピを紹介します。

  • 【鶏めし】

    材料(4人分) 分量
    2合
    ごぼう120g
    50cc
    適宜
    地鶏150g
    醤油100cc
    砂糖30g

    1.ごぼうは細かくささがきにし、水にさらす。鶏肉は小さく切る
    2.熱した鍋に油をしき、白くなるまで鶏肉を炒める
    3.ごぼうをザルに上げ、流水にさらして水気を切る
    4.2の鍋にごぼうを追加して火を通す
    5.ごぼうの色が変わったら、砂糖を加えて混ぜる
    6.酒と醤油を加え、汁気がなくなるまで煮る
    7.炊き上がったご飯に乗せ、15分間蒸らす
    8.しっかり混ぜて完成

    出典:「農林水産省

  • 【くるみごぼう】(滋賀県の伝統料理)

    材料(4人分) 分量
    枝豆200g
    砂糖20g
    2g
    ごぼう100g
    茹で用の塩10g

    1.ごぼうの皮をとり、水にさらしてアクを抜く
    2.3cm程度の長さに切る
    3.塩を入れて沸かした湯でごぼうを下茹でする
    4.枝豆を茹で、薄皮をはがす
    5.枝豆に砂糖と塩を入れ、すり鉢ですりつぶす
    6.すりつぶした枝豆とごぼうを和えて完成

    出典:「農林水産省

健康維持に重要な栄養が含んだごぼうを食べよう

ごぼうは、日本人にとってなじみ深い野菜の一つで、さまざまな品種があります。また、食物繊維を豊富に含んでいるだけでなく、ミネラルやポリフェノールなど、健康を維持するために重要な栄養素を含んでいることも特徴です。

そのため、ごぼうを食事に取り入れることで、摂取できる栄養のバランスが改善する可能性も考えられます。ごぼうをおいしく食べて、健康的な食生活を目指してみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。