1.男性の尿切れが悪い場合に考えられる原因
尿切れの悪さの原因となるものとして、男性特有の体の仕組みや医薬品の服用が関わっている可能性があるとされています。
1-1.前立腺肥大症の可能性
尿切れが悪い、尿が出にくい、排尿後にすっきりしない、夜間にトイレで起きることが多いと感じたら、前立腺肥大症である可能性があります。
前立腺肥大症は、前立腺の細胞数が増加する良性疾患で、加齢とともにリスクが増大する病気です。
60歳以上の男性の約60%が前立腺肥大症に罹患しているとされ、放置したままだと排尿が難しくなったり、尿が漏れてしまったりする症状に発展してしまうケースもあります。
さらに進行すると、腎臓に負担をかける原因にもなるため注意が必要です。
1-2.医薬品によって引き起こされる可能性
医薬品の作用により、尿切れの悪さが現れることもあります。
おもに抗ムスカリン様作用のある薬を含む、過活動膀胱治療薬、胃腸薬、下痢止め薬、抗精神病薬などや、総合感冒薬のような市販薬でも見られることがあるため注意が必要です。
尿を出したいのに出ない、尿の勢いが弱い、何度も途切れる、出るまでに時間がかかる、お腹に力を入れないと量が出ない、残尿感がある、といった症状がある場合には、放置せずに泌尿器科の医師・薬剤師に相談するようにしてください。
2.骨盤底筋トレーニングで尿切れの悪さを改善しよう
排尿のトラブルは骨盤底筋を意識したトレーニングを続けることで改善することが可能です。どの家にもある椅子を使用した簡単なものなので、習慣に取り入れやすいでしょう。
椅子を使用した体操、寝そべって行なう体操どちらに取り組む際も、骨盤底筋を意識するために、股間に手を置くように心がけましょう。
2-1.椅子に座って行なうトレーニング
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1.椅子に座って、両足を骨盤の幅に開き、座骨を立てて骨盤の位置を整えます。
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2.肩とお腹、足の力を抜いて、肛門付近の筋肉を呼吸に合わせて動かしていきます。呼気で締め、吸気で緩める動作を10回ほど繰り返しましょう。このとき、肛門を締めるようなイメージになります。
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3.骨盤底筋の収縮と弛緩を確認できたら、できるだけ収縮を強めたり、素早く繰り返したり、持続させるトレーニングをしましょう。
2-2.寝そべって行なうトレーニング
基本的な動きは座位と同じですが、座位に比べて骨盤底に体重がのらないため、骨盤底筋の動きが把握しやすいでしょう。
2-3.腹筋や背筋を鍛えることも効果的
腹筋や背筋を鍛えることも効果的です。それぞれ5~10回ほどを目安に取り組むようにしましょう。
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背筋の場合
1.仰向けで膝を立て、下腹部を締めながらお尻と腰を浮かせ、高く持ち上げます。
2.背中からお尻にかけて順にゆっくり下ろし、力を抜きます。
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腹筋の場合
1.仰向けで膝を立て、視線をおへそに向け、肛門や下腹部を締めながら上半身を起こします。
2.1の体勢を維持します。
尿切れの悪い男性は日頃の対策を心がけましょう
今回は、男性の尿切れが悪くなる原因と、尿切れの悪さを改善するトレーニングを紹介しました。
尿切れが悪くなる原因は、加齢にともない罹患リスクが上がる前立腺肥大症や、医薬品の服用などが考えられます。
尿切れの悪さをはじめとした何らかの排尿トラブルが気になったら、医師などに相談するようにしましょう。
なお、今回ご紹介したトレーニングは今すぐにでも取り入られるものなので、尿切れにお困りの方はぜひ取り組んでみてください。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。