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高齢者の食事|必要な栄養素・摂取カロリーや調理のコツについて解説

高齢者は加齢の影響により身体機能が低下していきます。身体機能が低下することでうまく食べることが難しくなり、食べる量も減っていく傾向にあります。

そのため、高齢者の食事においては、さまざまな点に注意しなければなりません。

それでは、どのような点に注意して高齢者に食事を提供すれば良いのでしょうか。

今回は、高齢者の食事について必要な栄養素や調理のポイントを紹介します。

1.高齢者の食事について

高齢者の食事で意識したいポイントは、栄養素と摂取カロリーです。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。

1-1.意識して摂取したい栄養素

高齢者が意識して摂りたい栄養素には、タンパク質・ビタミン・カルシウムがあります。

タンパク質は、特に高齢者が不足しやすい栄養素です。肉・魚・大豆製品・乳製品といったタンパク質を含む食材を毎日の食事に取り入れて、しっかり補いましょう。

ビタミンには、肌・免疫機能・体の調子を整える作用があります。ビタミンは体内で作られないものが多いため、食品から摂取しなければなりません。

カルシウムは、骨を丈夫にするために重要な栄養素のため、意識して摂取することが大切です。

これらの栄養素をバランス良く含んだ食事を意識して、栄養の偏りがないように注意しましょう。

1-2.一日の摂取カロリーの目安(65~74歳)

必要とされる摂取カロリーは、日頃どの程度体を動かすかで異なります。活動レベルが高いほど必要になるカロリーが増加し、性別や年齢によっても摂取カロリーの目安量は異なるため、自分に合った量を摂ることが大切です。

男性の一日の摂取カロリーは、次のとおりです。

身体活動レベル 低い 普通 高い
65~74歳 2,050kcal 2,400kcal 2,750kcal
75歳以上 1,800kcal 2,100kcal

女性は、次の表を目安にしましょう。

身体活動レベル 低い 普通 高い
65~74歳 1,550kcal 1,850kcal 2,100kcal
75歳以上 1,400kcal 1,650kcal

身体活動レベルが低い方は、座って過ごすことが多く、外出もほぼしないなど運動量が少ないタイプです。

普通レベルでは、座って過ごすことが多いものの、通勤や買い物などで立って動くこともある方が当てはまります。

身体活動レベルが高いに該当する方は、立ったり運動したりすることが多く、積極的に動くタイプです。

2.高齢者の食事を作る際のポイント

高齢者に食事を作る場合、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、おもなポイント2つを解説します。

2-1.咀嚼しやすくする

高齢者の食事は、サイズや硬さなどを工夫して噛みやすくしましょう。高齢になると噛む力が衰え、固形物をかみ砕くのが難しくなるためです。

例えば、食材を食べやすい大きさにカットしたり、切れ目を入れたりして食べやすくします。野菜はやわらかくなるまでじっくり加熱することがポイントです。繊維のある根菜は食べにくいため、繊維を切るようにカットしましょう。

また、噛み切る際に力が必要な肉類は、叩いてやわらかくしたり皮の部分を取り除いたりと、工夫することが重要です。

2-2.飲み込みやすくする

食材を飲み込みやすくするために、すり潰したり、刻んだりすることを意識しましょう。加齢によって飲み込む力が弱くなると、誤嚥しやすくなります。

食材をやわらかくなるまで時間をかけて煮込み、舌で潰せるくらいが目安です。さらに、食材を裏ごししたり、ミキサーにかけたりするのも効果的でしょう。

3.食事をする環境について

高齢者の食事は、メニューだけではなく食べる環境も大切です。

3-1.高齢者の食事中の姿勢

食事をする際は、安全に食べられるように、姿勢を正して体を安定させることが大切です。姿勢が悪かったり体が安定していなかったりすると、きちんと飲み込めず誤嚥しやすくなります。

背筋を伸ばして足を床にしっかりつけ、椅子とテーブルの距離や高さを合わせてから食べることが大切です。

3-2.できれば孤食を避ける

高齢者が1人で食事をする孤食(個食)は、なるべく避けましょう。孤食は、食事量の低下を招き、低栄養の原因になる可能性があります。

さらに、食事の楽しみを感じにくくなり、食欲も低下しがちになるでしょう。家族や友人などと食事をともにして、孤食を避けることが大切です。

高齢者の食事は食べやすさや食べるペースなどに注意しよう

高齢者の食事では、タンパク質・ビタミン・カルシウムなどの栄養素がバランス良く摂れることが大切です。肉・魚・大豆製品・乳製品から摂取できるタンパク質は、高齢者に不足しがちな栄養素のため、特に意識しましょう。

また、噛む力や飲み込む力などは加齢によって低下するため、これまでの食事は食べにくいと感じることがあります。そのため、食べ物はなるべくやわらかくして、食べやすいサイズにカットしてください。そして、姿勢を正し、複数人で食事することも意識しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。