1.カリウムとむくみの関係
むくみにはどのような要因があるのでしょうか。カリウムとの関連も併せて説明します。
1-1.むくみとは
そもそもむくみとは、間質液とよばれる栄養や酸素などを含む水分が毛細血管からしみ出て、多く溜まってしまうことによって起こる症状です。
血液と細胞の間では、酸素や栄養を細胞に渡し、細胞から老廃物などを受け取り毛細血管に戻すといった物質交換が行なわれますが、これは間質液をとおして行なわれています。
通常は毛細血管から出入りする水分の量は一定に保たれていますが、さまざまな要因で水分量のバランスが崩れることにより、過剰な水分が皮下組織に溜まることで「むくみ」が起こるのです。
1-2.むくみとカリウムの関係
むくみの原因の一つに、ナトリウムが含まれる塩分の摂りすぎが挙げられます。
体内の水分量は、ナトリウムとカリウムがバランスをコントロールしています。しかし、ナトリウムを摂りすぎるとバランスが崩れやすくなり、その結果むくみやすくなるのです。
日本人は世界的に見ても、塩分を摂りすぎる傾向にあります。
カリウムは、体内で余分なナトリウムや水分を体の外に出す働きがあるため、むくみ対策のためにはカリウムを積極的に摂ることが勧められます。
2.むくみの改善に役立つカリウムの多い食品
カリウムを多く含む食品と、100g中に含まれているカリウム量を併せて紹介します。
食事に取り入れやすそうなものを集めたので、ぜひ参考にしてみてください。
3.むくみの改善に大切なこと
ここでは、むくみを改善したいと思ったときに注意すべきポイントについてお伝えします。
3-1.食事の栄養バランスを意識する
一日3食規則正しく、塩分を控えめにしたバランスのとれた食事を摂ることを意識しましょう。
先ほどお伝えしたカリウムを多く含む食品を意識して摂ることで、余分な水分を外に出すことができます。
また、海藻のぬめり成分を構成しているアルギン酸は、カリウムを増やしてナトリウムを外に出してくれる効果があります。
3-2.同じ姿勢を続けない
立ち仕事や座り仕事など、同じ姿勢でいる時間が長いと、血流を悪くさせてむくみをまねきます。
健康な人の場合、心臓から動脈を通り足に届いた血液は、静脈を通ってまた心臓に戻ります。足の筋肉や組織により静脈血を心臓へ押し上げますが、このときにさまざまな理由で筋ポンプ作用の働きが弱いと、静脈血が溜まってしまい、むくみの要因となるのです。
長時間同じ姿勢でいることは、筋ポンプ作用が働かない原因の一つといえます。
また、心臓の力が弱かったり、運動不足により筋肉量が少なかったりすることも筋ポンプ作用が働かない原因です。
以上のことから、むくみ対策の一つとして、同じ姿勢を続けないようにしましょう。
座り仕事をしている場合は、休憩時間に足を水平より高くすることで血流改善を促すとよいでしょう。
3-3.塩分を摂りすぎない
体内に多くの塩分が入ると、体内のナトリウム濃度が高くなります。これを薄めるために水分を溜めこもうとする作用が働き、むくみの要因となります。
そのため、なるべく塩分を控えた食事を心がけましょう。健康な人でも一日の塩分は男性の場合7.5gまで、女性の場合は6.5gまでを目標にすることが目標量とされています。
減塩のポイントは以下を参考にしてみてください。
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漬物や汁物を控える
塩分が多い漬物や汁物は頻度を減らすようにしましょう。漬物を浅漬けにし、汁物は具材を多くして汁の量を減らすと塩分を減らせます。麺類をとるときには汁をなるべく残しましょう。
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味付けの工夫を
レモンや酢などの酸味、唐辛子やこしょうなどの香辛料、ゆずやしそなど香りのある食材を活用することで、塩分を減らせます。
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練り物などの加工食品は摂りすぎに注意
かまぼこやはんぺんなどの練り製品には、食塩が多く含まれているため、摂りすぎないように気を付けましょう。
3-4.適度な水分補給を
水分の補給は適量を心がけます。水分が足りないとむくみの原因となりますが、水分を摂りすぎても体内の水分バランスが崩れてむくみの原因となるためです。
適度な水分量になるよう意識しましょう。
カリウムの多い食品でむくみを改善しましょう
むくみの原因は、長時間同じ姿勢を続けていることや、運動量の不足により筋肉量が少ないことなどがありますが、食事内容も影響しやすい要因の一つです。
ナトリウムを摂りすぎると体内の水分量のバランスが崩れてむくみをまねき、カリウムは余分なナトリウムを排出してくれます。
そのため、むくみ対策のためにはカリウムを意識して摂るようにしましょう。
今回お伝えしたカリウムを多く含む食品や、むくみ改善のための生活習慣も参考にしてみてください。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医