禁煙の効果とは?喫煙が体におよぼす悪影響について解説

「健康も気になるし、そろそろ禁煙を考えている」
「長年喫煙してきたけれど、今から禁煙しても間に合うかな」
タバコには体に悪い物質が数多く含まれており、健康への影響があるとされています。禁煙をすれば病気発症のリスクを減らし、健康につなげることができます。禁煙の翌日から禁煙効果があらわれるものもあるため、思い立ったら早めに禁煙したほうがよいでしょう。

今回の記事ではタバコが体におよぼす悪影響を解説し、禁煙の効果について紹介します。

1.喫煙が体におよぼす悪影響とは?

タバコは、世界中で古くからたしなまれている嗜好品です。一般的な紙巻きタバコやシガレットのほかにも、パイプ、キセル、水タバコなど、多くの種類があります。

2019年に行なわれた調査では、毎日またはときどき喫煙習慣がある人は男性で27.1%、女性で7.6%と報告されています。調査によると、特に40代男性、50代女性の喫煙率が高い割合でした。さらに、このうち一日に21本以上のタバコを吸っている人は男性で11,2%、女性で2,8%と明らかになっています。

なお、以前に比べると、男女ともに喫煙率は減少傾向にありますが、他の国と比較すると非常に多い傾向があります。
※参考:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査報告

喫煙は、体内のほとんどの臓器に対して悪い影響を与えます。また、タバコの有害物質は血管壁を傷つけるほか、細胞の働きや酸素を運ぶ能力を低下させます。ほかにも、肺機能の低下にともなって肺炎の発症や喘息症状の悪化にもつながりかねません。さらにインスリンの働きを抑え、糖尿病を招くおそれもあります。

このような病気発症のリスクは、喫煙者本人のみならず、周りで煙(副流煙)を吸いこむ人たちにも起こるため注意しましょう。なお、低タールや低ニコチンのタバコもありますが、どこまで健康に対して効果があるかは、明らかになっていません。体の健康を考えるなら、タバコの種類を問わず喫煙はリスクがあると考えたほうが無難でしょう。

また、精神面においてもニコチン切れの影響から「イライラ」してしまったり、家族や周囲の人から「臭い、煙たい」と非難されてしまったり、ストレスを感じてしまうこともあります。

2.禁煙の効果について

喫煙が体に与える悪影響について解説してきましたが、禁煙することでの効果についてご紹介します。

長年タバコを吸ってきた方のなかには、「今更禁煙しても、もう遅い」と考える人もいるかもしれません。しかし、これまで世界中で行なわれてきた研究によって、禁煙をすることは性別や年齢、喫煙による病気の有無に関わらず、誰にでも健康改善をもたらすことがわかっています。

なお、毎年5月31日は世界保健機関(WHO)が「世界禁煙デー」と定めています。このような日をきっかけとして、タバコの持つ健康への影響について意識し、自分と周りの人がいつまでも健康に暮らせるように喫煙習慣を見直してみるのはいかがでしょうか。

禁煙効果を知って健康維持に役立てよう

タバコは昔から愛されてきた嗜好品ですが、健康への影響が示唆されています。また、喫煙は、喫煙者本人だけでなく副流煙を吸う周りの人にも影響を与えかねません。

禁煙することで循環器などの機能が改善し、病気の発症リスクを軽減させます。また、禁煙効果は年齢や性別を問わずもたらされるため、高齢になってから禁煙を始めても遅くありません。

禁煙で得られる効果を知って、健康維持に役立てましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。