1.糖質(炭水化物)について
炭水化物とは炭素と水素からなる化合物で、エネルギーをつくるための重要な栄養素です。ごはんやパン、麺類など、おもに主食として流行したこともあるとられている穀類に、多く含まれています。
炭水化物がヒトの体内に取り込まれると、エネルギーのもとになる「糖質」と、消化されない「食物繊維」に分けられます。
このように、糖質は消化吸収によって体を動かすエネルギーとなるため、不足すると体にさまざまな影響が出てきます。
では、具体的にどのような影響があるのかを次章で解説します。
2.糖質不足が引き起こすおもな症状
糖質が不足すると、次のような症状が起こるおそれがあります。
2-1.疲れやすくなる
糖質は、私たちの体内で「グリコーゲン」というエネルギー源として筋肉や肝臓に少量が蓄積されていますが、残りの大部分は脂肪として存在しています。
血中のブドウ糖を活動のためのエネルギーに消費すると、筋肉や肝臓に存在するグリコーゲンを分解してエネルギーに変換しますが、このグリコーゲン量は多くありません。そのため、糖質不足がエネルギー源の不足につながり、疲れやすい状態になるのです。
2-2.思考力が低下する
脳のエネルギー源はブドウ糖であり、一日中ブドウ糖を燃焼しているといわれています。そのため、糖質の摂取量が不足すると脳へ栄養が十分に行き渡らず、思考力が低下しやすくなるのです。
また、脳の栄養不足によって、夜の睡眠に影響する可能性があります。
2-3.肝臓に負担がかかる
体内の糖質が不足すると、肝臓でタンパク質が糖質に変換されますが、タンパク質を分解する際には「アンモニア」という物質も生成されます。この物質は体に有害であるため、肝臓はアンモニアを無毒な「尿素」に変換しなければなりません。
糖質が不足している状態でタンパク質を多く摂ると、この変換を多く行なうことになるため、肝臓への負担が増えるおそれがあるのです。
3.糖質不足を解消する方法
糖質不足を解消するためには、糖質(炭水化物)を適量で摂ることが大切です。少なくとも、一日に250~325gの糖質を摂るとよいでしょう。
しかし、なかには「糖質を摂り過ぎてしまわないか不安」という方もいるかもしれません。
ごはんやパンなどの糖質が多い食事だけを摂ると、急激に血糖値が上がり、インスリンが分泌されます。すると、エネルギーとして利用するために血中のブドウ糖が筋肉や肝臓に送り込まれますが、余ったブドウ糖は脂肪として蓄積されてしまいます。
ダイエットのために糖質を控えたいという方は、食物繊維が豊富な野菜やきのこなどと一緒に摂るのがおすすめです。食物繊維を糖質と一緒に摂ると、血糖値の上昇スピードがおだやかになるとされています。
ただし、いも類は糖質が多いため控えめにしましょう。
糖質不足にならないように摂取することが大切
糖質は、脳で利用されるただ一つのエネルギー源であるため、食事から摂取する量が不足すると思考力が低下したりするといわれています。
また、糖質不足で足りなくなったエネルギーを補うために、肝臓に負担をかけてしまうリスクもあります。そのため、糖質は適量を摂ることが大切です。
糖質の摂取による血糖値の上昇が気になる場合は、食物繊維を含んだ食品と一緒に摂るとよいでしょう。
食事の際には、ごはんやパンなどの炭水化物を毎食1種類は摂るように意識してみてください。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医