納豆に亜鉛はどのくらい含まれる?
働きや亜鉛を多く含む納豆以外の食べ物も紹介

亜鉛は、体内で過剰な活性酸素を除去する酵素を作るなど、いろいろな働きを担う栄養素です。

亜鉛はさまざまな食品に含まれていますが、手軽に手に入りやすい納豆からはどのくらい摂取できるのでしょうか。

この記事では、亜鉛の働きや納豆に含まれている亜鉛の量、納豆以外に亜鉛を摂取できる食品を紹介します。

1.亜鉛について

亜鉛は人体に必要な微量ミネラルの一つで、酵素タンパク質の構成要素として働きます。

体内にはおよそ2000㎎存在し、おもに骨格筋や骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに分布しています。

アミノ酸からのタンパク質やDNAの合成のほか、細胞障害をもたらす活性酸素を除去する酵素の構成、味覚を感じる味蕾(みらい)細胞や免疫反応にも関与しています。

亜鉛の一日の摂取推奨量は、18~74歳の男性で11㎎、75歳以上の男性で10mg、18歳以上の女性で8㎎です。

亜鉛の一日の摂取推奨量(mg/日)

年齢 男性 女性
0~5カ月 2 2
6~11カ月 3 3
1~2歳 3 3
3~5歳 4 3
6~7歳 5 4
8~9歳 6 5
10~11歳 7 6
12~14歳 10 8
15~17歳 12 8
18~29歳 11 8
30~49歳 11 8
50~64歳 11 8
65~74歳 11 8
75歳以上 10 8
妊婦(付加量)後期 +2
授乳婦(付加量) +4


※1歳未満は目安量
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が一日の必要量を満たすと推定される一日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2.亜鉛不足が引き起こすおもな症状

亜鉛が不足すると、どのような症状が起こるのでしょうか。

味を感じる味蕾細胞に関わる亜鉛が不足になると、味覚の障害が起こります。また、タンパク質やDNAがうまく合成されなくなり、成長障害が起きるリスクが高まります。

その他、皮膚炎や慢性下痢、食欲不振、生殖機能の低下、脱毛、免疫力の低下などの症状が見られる場合があります。

加工食品に含まれている食品添加物を摂取すると亜鉛の吸収を妨げ、亜鉛不足になるケースもあるため、食事の偏りには注意しましょう。

3.納豆に含まれる亜鉛の量

納豆に含まれている亜鉛の量を、種類別に紹介します。

  • ・糸引き納豆:100g中1.9㎎

  • ・挽きわり納豆:100g中1.3㎎

納豆1パックあたりの重量はおよそ50gであるため、1食で摂れる亜鉛の量は0.65~0.95㎎ほどになります。

18~74歳における一日あたりの亜鉛の推奨量は、男性が11㎎、女性が8mgです。

つまり、納豆1パックで一日の推奨量の約1割を摂取することができます。

4.亜鉛を多く含むその他の食べ物

ここでは、納豆以外に亜鉛を多く含む食品を紹介します。

  • ・かき(養殖/生):100g中14.0mg

  • ・かたくちいわし(田作り):100g中7.9mg

  • ・牛(ひき肉/焼き):100g中7.6mg

  • ・パルメザンチーズ:100g中7.3mg

  • ・ピュアココア:100g中7.0mg

「かき」の1個あたりの重量はおよそ15gで、1個食べると亜鉛約2.2㎎を摂取できます。「かたくちいわし」は1食の重量は20gで、1食分で亜鉛約1.6㎎を摂ることが可能です。

これらの食品に比べると、納豆に含まれている亜鉛の量はそれほど多いわけではありませんが、比較的手軽に摂れる食品といえるでしょう。

バランスの良い食事で亜鉛を補給しよう

亜鉛は不足すると味覚障害や成長障害などのリスクが高まるため、食事から適量を摂る必要があります。

亜鉛を含む食品は、今回紹介した納豆などの豆類のほか、肉類、魚介類、海藻類、野菜類、種実類などがあるため、さまざまな食品をバランス良く摂るとよいでしょう。

亜鉛の過剰摂取も、健康に悪い影響を与える可能性があります。亜鉛を摂取する際は、適切な量を守りましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。