下痢の種類|予防法や注意点についても解説

慢性的に腹痛があったり、下痢を繰り返したりするなど、おなかの不調に悩まされている方も多いのではないでしょうか。

下痢の場合、ストレスや食事内容、生活習慣の乱れなど、さまざまな要因が考えられています。また、症状の期間や要因によって種類が異なります。

そこで今回は、下痢の種類別の予防法や下痢が続いているときの注意点などを解説します。

1.下痢にはどのような種類があるのか?

下痢は、医学的には明確な定義は存在しません。多くの場合、便が水っぽい状態、固まっていない便が何度も排泄される状態を下痢と呼んでいます。

症状の持続期間や原因によって「急性下痢」、「慢性下痢」に分類されます。急性下痢と慢性下痢とでは、原因が異なっている場合が多いとされていますので、それぞれの特徴を解説します。

1-1.急性下痢

急性下痢とは、下痢を発症してからだいたい14日以内に症状が落ち着くものを指します。急性下痢を起こすおもな原因は、暴飲暴食や刺激物の摂りすぎなどの、生活習慣の乱れにあります。その他、ウイルスや細菌の感染、薬剤性の下痢、心理的要因などが挙げられます。

1-2.慢性下痢

慢性下痢は、下痢の症状が1カ月以上続く状態です。慢性下痢のおもな原因は、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)や乳糖不耐症などの腫瘍、薬剤性の下痢などです。

1-3.過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、慢性的におなかの痛みや膨張感を訴えたり、便秘や下痢などの便通異常が起こったりする疾患です。通常の検査で腸に異常が確認できないのも、特徴の一つです。

これは、腸が精神的ストレスや自律神経の不調などの原因で過敏になることで引き起こされると考えられています。

過敏性腸症候群は、症状によってさらに以下の3種類に分類されます。

  • 慢性下痢型

    緊張や不安があると便意が現れ、下痢の症状が出るタイプです。

  • 不安定型

    おなかの痛みや不快感とともに、下痢と便秘を数日ごとに繰り返すことがあります。便秘をするとおなかが張って苦しくなり、排便しても出ない、またはわずかしか便が出ないことが特徴です。

  • 分泌型

    分泌型は、強いおなかの痛みが続き、大量の粘液が排出される症状があります。

2.下痢の予防法

下痢が続いている場合、生活習慣の乱れや食べ物、飲み物が原因となっている可能性があります。

2-1.避けたほうが良いこと

下痢の予防・対策としては暴飲暴食を控え、辛い食事や脂っこい食事、刺激物や冷たい食べ物、飲み物はなるべく避けるようにしましょう。

また、ストレスを溜めないように、自身に合ったストレス発散法を見つけて実践することも大切です。

2-2.実践したほうが良いこと

おなかの不調を改善するためには、食事や運動、睡眠などの生活習慣の乱れを見直しましょう。

睡眠を十分にとり、適度な運動を習慣にすると、ストレス解消や腸の動きを整えることにもつながります。

3.下痢の症状がある場合の注意点

下痢の症状が出ているときは体内の水分が便と一緒に外に出て、脱水状態に陥りやすいため、こまめな水分補給を心がけましょう。場合によっては経口補水液などもうまく活用することが大切です。

下痢の中でも注意が必要なものや、薬剤の副作用により下痢を発症する場合もあります。以下の症状があれば医師へ相談しましょう。

  • ・便が泥のような状態か、水のような状態が続く場合

  • ・強い便意が急に起こり我慢できないことが続く場合

  • ・さしこむほどの激しい腹痛に襲われる

  • ・頻繁に下痢があり、トイレから離れられない

  • ・粘液状のものが混じった便が出る

  • ・血便がある

下痢が続き脱水症状を起こすと、口の渇きや尿量の減少などの症状が起こります。

重症の場合は頻脈や血圧低下などの全身症状や、意識混濁などのリスクもあります。

特に高齢者や子供の場合はリスクが高いため、このような症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。

下痢がある場合は体調に注意

下痢にはいくつかの原因が考えられますが、生活習慣の乱れや食事内容が影響しているケースが多いとされています。

おなかがゆるいと感じたら、暴飲暴食を控え、おなかを温めて十分な休養をとるようにしてください。

下痢の症状が続く場合は脱水などのリスクもあるため、水分補給をしっかり行なうことが大切です。

症状が悪化するときには、早く医療機関を受診するようにしましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医