eGFRを改善する方法とは?
eGFRの改善につながる日常生活の注意点についても紹介

腎臓は血液量が最も多く、全身の老廃物を尿に排出し、きれいな血液を心臓に戻す重要な臓器です。

その腎臓に関わる数値として「eGFR」という指標があるのですが、どのような指標かご存知でしょうか。eGFRは腎臓の機能に関わる数値で、日常生活を見直すことでeGFRを改善できるとされています。

今回は、eGFRを改善する方法、eGFRの機能を改善する日常生活の注意点を紹介します。

1.eGFRについて

eGFRは、血清クレアチニン値をもとにeGFR(糸球体が1分間でどの程度の血液を濾過して尿を作り出すかを示す糸球体濾過量)を推定したもので、腎臓の機能を表す指標を示します。

健康な方のeGFRは、100ml/分/1.73㎡前後を示します。タンパク尿などの腎障害がない場合でも、60ml/分/1.73㎡未満が続いていればCKD(慢性腎臓病)と診断されます。

ただし、eGFR が 90ml/分/1.73㎡以上の場合でも、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙習慣など腎臓に障害を与える危険因子を持っている方は注意が必要です。

2.eGFRの改善方法とは?

eGFRの値を改善するためにはどのような取り組みをすればよいのでしょうか。
具体的な改善方法を確認していきましょう。

2-1.生活習慣の改善

禁煙や節酒、減塩、肥満、運動不足の解消は、腎臓を守る習慣につながります。

とくにメタボリックシンドロームや高血圧の症状がある場合は、肥満の対策をして食事の減塩をするようにしてください。

また、飲酒をする際は一般的な適正飲酒量(成人は一日20g=日本酒で一日1合/180ml)を目安にし、節度のある飲酒を心がけます。

喫煙は、肺や心臓、腎臓に密接に関係し、腎機能を低下させることがわかっているため、禁煙しましょう。

2-2.食事内容の見直し

食事では、タンパク質の過剰摂取を避けましょう。

タンパク質を多く摂り過ぎると、体内で老廃物が増える原因となり、腎臓に負担がかかります。

一方で、糖質や脂質などの食事から得るエネルギーが不足すると、体内に存在するタンパク質が優先して消費されるため、かえって老廃物が増加します。

一日3食を心がけ、油脂を適切に使用し、でんぷんを多く含む食品を摂取してください。

また、塩分の摂取量は医師と相談のうえ、一日6g以下に抑えるようにしましょう。減塩を意識し、塩分が多く含まれる漬け物やだし汁、インスタント食品を控え、味付けや調理法などの工夫が必要です。

カリウムやリンを多く含む果物類、いも類、緑黄色野菜類、豆類などの摂取を制限し、摂取する場合は、茹でる・水にさらすなどして調理しましょう。

飲み物では、乳製品やコーヒー、お茶などの摂取にも注意してください。

2-3.適度な運動を心がける

適度な運動は、尿タンパクを減少させるなどのメリットが得られるという報告もあります。

具体的には、ウォーキングや水泳など、普段よりも酸素を多く体内に取り込む有酸素運動と、ダンベルを使用した体操や腹筋などの筋力トレーニングと呼ばれるレジスタンス運動がおすすめです。この2つの運動を併用して行なうと、CKDの進行を抑えるのにも有効です。

腎臓の状態によっては、過度な運動をすることで腎臓により負担を与えてしまうため、かかりつけの医師と相談しながら取り組んでください。

生活習慣の見直しでeGFRを改善し腎臓への負担を減らそう

今回は、eGFRの改善につながる日常生活の注意点について紹介しました。

eGFRは腎臓の機能に関わる数値で、健康な人のeGFRは100ml/分/1.73㎡前後です。日常生活を見直すことでeGFRを改善できるとされています。

腎臓の機能として老廃物を尿として排出し、きれいになった血液を心臓に戻す重要な役割があります。そのため、日頃から禁煙や摂取、食事内容の見直し、適度な運動に取り組み、腎臓への負担を減らしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。