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「悪玉コレステロール」の別名で知られるLDLコレステロールは、現代の食生活では過剰になりがちである点に注意が必要です。
肝臓で生成されたコレステロールを全身に運ぶLDLコレステロールは、過剰になると血管壁に溜まって血管のしなやかさを損ねるリスクがあります。
一方で、LDLコレステロールは低すぎても問題となる場合があります。
今回は、LDLコレステロールの基準値や低くなりすぎる場合の注意点などを解説します。
目次
LDLコレステロールの概要と基準値を解説します。
LDLコレステロールは一般に「悪玉コレステロール」とも呼ばれていますが、低比重リポタンパク質とも呼ばれる脂質であり、肝臓で生成されたコレステロールを全身に運び出す役割を持っています。コレステロールは細胞膜やホルモンなどの材料となる重要な物質であるため、全身へコレステロールを運ぶ働きを持つLDLコレステロールは本来、必要なものです。
しかし、LDLコレステロールが過剰になると、余った分が血管の内壁に溜まって血管のしなやかさを失わせてしまいます。
LDLコレステロールの正常範囲は140mg／dL未満で、140mg／dL以上は高LDLコレステロール血症と呼ばれます。また、59mg／dL未満は異常値です。
LDLコレステロールは基準値より低すぎても異常値といえますが、それはLDLコレステロールを含めたコレステロールが低下すると、甲状腺機能亢進症や栄養吸収障害などになる場合があるためです。
コレステロールは細胞膜やビタミンK、ホルモンなどの材料となる、人体の機能維持に必要な物質です。LDLコレステロールが低くなった結果、総コレステロールも減少すると、免疫機能が低下したり細胞膜が弱くなったりするおそれがあるので注意しましょう。
LDLコレステロールが低値となるときのリスクを解説しましたが、実際には摂りすぎてしまうケースが多く見られます。
ここからは、LDLコレステロールが高くなりやすい原因や、LDLコレステロールを減らしてHDLコレステロールを増やすための食事のポイントを解説します。
食品からの飽和脂肪酸の摂りすぎは、LDLコレステロールが異常高値になる大きな原因です。バラ肉や鶏肉の皮、バター、生クリームなどには飽和脂肪酸が多いので、LDLコレステロールが高めな方は食べすぎないよう注意しましょう。
飽和脂肪酸の過剰摂取に比べれば影響は小さいものの、コレステロールの多い食品を食べすぎるとLDLコレステロールが上がる要因となります。卵の黄身、魚卵などにはコレステロールが多いため、食べすぎに注意することが大切です。
LDLコレステロールが肝臓から全身にコレステロールを運び出す働きがある一方で、HDLコレステロールには血管壁に蓄積したコレステロールを回収して肝臓に戻す作用があります。そのため、LDLコレステロールが高めな方は、LDLコレステロールを減らすとともにHDLコレステロールを積極的に増やすような食生活を心がけましょう。
青魚に含まれるDHAやEPAには、HDLコレステロールを増やす働きがあります。HDLコレステロールの増えるような健康的な食生活を意識して、コレステロールの蓄積を防ぎましょう。
LDLコレステロールの正常範囲は140mg／dL未満であり、140mg／dL以上または59mg／dL未満の場合は基準値外に該当します。
基準値よりも極端に低いときは背景に別の疾患などが隠れている可能性もあり、検査で指摘を受けた場合は必ず医療機関に相談するようにしましょう。
なお、現代の一般的な食生活では、LDLコレステロールは不足よりもむしろ過剰となることが多いです。
血液検査の結果の推移を毎年しっかり確認し、LDLコレステロール値に問題がある場合には食生活の見直しなどを検討しましょう。
氏名：梅村 将成（うめむら・まさなり）
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療（手術・抗がん剤・緩和治療/看取り）を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格：医師免許・外科専門医・腹部救急認定医
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