アイフレイルとは?症状が進行する要因や対策方法について

いつまでも健康で長生きするためには、健康寿命を延ばすことが大切です。健康寿命とは、生活が制限されたり介護されたりする必要がなく過ごせる期間を意味します。

健康寿命を長く保つためには、食生活や運動習慣の見直しだけでなく、目の健康を守ることも重要です。今回は、目の健康が損なわれた状態である「アイフレイル」が進行する要因や、対策方法について解説します。

1.アイフレイルとは?

アイフレイルとは、目がフレイルの状態になっていることです。フレイルとは、加齢により体や心が衰えた状態を指します。もう少し具体的にいうと、介護が必要なほどではないものの、健康ではない段階がフレイルです。

つまりアイフレイルとは、目が完全に見えないわけではありませんが、ぼんやりとしていたり小さな文字が見えづらかったりと、何か気になる症状がある状態を指します。

アイフレイルが悪化すると、骨折リスクの上昇にもつながるため、普段の生活から対策を行なっていくことが大切です。

2.アイフレイルが進行する要因

アイフレイルが進行する要因としては、次のものが知られています。

  • ・加齢による目の機能の衰え

  • ・糖尿病

  • ・高血圧

  • ・喫煙

糖尿病や高血圧、喫煙なども要因となりますが、特に加齢による目の衰えからの影響が大きいでしょう。年齢を重ねると、網膜や視神経の機能が落ちてきたり緑内障や白内障などになったりと、さまざまな疾患にかかりやすくなります。

緑内障は、眼圧が上昇し神経の圧迫から視野が欠けて見えることもある疾患ですが、自覚症状がないことも多く、見過ごされていることも少なくありません。

白内障は水晶体に濁りが生じたもので、加齢により多くの方に見られますが、糖尿病や目の傷が原因で起こることもあります。その他、糖尿病性網膜症や黄斑変性などの網膜疾患もアイフレイルの要因となります。

3.アイフレイル対策のためにできること

アイフレイルを対策するためには、生活習慣の見直しや定期的な眼科検診を受けることが大切です。

3-1.生活習慣の見直し

まずは、生活習慣の見直しを行ないましょう。高血圧・糖尿病などの疾患や、喫煙の習慣は、視力を低下させることがあります。気付かないうちに少しずつ症状が進行していることもあるため、「まだ大丈夫」と思わずに日頃から生活習慣に気を配りましょう。

高血圧や糖尿病は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動でも予防・改善ができます。一日30分以上、週に3~5回を目安に運動を取り入れてみてください。

3-2.眼科検診を受ける

目に何か異常が起きていても、自覚症状がないこともあるでしょう。実際に緑内障と診断された人のうち、約60%は何も症状がなかったというデータがあります。

新しくメガネを作るとき、運転免許の更新が近づいてきたときなど、きっかけは何でも構いませんので、症状がなくても定期的に眼科を受診するようにしましょう。早めに異変が見つかれば、早期治療によって症状の進行を抑えることができます。

4.目の健康維持におすすめの栄養素と食べ物

次の栄養素は、目の健康維持に役立つことで知られています。アイフレイルを防ぐためにも、ぜひ日々の食生活に積極的に取り入れてみてください。

栄養素の種類 多く含まれる食べ物
ビタミンA 小松菜、にんじん、かぼちゃ
β-カロテン かぼちゃ、モロヘイヤ
ビタミンB1 豚肉、豆類
ビタミンB12 シジミ、いくら
タウリン まぐろ、サバ
アントシアニン ブルーベリー
ルテイン ほうれんそう
DHA(ドコサヘキサエン酸) 青魚、まぐろ、かつお

文部科学省「食品成分データベース

目の健康を守る食事を意識しよう

アイフレイルとは、目がフレイルの状態になって視力に問題が出ている状態のことです。視力の低下が命に直接関わるわけではありませんが、骨折などのリスクが高まるため、普段からアイフレイル対策を行なうことが大切といえるでしょう。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病にならないように日々の習慣を見直したり、定期的に眼科検診を受けたりすることで、アイフレイルの予防や早期治療につながります。

自覚症状がなくても眼科に足を運ぶことが、アイフレイルを予防する大きなポイントです。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。