吐き気や冷や汗をともなうめまいの原因は?
めまい予防に役立つ生活習慣も解説

吐き気や冷や汗とともにめまいが起こると、「もしかして重い病気かな?」「大丈夫なのかな?」と不安になる方が多いでしょう。めまいが起こる原因には、さまざまなものがあります。

今回は、吐き気や冷や汗をともなうめまいの原因や、めまい予防に役立つ日常の生活習慣について解説します。

1.めまいの原因と自覚症状

ここでは、めまいの原因と自覚症状を紹介します。
めまいとは、体のバランスを保てなくなる状態をいいます。めまいの多くは、耳の異常が原因だといわれています。吐き気や冷や汗をともなうと不安になりますが、脳に異常があるケースは全体の数パーセントほどしかありません。

自覚症状のおもなパターンは、以下の3つです。

  • • 回転性:目が回る感じや景色が回る感じがします。体が真っ直ぐに立っているのか分からなくなったり、引っ張られるような感じがしたりすることもあります。

  • • 前失神:失神しそうな感覚、倒れてしまいそうな感覚になることです。血の気が引いて気が遠くなったり、目の前が真っ暗になったりする場合もあります。

  • • ふらつき感:体が宙に浮いているような感じになることです。ふらつきを感じたり、よろめいて真っ直ぐ歩けなくなったりするケースもあります。

2.吐き気や冷や汗をともなうめまいの原因は?

吐き気や冷や汗をともなうめまいのおもな原因は、耳の病気です。その他、心の病気によって起こることもあります。

2-1.耳の病気

回転性めまいの原因としてよく知られているのがメニエール病です。メニエール病とは、ストレスがきっかけで起こることがあり、めまいのほか、吐き気や耳鳴り、難聴などの症状も現れます。30~50代の方で多く見られる疾患です。

その他、回転性のめまいの原因として最も頻度の多い良性発作性頭位めまい症や前庭神経炎などがあります。

メニエール病や良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎は、末梢性めまいとも呼ばれ、耳の奥にある内耳に障害が起こることで発症します。
これらの病気は、吐き気や嘔吐などがともなうつらい症状が続きますが、多くの場合、適切な治療を受けることで改善されます。

2-2.心の病気

倒れてしまいそうな感覚があったり、ふわふわと宙に浮くような感じがしたりする場合は、心の病気が原因の可能性もあります。

めまいが出やすい心の病気としてよく知られているのが、パニック障害です。

パニック障害とは不安障害の一つで、強い不安感や窒息感、吐き気、めまい、発汗などの発作が突然起こる病気です。一生のうち、1000人に6~9人の割合で起こるといわれています。パニック障害の治療法は、薬による治療や精神療法などがあります。

3.めまい予防は生活習慣の改善から

めまいは、ストレスがきっかけで起こるメニエール病や血圧の変動、パニック障害のような心の病気が原因で起こる場合もあるため、普段の生活習慣を改善することで予防できることもあります。めまいが気になる方は、以下のポイントを心がけた生活を送るようにしましょう。

  • • カフェインの摂取は節度ある適度な量にする

  • • 規則正しい生活を送る

  • • 運動不足にならないよう適度に体を動かす

  • • 疲れを溜めこみすぎない

  • • 睡眠をしっかり取る

  • • たばこを控える

  • • ストレスを溜めこまない

  • • ウイルス感染症にかからないよう、手洗いをしっかり行なう

ただし、めまいが長引いたり、症状がつらかったりするときは早めに医療機関を受診することも大切です。

めまいや吐き気、冷や汗が気になるときは早めの受診しましょう

吐き気や冷や汗をともなうめまいは、耳や脳、心の病気などが原因で起こります。目が回る、倒れそうになる、宙に浮いているなどの自覚症状が見られます。

原因としては、耳の病気ではメニエール病や良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、心の病気ではパニック障害などが知られています。

規則正しい生活を心がけたり、睡眠をしっかり取ったりすることでめまいは予防できることもありますが、症状が気になったり長引いたりするときは適切な治療を行なうためにも早めに受診するようにしましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。