果糖の摂り過ぎは良くない?果糖の健康への影響について解説

果糖とは糖質の一種であり、果物に多く含まれています。

日頃からよく果物を食べている方は、どのくらいの量が適量なのか疑問に思ったことはありませんか。

今回は、果糖が私たちの健康に与える影響や、果糖の一日あたりの適切な摂取量について解説します。

1.果糖とは?

果糖とはフルクトースとも呼ばれる、糖質の最小単位である単糖類の一つです。同じ単糖類の一つにブドウ糖(グルコース)があります。

糖質は、構成している単糖の数が1個であれば単糖類、2個のものは二糖類、2~10数個であれば少糖類、それ以上のものは多糖類と呼ばれています。

調味料としてよく使っている砂糖はショ糖(スクロース)といい、果糖1分子とブドウ糖1分子が結合した二糖類です。

果糖は、果物やハチミツなど、自然界に広く存在しています。冷やすと甘みを感じやすく、口の中に残りにくいすっきりした甘さがあるのが特徴です。

2.果糖の健康への影響

2-1.果糖の消化や吸収

果糖は単糖類であるため、体内ではこれ以上消化が必要ありません。同じ単糖類であるブドウ糖と比較すると、果糖の吸収スピードは遅いといわれています。

体内に吸収された果糖は門脈と呼ばれる血管を経由して肝臓に運ばれ、フルクトキナーゼという酵素によって変化し、体内で利用されます。
フルクトキナーゼはインスリンの作用を受けない酵素です。そのため、果糖はブドウ糖よりも早く体内で使われます。

2-2.果糖の血糖値・体脂肪への影響

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度です。そのため、果糖を摂取しても血糖値を直接上げることはありません。

ただし、糖新生によってブドウ糖に変換されます。

糖新生とは、肝臓が必要に応じて筋肉から放出される乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出されるグリセロールなどを使って糖を生成し、血液中にブドウ糖を供給する働きのことです。

ブドウ糖は血中を循環してエネルギーとして利用され、余った分は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されます。

一方で果糖は脂肪に変換されやすく、過剰に摂取した場合は脂肪組織に蓄積されます。蓄積された脂肪は生活習慣病や肥満の原因になるため、注意が必要です。

3.果糖は何グラムから摂り過ぎになるのか

果糖は、どのくらい摂取すると私たちの健康へ悪影響をおよぼすのでしょうか。

ある研究によると、一日あたりの摂取量が「50g以上」になると、健康へのマイナス効果が高まる可能性があることがわかっています。

果糖は果物に多く含まれていますが、果物200gから摂取する果糖は「10数g」ほどです。そのため、一日200g程度の果物であれば健康上問題になりませんが、食事のバランスが崩れるほど過剰摂取することは良くないとされています。

糖尿病の方は摂取カロリーの制限があるため、一日あたり80kcal以内にすることが推奨されています。りんごなら1/2個、バナナなら1本、みかんなら2~3個で約80kcalです。

また、缶詰の果物は糖分が高いシロップが含まれているため、摂り過ぎには気を付けましょう。

果糖の摂り過ぎには注意しましょう

果糖(フルクトース)とは単糖類の一つであり、果物やハチミツなどに含まれています。

血糖値はブドウ糖の血中濃度を指しているため、果糖を摂取しても血糖値を直接上げる要因にはなりません。
しかし、果糖は過剰に摂りすぎた場合、肝臓で中性脂肪に合成されて肥満をまねくおそれがあります。

果糖が含まれる果物の摂取量は、一日200g程度であれば健康上影響はありません。ただし、食事のバランスが乱れるほど摂取し過ぎないように注意しましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医