消化や排泄にかかる時間とは?
消化に時間がかかる食べ物についても紹介

季節の変わり目や、体調を崩したときなどに胃腸の調子が悪くなったことはありませんか。

私たちが毎日食べたものは体内で消化され、体に必要な栄養素を吸収し、体内に不要な老廃物は排泄によって外に出されています。

しかし、食べ物によっては消化に時間がかかり、胃腸に負担がかかってしまうこともあります。

では、実際に食べたものが消化や排泄されるまでには、具体的にどのくらいの時間がかかるのでしょうか。
今回は、食べ物が消化・吸収・排泄されるまでの時間を解説します。

1.消化にかかる時間について

ここでは、食事後の一般的な消化時間について解説します。

1-1.一般的に消化にかかる時間

朝にご飯を食べた場合、成人であればおよそ3時間で消化されます。また、消化されたあとは徐々に体内のブドウ糖の濃度が低下していきます。

ブドウ糖は、私たちのエネルギー源として重要な栄養素です。特に脳は、ブドウ糖を唯一のエネルギー源としています。

1-2.朝食は9時までに食べるのがおすすめ

朝食は朝起きたらすぐに食べなければいけない、と思っている人もいるかもしれません。しかし、消化時間を考えると朝食は起床してすぐに食べる必要はないのです。

昼食を12時頃に食べる場合であれば、朝食は遅くとも昼食の3時間前である9時までに食べると、ブドウ糖が消化される丁度良いタイミングで補給ができます。

また、ご飯を主食とした和食であれば、一般的に脂質が少なく消化に負担がかかりにくいためおすすめです。

2.脂肪分の多い食べ物は消化に時間がかかる

揚げ物や油が多い料理を摂ったあとに、胃がもたれるような感覚になったことはありませんか。

脂肪の多い食べ物は、糖質やタンパク質が多い食べ物に比べると消化の始まりが遅く、体内に吸収されるまで時間がかかります。胃にとどまる時間が長いため腹持ちは良いのですが、消化に時間がかかるということは、それだけ胃腸に負担をかけていることにほかなりません。

なかでも脂肪の多い肉や天ぷらなどは、消化されるまでにおよそ4時間かかるといわれています。胃腸の負担を減らすためには、なるべく脂肪が少ない食べ物を選び、揚げ物もほどほどにしましょう。

また、胃腸の働きをコントロールしているのは自律神経です。そのため、心や体への過剰なストレスや、睡眠・運動の不足など生活リズムの乱れがあると自律神経も乱れやすく、胃腸のトラブルが起こりやすくなります。

3.食べたものが排泄されるまでの時間

排泄は、私たちにとって生命維持のために欠かせない生理現象の一つです。体内から便がしっかりと出ることは腸が元気な証拠であり、規則正しい排泄は健康維持のためにも重要といえます。

ヒトの体には、口から胃腸を通過して肛門まで続く消化管があります。この消化管の役割は、食べたものを消化・吸収して栄養素を体内に取り込み、不要なものを便として排泄することです。

消化管は成人の場合約8~9mもの長さがあり、身長160cmの人であれば身長に対しておよそ5~5.5倍もの長さがあります。

口から摂った食べ物が体内で消化吸収され、便として排泄されるまではおよそ24時間から48時間かかります。

消化や排泄にかかる時間を把握しておきましょう

食べ物を消化・吸収・排泄することは、私たちの命と健康を維持するために欠かせない生理現象です。

一般的には食べ物を食べてからおよそ3時間で消化されますが、脂肪が多い肉や揚げ物などに関してはさらに時間がかかります。消化に時間がかかれば胃腸への負担も増えるため、脂肪が少なめの食事を心がけましょう。

また、胃腸の働きを良くするためには適度な運動やストレス解消など、生活習慣を改善することが大切です。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。