大腸の働きとは?
便秘解消に効果的な栄養素・生活習慣のポイントについて

大腸は、食べ物の消化・吸収に携わる臓器の一つです。大腸の働きが悪くなると便秘症状が現れるなど、生活に支障が出ることがあります。

便通は健康のバロメーターであり、いきいきとした毎日を送るには健やかな大腸を保つことが重要です。

今回の記事では、大腸の2つの働きを解説するとともに、食物繊維の役割と便秘改善に役立つ生活習慣について紹介します。

1.大腸の働きについて

大腸は小腸の周りにある、およそ1.5~2mの臓器です。大腸を大まかに分けると、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸からなる結腸と、直腸S状部、上部直腸、下部直腸からなる直腸があります。

ここでは、大腸が持つ2つのおもな役割について解説します。

1-1.食べ物を最終的に処理する

大腸の1つ目の働きは、食べ物から水分を吸収し、肛門に送られるまでの間にゆっくりと固形の便をつくることです。

摂取した食べ物は胃で分解されたあと、小腸で必要な栄養分が吸収され、大腸にはその残りが送られます。この残りの物質から、体に必要な水分・ミネラルなどをさらに吸収するのが大腸の大切な役割です。大腸で水分など吸収された物質は固形の便となり、肛門付近まで移動します。

1-2.排せつする

大腸の2つ目の働きは、一時的に便を溜めて肛門から排泄することです。

固形になった便は脳からの合図が来るまでS状結腸に溜められ、合図が来たら直腸へ送られて肛門から排泄されます。食べ物が口から入って、便として排泄されるまでにかかる時間はおよそ24~48時間です。

このように、大腸は体にとって必要ではないものを処理し、便を一時的に蓄えるという重要な役割を果たします。体の健康のためにも、大腸の働きをスムーズにすることが大切です。

2.食物繊維は便秘の予防・改善に効果的

大腸の働きが関わる不調の一つに便秘があります。便秘とは、便を十分量かつ快適に出せない状態にあることです。

ここでは、便秘に効果があるといわれている食物繊維と、便秘改善をサポートする生活習慣のポイントを紹介します。

2-1.食物繊維の摂取で便秘が改善する場合もある

食物繊維とは炭水化物の一種です。炭水化物のうち、ご飯などに含まれるデンプンは消化されますが、食物繊維は人間の体内では消化されません。

食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、やわらかい繊維の野菜や海藻類などに含まれる水溶性食物繊維は、便をやわらかくしたり、腸の善玉菌を増やしたりする作用があります。

一方で、便の体積を増やして腸管に刺激を与え、便通を調整する作用があるのは不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は、硬い繊維の野菜やきのこ類などに多く含まれます。

便秘対策のためにも、普段から両方の食物繊維を意識した食生活を心がけましょう。

2-2.生活習慣のポイント

便秘改善には、次のような生活習慣の見直しも大切です。

  • ・水分をこまめに摂る

  • ・ストレスを溜めない

  • ・運動習慣を身につける

  • ・整腸作用が期待できる食品を積極的に摂る

通常、便の約80%は水分ですが、便秘の状態だと便に含まれる水分は70%以下になっています。そのため、排便しやすくするには、水分をしっかり摂って便をやわらかくすることが大切です。

また、ストレスや強い緊張状態も便秘の原因となるため、ストレスが溜まらないようにしましょう。

食事においては、ヨーグルト、味噌、納豆、キムチといった発酵食品を積極的に摂るようにしてください。発酵食品には、腸内環境を整える作用が期待できます。

これらのことを意識して生活リズムが整うと、自律神経のバランスが良くなり、スムーズに排便しやすい状態へとつながります。

健康的な大腸にするには生活習慣改善などの便秘対策が大切

大腸の役割は、食べ物から水分を吸収して便をつくることと、便を排せつすることです。大腸の動きが悪くなると便秘になることがあるので、注意しましょう。

便秘対策には、水溶性食物繊維や不溶性食物繊維をバランス良く食生活に取り入れることが大切です。その他、水分や発酵食品などを積極的に摂ったり、適度な運動をしたりするのも有効といえます。

快便は、快食や快眠と同じく、健康な毎日に欠かせない要素です。生活習慣を見直して、健やかな大腸を目指しましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医