豚肉にはビタミンB1が豊富
ビタミンB1を損なわない調理のポイントやおすすめレシピを紹介

スタミナ食材として知られる「豚肉」には、ビタミンB1が多く含まれています。では、なぜビタミンB1はスタミナに良いといわれているのでしょうか。

今回は、ビタミンB1の働きや、不足すると体にどのような悪影響があるかについて解説していきます。そのうえで、豚肉のビタミンB1を無駄なく摂取するための調理のポイントとおすすめレシピを2つ紹介するので、毎日の食事づくりの参考にしてみてください。

1.豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれている

お疲れモードの人におすすめの食材が「豚肉」です。こちらでは、豚肉に豊富に含まれているビタミンB1について解説します。

1-1.ビタミンB1とはどのような栄養素?

ビタミンB1は「チアミン」とも呼ばれることがあり、数あるビタミンのなかで最初に発見された水溶性のビタミンです。

体内では、ブドウ糖をエネルギーに変換するときに活躍しています。そのため、ビタミンB1は疲労回復効果があり、ビタミンB1の多い豚肉は“スタミナ食材”と呼ばれているのです。また、ビタミンB1は情緒を安定させる栄養素ともいわれています。

1-2.ビタミンB1が不足すると

ビタミンB1が不足すると、エネルギーをうまくつくり出せなくなるため、疲れ・食欲不振・だるいといった症状が現れます。

特に、白米を多く食べる人、甘いものやお酒が好きな人、運動選手はビタミンB1の消耗が激しく、ビタミンB1が不足しやすいといわれています。該当する場合は、積極的にビタミンB1を補給しましょう。

1-3.豚肉に含まれるビタミンB1の量

豚肉は、身近な食材のなかでビタミンB1を豊富に含んでいます。

豚肉のビタミンB1の含有量は以下のとおりです。

食品名 食品100gあたり
ビタミンB1含有量(㎎)
豚ヒレ肉(焼き) 2.09
豚もも肉(焼き) 1.19
豚生ハム 0.92
豚ボンレスハム 0.90
豚ロース(生) 0.90

参照:文部科学省「食品成分データベース

豚肉は日々の食卓に取り入れやすく、毎日の健康づくりに重宝する食材といえるでしょう。

次は、ビタミンB1を効率良く摂取するための調理のポイントを紹介します。

2.ビタミンB1を豊富に含む豚肉を調理する際のポイント

ビタミンB1は、調理によって損なわれてしまうデリケートな栄養素です。ビタミンB1を無駄にしないためにも、調理のポイントについて押さえておきましょう。

2-1.ゆで汁・煮汁は捨てない

ビタミンB1は水に溶ける性質があるため、豚肉をゆでると50%ほどのビタミンB1が煮汁に流出してしまいます。そのため、煮汁も捨てずに摂取できるメニューがおすすめです。

カレーやシチュー、ポトフなどにするとよいでしょう。

2-2.香味野菜と組み合わせてパワーアップ

豚肉と香味野菜の組み合わせは、味だけでなく栄養面でも理にかなっています。ネギやニンニク・玉ねぎといった香味野菜には、アリシンという成分が豊富に含まれ、ビタミンB1の吸収を促進する働きがあります。

玉ねぎが入っている豚の生姜焼きや豚丼などを食べれば、ビタミンB1を効率良く摂取できるでしょう。

3.ビタミンB1が豊富な豚肉を使ったレシピ

ここからは、ビタミンB1補給に最適な豚肉を使ったレシピを2つ紹介します。

3-1.レタスと豚バラのフライパン蒸し

まず紹介するのは、包丁いらずの簡単レシピ「レタスと豚バラのフライパン蒸し」です。食べる際は、ポン酢などをお好みでかけるとよいでしょう。

【材料】(2人分)

  • ・レタス 1個

  • ・豚バラ薄切り肉(しゃぶしゃぶ用) 200g

  • ・塩 適量

  • ・こしょう 適量

  • ・ごま油 大さじ1

【作り方】

  • 1. レタスの芯を取り除き、水で洗って食べやすいサイズにちぎります。

  • 2. レタスをフライパンに適量入れて、豚バラ肉をその上に並べたら、塩・こしょうをふります。これをもう一度、同じ順番で行ないます。

  • 3. 2を中火にかけて蓋をして蒸気が上がってきたら、火を少し弱めて約3分加熱して完成です。

3-2.塩豚のとろとろ煮

次に紹介するのは、しっとり食感がおいしい「塩豚のとろとろ煮」です。煮込む際はあまり煮立たせないように火加減を調整し、こまめにアク取りをすると、澄んだスープになります。

【材料】(2人分)

  • ・豚もも肉(ブロック) 200g

  • ・粗塩 5g

  • ・玉ねぎ(小) 1個

  • ・にんじん 1/2本

  • ・大根 5cm

  • ・じゃがいも 1個

  • ・ローリエ 1枚

  • ・ブラックペッパー(ホール) 6粒

  • ・塩 少々

  • ・粒マスタード 適量

  • ・水 約500cc

  • ・パセリ(みじん切り) 適量

【作り方】

  • 1. 豚もも肉は粗塩をすり込み、冷蔵庫で1日以上寝かせます。

  • 2. じゃがいもの皮をむいて4等分に切り、水にさらします。玉ねぎ・にんじん・大根も皮をむいたら、じゃがいもと同程度のサイズに切ります。

  • 3. 厚手の鍋に玉ねぎ・にんじん・大根・ローリエ・ブラックペッパーを入れたら、水をひたひたになるくらいに加えて火にかけます。

  • 4. 沸騰したら、豚もも肉とじゃがいもを入れて、アクを取り除きながら吹きこぼれないようにして煮ます。

  • 5. じゃがいもがやわらかくなる前に塩で味を調整し、十分にじゃがいもに火が通り、やわらかくなったら火を止めます。

  • 6. 豚もも肉を切り分けて、スープや野菜と合わせて皿に盛り付けます。塩と粒マスタードを添えて、上からパセリを散らしたら完成です。

ビタミンB1の宝庫「豚肉」はイキイキ生活の強い味方

スタミナ食品として知られる豚肉は、疲労回復効果が期待されるビタミンB1が豊富に含まれている食材です。

しかし、せっかく豊富に含まれているビタミンB1も、ゆでると半減してしまいます。ビタミンB1は水に溶けやすいため、豚肉をゆでたり煮込んだりする場合は、煮汁も残さず食べる料理がおすすめです。

また、玉ねぎやネギといった香味野菜と組み合わせることで、ビタミンB1の吸収率がアップします。いろいろな料理で豚肉を楽しんで、イキイキ生活を目指しましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。