目次
1.熱中症とは?
熱中症は、気温や湿度が高い環境下で体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温や循環の調節機能が乱れたりすることによって生じる障害の総称で、おもな病型は「熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病」の4種類があります。
暑さで体の熱放散の効率が悪くなると、体温調節機能や循環調節機能、生理調整機能などがうまく働かなくなり、熱中症につながります。
暑い季節に耳にすることが多い「熱中症」は、原因や症状によっていくつかの病型(種類)に分けられるのを知っていますか?
実際は、複数の病型が混在して発生すると考えられますが、病型ごとの特徴を知っておくと、対処する際の判断基準の一つになります。
今回は、熱中症の概要や病型別の特徴、予防方法について解説します。
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熱中症は、気温や湿度が高い環境下で体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温や循環の調節機能が乱れたりすることによって生じる障害の総称で、おもな病型は「熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病」の4種類があります。
暑さで体の熱放散の効率が悪くなると、体温調節機能や循環調節機能、生理調整機能などがうまく働かなくなり、熱中症につながります。
前述した熱中症のおもな病型について、以下で詳しく見てみましょう。
炎天下でじっと立っていたり、立ち上がったりしたときや、運動して汗をかいたときに見られるのが熱失神です。皮膚血管の拡張と下肢への血液貯留により、一時的に脳への血流が減少することで起こります。
熱失神のおもな症状は、めまいや失神などです。
大量の汗をかいて塩分が失われている状態で、水(あるいは塩分の少ない水)を補給することにより、血液中の塩分濃度がさらに低下して起こるのが熱けいれんです。
熱けいれんのおもな症状は、痛みをともなう筋肉のけいれんで、四肢の筋肉や腹筋などに見られます。
熱疲労は、発汗による脱水と皮膚血管の拡張が原因で、循環不全に陥った状態を指します。
熱疲労のおもな症状は、脱力感・倦怠感・吐き気・頭痛です。症状が重くない場合は、スポーツドリンクなどで速やかに水分と塩分を補給すると、通常は回復します。
熱射病は、体温が40度以上になるほど過度に上昇し、脳の機能に異常が出たり、体温調節機能が働かなくなったりする状態です。
応答が鈍く、普段と異なる言動が見られたら、熱射病の可能性があります。また、全身のけいれんやふらつきも、熱射病の症状の一つです。
体温が高い状態が続くと、脳だけでなく、肝臓・腎臓・肺・心臓などの多臓器障害を併発するおそれがあるため、注意しなければなりません。
熱中症を予防するには、屋外では風通しの良い服装にするとともに、帽子や日傘を使って暑さを避けましょう。帽子や日傘がない場合は、日陰を歩くのが有効です。
屋内では、エアコンや扇風機で室温・湿度を調整してください。
また、屋内・屋外に関係なく、のどの渇きを感じる前からこまめな水分補給は欠かせません。汗をかくとミネラルやビタミンも失われるため、水分とともにミネラルも補給するとよいでしょう。
熱中症は、「炎天下に長時間いた」といった典型的な場面だけでなく、梅雨の時季に突然気温が上がったときにも起こりやすいのが特徴です。そのため、ウォーキングやランニングなどの運動で日頃から汗をかくようにし、暑さに体を慣らしておくことも、熱中症の予防につながります。
熱中症は、種類によって原因や症状が異なりますが、いずれの場合も「暑さを避ける」「こまめに水分を補給する」など、基本的な予防方法は変わりません。
気温・湿度が高い日や、体が暑さに慣れていないときは、特に注意が必要です。
熱中症のなかでも特に熱射病が疑われる場合は、速やかに冷却処置を開始し、医療機関へ搬送することが重要であると覚えておきましょう。
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。
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