緑茶に含まれる栄養素は?緑茶の心身に対する作用も解説

日本人に親しまれている「緑茶」は健康に良い影響をおよぼし、緑茶を飲む習慣がある人は、病気によるさまざまなリスクを軽減することがわかっています。さらに、体だけでなく心の健康をサポートする働きも報告されています。

心と体の健康のためにも、緑茶でホッと一息つく習慣を大事にしていきたいものです。
今回は、緑茶に含まれる栄養素とその作用について解説します。

1.緑茶に含まれる栄養素

こちらでは、緑茶に含まれる栄養素についてご紹介します。

1-1.タンニン

タンニンは、渋み成分であり、後味にほのかな甘みがあるのが特徴的です。ポリフェノールの一種でカテキン類に分類されています。タンニンは、鉄の吸収率を低下させる作用があるので、鉄不足には注意しましょう。

1-2.カフェイン

カフェインは、苦み成分であり、若い茶葉ほど多く含まれています。含有率は以下のとおりです。

  • ・抹茶 4.6%

  • ・玉露 3.0%

  • ・煎茶 2.8%

  • ・番茶 2.0%

1-3.テアニン

テアニンはアミノ酸の一種で、茶葉が日光に当たっていない日本茶に多く含まれるうまみ成分です。なかでも、早い時期に摘み取る新茶や直射日光に当たらないように栽培された玉露に多く含まれています。

1-4.ビタミン類

緑茶に含まれるおもなビタミンは、以下のとおりです。

  • ・βカロテン(体内で必要な分だけビタミンAに変換されます)

  • ・ビタミンB1

  • ・ビタミンB2

  • ・ニコチン酸

  • ・パントテン酸

  • ・葉酸

  • ・ビオチン

  • ・ビタミンC

  • ・ビタミンE など

なかでも豊富に含まれているのは、「βカロテン」「ビタミンC」「ビタミンE」です。

1-5.ミネラル

緑茶に含まれるおもなミネラルは、以下のとおりです。

  • ・マグネシウム

  • ・カリウム

  • ・カルシウム

  • ・鉄 など

このように、緑茶にはさまざまな成分が含まれています。しかし、その約70%は水に溶け出しません。例えば、「βカロテン」や「ビタミンE」、その他「タンパク質」や「食物繊維」も緑茶の茶葉には含まれていますが、これらはお茶の浸出液にはあまり溶け出さないのです。

そのため、無駄なく摂取したい場合は抹茶を飲むか茶葉を料理に使って食べるとよいでしょう。

2.緑茶の心身に対する作用

次は、緑茶の健康パワーについて紹介します。

2-1.生活習慣病の予防

緑茶には、生活習慣病から身を守る成分が含まれています。

  • カテキン

    カテキンは、血圧や血糖値が上がるのを抑える作用や血液中のコレステロールを低下させる作用があります。

  • カリウム

    カリウムは、塩分を体外へ排出する働きがあり血圧上昇を抑えます。

  • カフェイン

    カフェインは、運動中の脂肪燃焼をサポートする働きがあります。

2-2.抗酸化作用

緑茶には、数種類の抗酸化成分が含まれており、美容と健康に役立ちます。

  • カテキン

    カテキンは、老化や病気の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。

  • βカロテン

    βカロテンは、抗酸化作用があり、体内に入ると必要に応じてビタミンAに変わり、体に作用します。

  • ビタミンC

    ビタミンCは、酸化を抑制する働きがあり、美容や健康サポートに役立ちます。

  • ビタミンE

    ビタミンEは、抗酸化作用があり、病気や老化予防が期待できます。

2-3.疲労感の軽減や眠気予防

緑茶に含まれる「カフェイン」には、神経を興奮させる作用があります。そのため、だるさや疲労感の軽減、眠気を覚まして作業速度を上げる効果が期待できるのです。

2-4.リラックス作用

緑茶に含まれる「テアニン」には、リラックス作用があります。テアニンは、神経細胞や脳の興奮を抑え、緊張を緩める働きがあるのです。

リラックス作用により筋肉が緩み、血管は拡張するので血行も良くなります。集中力を維持するためにも有効な可能性があります。

2-5.その他の作用

緑茶は、以下のような作用もあります。

  • カテキン

    カテキンには、「抗菌作用」「抗ウイルス」「虫歯・口臭予防」「紫外線吸収作用」といった働きがあります。

  • テアニン

    テアニンには、「睡眠の質改善」「記憶力改善」のほか、「カフェインによる興奮作用を抑える」といった働きもあります。

  • ビタミンC

    ビタミンCは、コラーゲン生成のサポートをして健康的な肌を維持する働きがあります。

緑茶に含まれる栄養素で健康な毎日を手に入れましょう

緑茶は「日本茶」とも呼ばれるほど、日本人には身近な飲み物です。そんな緑茶には、健康をサポートするさまざまな栄養素が含まれています。

カテキンやテアニン、カフェイン、ビタミンなどといった有用成分により「抗酸化作用」「生活習慣病予防」「リラックス作用」「疲労感や眠気予防」といった働きが期待できるのです。

私たちは、ストレスが多く、飽食の時代に生きています。私たちの心と体の健康をサポートするうえで、緑茶は心強い味方です。緑茶でホッと一息つく習慣を大事にして健康的に過ごしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。