目次
1.腹囲とウエストの違い
腹囲とウエストはどちらもお腹まわりのサイズを示す数値ですが、実際は異なる部位を測っているため別物です。
腹囲は「へその高さで測る腰まわりの大きさ」を指します。「ウエスト周囲径」と呼ばれることもありますが、特定健診などで測定するのはこちらです。
一方、ウエストは「腰の一番くびれている部分の大きさ」であり、いわゆるウエストラインを指します。ちなみに欧米の場合、このウエストを腹囲として測定しているため、日本の腹囲と数値が変わることに注意しておきましょう。
特定健診や一般検診では、身長・体重や血圧に加えて「腹囲」も測定します。
一方、アパレルショップなどで服を購入するとき、店員に「ウエスト」を測定してもらうことがありますが、腹囲と何がどう違うのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、腹囲とウエストの違いや腹囲からわかる情報、男性と女性に腹囲の基準が異なる理由について解説します。
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腹囲とウエストはどちらもお腹まわりのサイズを示す数値ですが、実際は異なる部位を測っているため別物です。
腹囲は「へその高さで測る腰まわりの大きさ」を指します。「ウエスト周囲径」と呼ばれることもありますが、特定健診などで測定するのはこちらです。
一方、ウエストは「腰の一番くびれている部分の大きさ」であり、いわゆるウエストラインを指します。ちなみに欧米の場合、このウエストを腹囲として測定しているため、日本の腹囲と数値が変わることに注意しておきましょう。
腹囲(ウエスト周囲径)は「内臓脂肪の蓄積」を判定するための目安であり、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を診断する指標の一つとされています。
メタボリックシンドローム(以下メタボ)とは、単に太っているだけの状態を指す言葉ではありません。内臓に多くの脂肪が蓄積していることが認められ、なおかつ高血圧・脂質異常・高血糖のうち2つ以上が該当する状態を指します。
内臓脂肪が蓄積しているかどうかは、あらかじめ定められた腹囲の基準に沿って判定されます。男性の場合は85㎝以上、女性の場合は90㎝以上が、メタボの疑いありとされる基準です。
腹囲が上記の数値以上だと、腹部CT検査における「内臓脂肪の断面積100cm2以上」に相当します。100cm2未満の人と比較すると、100cm2以上の人は合併疾患数が約50%以上増加することがわかっているため、内臓脂肪が多すぎると判定されるようになったのです。
先述したように、内臓脂肪の蓄積が認められる腹囲は、男性なら85㎝以上、女性なら90㎝以上とされています。男性よりも女性の腹囲の基準がゆるく設定されていますが、これは、女性は皮下脂肪が多いという身体的特徴があるためです。
そもそも肥満は大きく分けると、内臓(腸)のまわりに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」と、お尻や太もものまわりに脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)」の2種類になります。前者は男性、後者は女性に多く見られることが特徴です。
女性につきやすい皮下脂肪は、内臓脂肪ほどメタボに影響はありません。メタボの診断基準で欠かせない項目は、皮下脂肪+内臓脂肪の蓄積ではなく、内臓脂肪の蓄積です。そのため、腹囲の診断基準が男性より5㎝大きく設定されています。
ただし、メタボへの影響がないとはいえ、皮下脂肪も蓄積すると関節痛や月経異常といった症状を引き起こすため注意が必要です。
腹囲はへその高さで測る腰まわりの大きさ、ウエストは腰の一番くびれているところの大きさとなるため、似て非なるものです。
腹囲は、内臓脂肪がどれだけ蓄積しているかを確かめる目安であり、メタボを診断するために欠かせない指標でもあります。そのため、正確な位置できちんと計測するようにしましょう。
もし腹囲の基準を超えてしまったら、生活習慣や食事を見直してみましょう。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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