βカロテンとはどのような栄養素?
特徴・摂取量の目安・上手な摂り方を解説

βカロテンは、緑黄色野菜に多く含まれており、健康に良い栄養素として知られています。しかし、βカロテンの特徴や摂取量の目安などは、意外と知らない方もいるでしょう。

そこで今回は、βカロテンの特徴や摂取量の目安、効率良く摂取する方法について解説します。併せておすすめのレシピも紹介しているので、参考にしてください。

1.βカロテンの特徴

カロテン(カロテノイド)とは植物の色素の一種で、体の中に取り込まれるとビタミンAに変わる性質を持つ、プロビタミンAと呼ばれる物質です。βカロテンは、カロテンの代表的な存在で、臓器や器官などの成長に関わっています。

抗酸化作用のあるβカロテンは、人体の活性酸素を減少させるのが特徴です。さらにβカロテンは、体の中で必要とされる分だけビタミンAに変換することができます。

βカロテンはその他のカロテノイドと比較すると、より効率良くレチノールに変換される物質ですが、すべてのβカロテンが変換されるわけではありません。変換されなかったβカロテンは、脂肪組織の中に蓄積されたり腸管から排泄されたりします。

なお、一日最大300 mg以上を過剰摂取すると、肌が黄色くなる症状の柑皮症の原因になりえます。妊娠中の方が、カロテンを過剰に摂取した場合は、危険性が示されているので注意してください。

2.βカロテンの摂取量の目安

βカロテンの過剰摂取は注意すべきですが、どの程度を目安に摂取すればよいのでしょうか。実は、βカロテン単独での摂取量の目安は示されていません。

そこでここでは、ビタミンAの食事摂取基準の推奨量(μgRAE/日)について、年代別・性別で表にまとめて紹介します。

年齢 男性 女性
18~29 850 650
30~49 900 700
50~64 900 700
65~74 850 700
75歳上 800 650

※参照:日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書

目安にはなりますが、妊娠後期の方は、表の推奨量に80をプラスした数値が推奨量です。また、授乳中の推奨量は、450を追加した数値になります。

3.βカロテンを豊富に含む食品とおすすめレシピ

ここでは、βカロテンを豊富に含む食品と効率良く摂取できるおすすめレシピを紹介します。

3-1.食品

βカロテンを多く含むおもな食品と含有量は次のとおりです。

  • ・パセリ(2万8,000μg)

  • ・しその葉(1万1,000μg)

  • ・にんじん(1万1,000μ

  • ・モロヘイヤの葉・茎(1万μg)

  • ・ほうれん草(8,600μg)

  • ・かぼちゃ(5,400μg)

  • ・春菊(5,300μg)

可食部100gあたりに600μg以上のカロテンを含む野菜を、緑黄色野菜と呼びます。実は、一般的に緑黄色野菜と呼ばれるトマトやピーマンは、この基準値を満たしていません。しかし、食べる頻度や量が多いことから、緑黄色野菜とされているのです。

3-2.おすすめレシピ

ここでは、βカロテンをたっぷり摂取できるかぼちゃのクリームシチューを紹介します。

【材料】2人分

  • ・かぼちゃ 1/8個

  • ・玉ねぎ(小) 1個

  • ・にんじん 1/3本

  • ・パセリ 適量

  • ・鶏もも肉 1枚

  • ・バター 20g

  • ・小麦粉 20g

  • ・水 350~400ml

  • ・顆粒コンソメ 大さじ1

  • ・牛乳 200ml

  • ・塩 適量

  • ・こしょう 適量

【作り方】

  • 1. まず、かぼちゃ・玉ねぎ・にんじんを一口大にカット。パセリは、細かくみじん切りにします。

  • 2. 鶏もも肉を一口大の大きさにカットしたら、塩・こしょうで下味をつけましょう。

  • 3. 鍋にバターを入れて熱し、玉ねぎが透き通るまで炒めます。そのあと、にんじん・鶏もも肉を鍋へ追加し、火を通してください。

  • 4. 鶏もも肉に火が通って色が変わったら、かぼちゃを追加しさらに炒めます。全体にほどよく油がなじんだのを確認し、小麦粉を振り入れてそのまま炒めましょう。

  • 5. 小麦粉の粉っぽさがなくなったら、水と顆粒コンソメを加えます。弱火で具材がやわらかくなるまでじっくり煮込んでください。

  • 6. 牛乳・塩・こしょうを加えて味を調整します。

  • 7. 最後に、具を器に盛り付け、パセリのみじん切りを飾ったら完成です。

材料を炒める時間が長いため、中火から弱火で焦げないようにじっくり炒めるのがポイントです。

4.βカロテンを効率良く摂取する方法

カロテンは脂溶性のため、油類と一緒に食べると、効率良く吸収できます。炒め物にしたり、おひたしにごま油を混ぜたりして、工夫しましょう。

さらに、にんじんに含まれているカロテンは、皮に近い部分に多く含まれています。そのため、調理する際はなるべく皮を薄く剥くと、より多くのカロテンを残した状態でにんじんを食べられるでしょう。

βカロテンを上手に摂りましょう

プロビタミンAとも呼ばれるβカロテンは、抗酸化作用があるため、人体の活性酸素を低下させる効果が期待できます。

脂溶性のカロテンは、炒め物やオイルなど油類と相性が良いのが特徴です。カロテンをより効率良く取り込みたい方は、調理の際に工夫してみてください。また、皮の近くに多くのカロテンを含むにんじんは、皮を薄く剥くのがポイントです。

一緒に食べる食品や調理の仕方を工夫して、効果的にβカロテンを摂取するようにしてみましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。