1.うっ血とは?
そもそも、うっ血とはどのような状態を指すのでしょうか。
全身に流れる血液が心臓に戻る血管を静脈といいますが、体の一部に静脈の血液が異常に多く溜まっている状態が「うっ血」です。
うっ血が起こるおもな要因は、以下のとおりです。
例えるなら、下流の池から上流の田んぼへ水をくみ上げて送っているときに、くみ上げるポンプの働きが弱まった状態です。ポンプの力が弱まると、池の水はあふれ出してしまいます。これが、人間の体においてうっ血している状態です。
うっ血に関しては、顔の火照りや足のむくみ程度だと思って軽くとらえる方もいるでしょう。しかし、重大な病気につながる危険もあるため、注意が必要です。
うっ血を「充血」と混同している方もいますが、充血とは体のある部分の動脈を流れている血液が異常に増える状態を指すため、充血とは別のものになります。
2.うっ血の影響で現れる症状
ここでは、うっ血の影響によるおもな症状を紹介しましょう。
心臓が全身へ血液を十分に送れなくなり、肺にうっ血が起こると、動作にともなう息切れや動悸、むくみ、急激な体重増加、疲れやすさなどの症状が現れます。その他、脈拍の増加や尿量の減少などを引き起こすこともあります。
放置してしまうと症状が重くなり、健康に悪影響をおよぼす場合もあるため、早めの対処が大切です。
3.うっ血によって引き起こる病気は早期の発見が重要
特に高齢者の場合は、何かいつもと違う症状が起こっても年齢のせいと思い込み、放置してしまう方も多いでしょう。しかし、何かの病気が進行してしまうと、それだけ治療も難しくなるため、早期発見と早期対応が大切です。
年齢を重ねると、体力が落ちてしまうため、階段や坂を少し登っただけでも息切れをすることがあります。しかし、このような加齢にともなう変化は急激には起こることは少ないです。少し前にはできていたことが難しくなったり、急に体力の衰えを感じたりした場合、心臓などに何らかの異常がある可能性も考えられます。
「重い荷物を持って歩くのがつらくなってきた」「少し歩いただけでも息切れしやすい」といった変化を感じた場合は、早めに医療機関に相談するのがよいでしょう。
また、うっ血を早期発見するためには、以下のような初期サインを見逃さないようにしましょう。
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・特に理由がないのに、むくみができる
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・短期間で体重が増える
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・動くと息苦しさがある
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・疲れやすい
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・足にむくみがある
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・咳とピンク色の痰が出る
上記のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関へ相談することが大切です。
うっ血は早めの対応が大切
うっ血とは、体内のある部分に、血が溜まりすぎてしまう状態で、息苦しさやむくみ、疲れやすさなどさまざまな症状が起こりやすくなります。
重大な病気が隠れている可能性もあるため、軽く考えずに早めに対応することが大切です。
動くと息苦しさがある、疲れやすい、むくみ、急激な体重増加、咳やピンク色の痰があるなどの症状に気付いたときは、放置せずに早めに医療機関へ相談しましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。