1.抗酸化作用を持つ食べ物を摂取したほうが良い理由
抗酸化作用とは活性酸素の産生を抑えたり、活性酸素による損傷を修復したりする作用のことです。活性酸素を抑えるうえで、抗酸化作用のある食べ物の摂取が注目されています。
そもそも活性酸素とは、呼吸によって人体に取り込まれた酸素がさまざまな刺激によって活性化した状態のことです。活性酸素は免疫機能の調整や細胞間の信号伝達などで働く大切な物質ですが、過剰になると細胞を傷つけて老化や疾病などを引き起こすことが知られています。
活性酸素に対する抗酸化防御機構は、大きく分けて2種類あります。一つ目は「内因性の抗酸化酵素」であり、活性酸素を抑えるために人体に備わっている防御機構です。
もう一つは「外因性の抗酸化物質」であり、抗酸化作用を持つ食べ物を摂取すると活性酸素の抑制につながると考えられています。体内の抗酸化酵素は加齢とともに減少してしまうため、食べ物から抗酸化物質を補う重要性が注目されています。
2.抗酸化作用が期待できる栄養素と食べ物
抗酸化作用が期待できる、おもな栄養素や食品を解説します。
2-1.ビタミンA
ビタミンAはβ-カロテンとして緑黄色野菜のなかに多く含まれており、β-カロテンには活性酸素の生成抑制や除去の作用があることが知られています。モロヘイヤやニンジン、かぼちゃなどはβ-カロテンが特に豊富です。β-カロテンは油とともに摂取すると吸収されやすくなる特徴があるため、油炒めなどで食べると効率良く摂取できます。
2-2.ビタミンC
ビタミンCは過酸化脂質の生成抑制に働く抗酸化ビタミンであり、赤ピーマンやグレープフルーツなどに豊富です。水溶性で熱に弱い性質があるため、生食が可能な食品はできるだけ生食で食べ、加熱を要する場合には短時間に留めるとビタミンCの摂取効率を高めることができます。
2-3.ビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用と過酸化脂質の生成抑制作用を持つビタミンです。アーモンドやかぼちゃ、赤ピーマンなどに多く含まれています。ひまわり油やコーン油などの種実由来の油にも豊富ですが、酸化されやすいため新鮮な油を使うよう心がけましょう。
2-4.ポリフェノール
ポリフェノールにはアントシアニンや大豆サポニンなどさまざまな種類があり、いずれも活性酸素を除去する抗酸化物質です。アントシアニンはブルーベリーなど、大豆サポニンは納豆・豆乳などの大豆製品に豊富に存在します。ポリフェノールは水溶性で持続時間が短いため、こまめに摂取するのが理想的です。
2-5.カロテノイド
カロテノイドもまた活性酸素を取り除く抗酸化物質であり、β-カロテンやリコピン、アスタキサンチンなどの種類があります。β-カロテンとリコピンは緑黄色野菜に多く、アスタキサンチンはおもにエビ・カニのような甲殻類、鮭・マスなどの魚類に豊富です。
抗酸化作用を持つ食べ物を効果的に摂り入れましょう
活性酸素を抑える抗酸化物質には、ビタミンA、C、Eやポリフェノール、カルテノイドなどさまざまな種類があります。
単一の栄養素や食品ばかりを摂取しようとするのではなく、バランス良く食べることが大切です。
それぞれの栄養素の特徴を知ったうえでおいしく摂り入れ、酸化ストレスに負けない健やかな体を作っていきましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。