1.発熱は何度から?
法律上の発熱の定義と、発熱かどうかを判断する際に知っておくべき点について解説します。
1-1.感染症法の定義
感染症法(感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律)に基づく「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」での定義は、次のとおりです。
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・発熱:体温が37.5度以上ある状態
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・高熱:体温が38.0度以上ある状態
1-2.普段より体温が高い場合
感染症法に基づく発熱の定義は「体温が37.5度以上」ですが、この条件に当てはまらないからといって、必ずしも「発熱していない」といえるわけではありません。体温は個人差があるうえに、測定箇所・測定時間・測定時の環境などによっても変動します。
したがって、体温が普段よりも高い状態なら、37.5度に達していなくても発熱とみなされる場合があるでしょう。
2.発熱のおもな原因
急な発熱の場合、原因として考えられるのは、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入することによる「感染症」です。体が発熱すると、体内に侵入した細菌やウイルスを弱らせたり、増殖を抑えたりすることができます。感染症に対する発熱は、体を守るための正常な反応なのです。
また、アレルギーを含む自分の免疫(自己免疫)の異常で起こる病気でも発熱の症状が見られるでしょう。これらは、自分の免疫が過剰反応することで体のさまざまな臓器に慢性的な炎症が生じるものです。
その他の病気や、薬の副作用などでも発熱が生じる場合がありますが、一方で、原因がわからないケースも少なくありません。
3.発熱した際の対処法
発熱すると、寒気・発汗・倦怠感・食欲不振などの症状をともなうことがあります。
寒気がする場合は、部屋を暖かくし、保温性の高い寝具を使って安静にしましょう。逆に体温が高く暑いと感じる場合は、寝具の種類や量を調整して熱がこもらないようにしたり、適度に体を冷やしたりする必要があります。
また、体内の水分が不足していると、脱水の危険があるほか、汗や尿から熱を放出できずに熱がこもりやすくなるため、注意が必要です。食欲がない場合でも、電解質や糖質が含まれる経口補水液・スポーツドリンクなどを活用し、水分はこまめに摂取しましょう。
体を冷やす際は、気持ち良いと感じる程度を目安に、足の付け根や脇の下を冷やしてください。汗をかいた場合は着替えることも大切です。
なお、発熱に加えて次のような症状があれば、できるだけ早く医師の診察を受けましょう。
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・意識が朦朧としている
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・呼吸が苦しい
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・激痛がある
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・寒気をともなうガタガタとした震えがある
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・水分が摂れない
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・血圧が大幅に下がっている
熱が出たら症状に応じて対処しましょう
体温が37.5度以上ある状態を「発熱」といいますが、普段と比較して体温が高ければ、37.5度に達していなくても発熱とみなされる場合があります。
発熱した際は、寒気を感じるか・暑いと感じるかによって、室温や寝具を調整してください。また、脱水にならないよう、水分補給は忘れずに行なうことが重要です。
今回紹介した内容を参考に適切な対処をしたうえで、ゆっくりと体を休めましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。