1.大腸の役割について
大腸とは消化器官の一つです。私たちが食べた物は胃で分解されて小腸へと送られ、小腸では体に必要な栄養が吸収されます。小腸では吸収されなかった残りかすは大腸へ送られて、大腸は水分やミネラルなどを吸収して便をつくり出し、肛門付近へと送る働きをします。
理想的な便とは、排便の際にいきまずに出る黄色がかった色の状態です。しかし、便が腸内に長く留まるほど硬くなり、黒っぽく悪臭があるような便が出る場合は腸内環境が悪化している傾向にあることが予測されます。腸内環境が悪くなると、便秘や下痢などの不調を起こしやすくなるのです。
腸内には腸内細菌として善玉菌と悪玉菌、どちらでもない日和見菌が存在し、これらの割合は日々の食事や生活習慣などによって変化しています。
善玉菌は悪玉菌の増殖を抑え、体にとって有害な物質が作られるのを防ぎます。健康的な腸を目指すためには、善玉菌が多い状態を作ることが大切です。
2.大腸の健康に良い栄養成分・食べ物
ここでは、大腸の健康を保つために摂りたい栄養素や食べ物について解説します。
2-1.食物繊維
食物繊維は小腸で消化されずに大腸まで届く成分です。水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維に分類されます。
水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やして便をやわらかくする働きがあり、果物や海藻類、キャベツなど繊維がやわらかい野菜に多く含まれています。
また、不溶性食物繊維の働きは便の量を増やして腸の動きを活発にすることです。不溶性食物繊維は根菜類・きのこ類・豆類・タケノコなど繊維が硬い野菜などに多く含まれています。
2-2.オリゴ糖
オリゴ糖とは糖質の一種であり、腸内では善玉菌のエサとなって善玉菌を増やす働きをします。そのため、腸内環境を整えるためには積極的に摂りたい栄養素です。
オリゴ糖を含む食品は大豆製品やごぼう・玉ねぎ・アスパラガス・ねぎ・にんにく・バナナなどです。
2-3.乳酸菌
乳酸菌とは善玉菌の一種であり、糖類を分解して乳酸をつくり出す菌です。腸内では悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を整える役割があります。
乳酸菌はヨーグルトやチーズ、漬け物などの発酵食品に多く含まれているため、これらを日常的に摂ることは腸内の健康に役立つでしょう。
3.腸内環境を整える料理レシピ
ここからは、腸内環境を整えてくれるレシピを3つ紹介します。ぜひ日常の食事にプラスしてみましょう。
3-1.さつまいものボートグラタン
まずご紹介するレシピは、大腸の健康に良いさつまいもと玉ねぎを使った、見た目も楽しめる「さつまいものボートグラタン」です。
【材料】2人分
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・さつまいも 1本
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・玉ねぎ 1/4個
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・ベーコン 2枚
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・バター 10g
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・牛乳 100ml
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・塩 小さじ1/4
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・こしょう 適量
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・ピザ用チーズ 30g
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・パセリ(みじん切り) 適量
【作り方】
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1. さつまいもはよく洗い、縦に半分にカットして電子レンジ600Wでおよそ5分加熱します。粗熱が取れたら中身をくり抜き、皮は取っておきましょう。
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2. 玉ねぎは粗みじん切りにし、ベーコンは5mm幅にカットします。
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3. フライパンを中火にかけてバターを熱し、2を炒めます。玉ねぎがしんなりしたら、さつまいもの実の部分を加えてさらに炒めましょう。
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4. 全体が炒まったら、牛乳・塩・こしょうを加えて汁気がなくなるまで煮詰めます。
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5. 1のさつまいもの皮がある部分の中に4を入れて、ピザ用チーズを載せ、オーブントースターで焼きます。
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6. 5のチーズが溶けて、焼き色がついたらパセリのみじん切りを振りかけて完成です。
さつまいもは、200~250gくらいのサイズを使うとちょうどよいでしょう。
3-2.わかめ入り和風ハンバーグの照り焼き
次に紹介するレシピは、照り焼き風の味付けが食欲をそそる「わかめ入り和風ハンバーグの照り焼き」です。大腸の健康に役立つ食材として、わかめと玉ねぎが使われています。
【材料】2人分
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・鶏ひき肉 250g
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・乾燥わかめ 4g
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・玉ねぎ 1/4個
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・にんじん 3cm
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・パン粉 大さじ2
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・牛乳 大さじ1.5
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・卵 1個
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・塩、こしょう 各適量
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・サラダ油 大さじ1.5
(A)
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・だし汁 1カップ
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・しょうゆ 大さじ1
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・酒 大さじ1
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・みりん 大さじ1/2
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・片栗粉 小さじ1
【作り方】
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1. 乾燥わかめは水で戻して食べやすい大きさにカットします。玉ねぎはみじん切りにし、にんじんはすりおろしておきましょう。
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2. フライパンを火にかけてサラダ油大さじ1/2を熱し、玉ねぎのみじん切りを透き通るまで炒めて、粗熱を取っておきます。
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3. ボウルに鶏ひき肉とわかめ・にんじん・炒めた玉ねぎ・牛乳に浸したパン粉・卵・塩・こしょうを入れて粘り気が出るまでよく混ぜ合わせ、2等分して食べやすい大きさに成型します。
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4. フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、3を焼きます。
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5. ハンバーグが焼けたら(A)を入れて全体になじませたあと、同量の水で溶いた片栗粉を加えてとろみを付けたら完成です。
大根おろしとポン酢で、さっぱりとした味付けにアレンジするのもおすすめです。
3-3.豚ばらとねぎのシンプルみそ炒め
3品目は、ねぎの食感が楽しめる「豚ばらとねぎのシンプルみそ炒め」です。こちらのメニューに使われている大腸の健康に良い食材は、しめじとみそです。
【材料】2人分
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・白ねぎ 2本
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・しめじ 1/2株
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・豚ばら肉(薄切り)300g
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・白ごま 小さじ1
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・片栗粉 大さじ1
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・ごま油 大さじ1/2
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・みそ 大さじ1と1/2
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・みりん 大さじ1と1/2
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・酒 大さじ1
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・砂糖 大さじ1/2
【作り方】
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1. 白ねぎは1㎝幅の斜め切りにし、しめじは石づきを取って小房に分けます。豚ばら肉は一口大にカットして片栗粉をまぶしておきましょう。みそ・みりん・酒・砂糖を合わせておきます。
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2. フライパンにごま油を熱して豚ばら肉を入れ、ほどよい焼き色が付くまで焼きます。
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3. 豚ばら肉が焼けたら余分な油をキッチンペーパーなどで拭き取り、しめじを加えて炒めます。しめじに油が回ったら白ねぎを加えて、ややしんなりするまで炒めます。
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4. 1で合わせておいた調味料を加えて全体に絡めます。
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5. 4をお皿に盛りつけ、仕上げにごまを振ったら完成です。
ねぎの食感を損なわないように、しめじを先に炒めてからねぎを加えて炒めすぎないようにしましょう。
大腸に良い食べ物を摂取して健康的な腸内環境を目指そましょう
大腸は便を作る器官で、しっかり排泄が起こることは腸が元気である証拠です。
腸内の悪玉菌が増えて腸内環境が悪化すると、便秘など体の不調が起こります。
腸内環境を整えるためには、腸の動きを活発にする食物繊維を積極的に摂り、善玉菌を増やすオリゴ糖や乳酸菌を含む食事を意識することが大切です。
今回紹介したレシピも参考にして、腸内環境を整える食生活を始めましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。