目次
1.命の源となる栄養素について
私たちの体と命は、食事によって取り入れた栄養素によって維持されています。食品にはさまざまな栄養素が含まれており、それぞれ異なった働きで体の機能をサポートしているのです。栄養素の働きは、以下3つのグループに分かれています。
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・エネルギーになるもの:糖質や脂質(米、パン、めん類、いも類、油、砂糖など)
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・体をつくるもの:タンパク質やミネラル、脂質、(肉、魚、卵、牛乳・乳製品、豆など)
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・体の調子を整えるもの:ビタミンやミネラル(野菜、果物、きのこ類など)
エネルギーになるおもな栄養素は、糖質や脂質です。特に糖質はエネルギーのもとになる栄養素として重要な役割を果たし、日本人が食事から摂取するエネルギーの60%ほどを糖質が占めています。
1gの糖質からは、4kcalのエネルギーがつくられます。糖質を多く含む食品は、米や小麦といった穀類、いも類、とうもろこしなどです。糖質はエネルギーとして利用されますが、過剰分はグリコーゲンや中性脂肪に形を変えて体のなかに蓄えられます。
脂質は効率の良いエネルギー源で、1gの脂質は9kcalのエネルギーに変換されます。その他、貯蔵脂肪としてエネルギーを貯めるのも脂質の大切な役目です。
体をつくるおもな栄養素は、タンパク質やミネラル、脂質です。タンパク質はアミノ酸が連なったもので、およそ20種類のアミノ酸で構成されています。必要なタンパク質のうち人間の体内で合成できないものを必須アミノ酸と呼び、その内訳は以下の9種類です。
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・バリン
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・ロイシン
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・イソロイシン
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・トリプトファン
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・ヒスチジン
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・スレオニン
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・メチオニン
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・リジン
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・フェニルアラニン
体内に入ったタンパク質は筋肉や皮膚、毛髪といった体の組織の材料になるほか、酵素やホルモン、免疫物質をサポートする働きを担います。脂質も細胞膜の材料として体を構成するために利用され、ミネラルは骨や歯をつくります。
体の調子を整えるおもな栄養素は、ビタミンやミネラルです。人間が生きるために不可欠な必須ミネラルは、ナトリウムやカルシウムや鉄など16種類あります。ミネラルは骨や歯、筋肉、血液などを構成し、体内で起こるあらゆる生理作用をサポートしています。
ミネラルは体のなかで合成できないため、食事から摂取しなければなりません。ミネラルが不足するとあらゆる病気や不調を引き起こす原因となります。ミネラルと同じく、ビタミンも生きていくうえで欠かせない栄養素です。
ビタミンは糖質や脂質、タンパク質の代謝などをサポートします。ビタミンには水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがあります。水溶性ビタミンは以下のものです。
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・ビタミンB群(B1・B2・B6)
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・ビタミンC、ナイアシン
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・葉酸
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・パントテン酸
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・ビオチン
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・脂溶性ビタミン(ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK)
ビタミンが足りないと欠乏症を生じうるおそれがあるため、毎日の食事から必要量を摂る必要があります。
2.体が栄養を吸収しない原因
食事から栄養が十分に吸収できない理由として、病気や習慣が考えられます。ここでは、食べ物が体に吸収されるメカニズムと、消化・吸収に異常をきたす原因を解説します。
2-1.おもな原因
胃腸など消化器の病気や不調があると栄養のスムーズな消化・吸収ができず、体が栄養を十分に吸収できなくなります。
食べ物は口から入ると胃酸や胆汁、膵液などの分泌を受けると、炭水化物・タンパク質・脂肪はそれぞれブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸とグリセリンへと分解され、小腸から吸収されます。しかし、胃や腸の病気によって栄養の吸収不足が起こると、体重減少などの不調につながります。
2-2. 消化・吸収がうまくいかない場合に考えられる原因
食べ物の消化・吸収に異常がある場合は、消化器系に関する病気が発症し、体重が減少して「やせ」につながるケースがあります。病気以外にも、慢性的な便秘への対策として過剰な便秘薬を使用するのもやせの原因の一つです。
「異常な体重減少など消化・吸収に問題があるのでは」と感じる人は、原因となっている習慣がないかも見直してみましょう。
ただし、ここで紹介しているのはあくまでも一例であるため、体調で気になることがあれば医師の診察を受けましょう。