筋肉は大きく分けて3種類
種類ごとの特徴や働きを解説

「筋肉」は五体だけではなく、体内の各器官の働きにも関与する重要な組織です。最近は感染症による外出自粛の影響もあり、筋トレ人口が増えているため、筋肉に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。

今回は、筋肉の種類や特徴、働きについて解説します。

1.筋肉は大きく分けて3種類ある

筋肉は大きく分けると、以下の3種類があります。

  • ・骨格筋

  • ・心筋

  • ・平滑筋

骨格筋と心筋は「横紋筋」というカテゴリに分類され、横縞模様が見られる筋肉のことです。「平滑筋」には横縞模様はありません。これらの筋肉はそれぞれ異なる役割を担っています。

2.骨格筋の特徴と働き

ここでは、骨格筋の特徴と働きを解説します。

2-1.骨格筋の特徴

骨格筋とは、人間が体を動かすときに主体となる筋肉です。重力に抵抗しつつ姿勢を保って体を支える、筋収縮でエネルギーを発生させる、内臓を衝撃から守るなど、さまざまな役割を担っています。

一般的に筋肉と呼ばれているものは、この骨格筋を指しているケースが大半です。実際、骨格筋は約400種類もの数が存在しており、人体の大部分を占めています。

骨格筋は運動神経の支配下にあり、自分で思うようにコントロールできる「随意筋」のことです。

また、骨格筋は筋繊維というごく小さな細胞の集合体から成り立っていますが、これは「速筋」と「遅筋」に分類されます。

2-2.速筋

速筋は白っぽい筋肉であることから「白筋」とも呼ばれ、素早く収縮して瞬時に強力なパワーを発揮できますが、一方で収縮を長時間維持することは不可能です。

老化が始まるタイミングも早く、20歳前後から衰えるという特徴もあります。ただし、その原因が加齢による生理的現象なのか、運動量の低下による筋肉の減衰なのか、今も判明していません。

なお、速筋の構成割合は人によって異なりますが、短距離走の選手のように瞬発力が高い人ほど多くなると報告されています。

2-3.遅筋

遅筋は赤みがかっていることから「赤筋」とも呼ばれ、伸縮スピードは比較的遅いため、発揮できるパワーは大きくありません。しかし、老化が遅く年齢を重ねても疲れにくく、一定の張力を長時間保つことが可能です。

例えば、長い時間走り続ける能力が求められるマラソン選手のような人ほど、遅筋が多い傾向にあります。

3.心筋の特徴と働き

心筋とは、心臓組織を形成している筋肉のことで、心臓以外の部位には存在していません。24時間いつでも鼓動し、心臓を動かし続けています。

心筋は自律神経の支配を受けている「不随意筋」のため、自分で自由にコントロールできません。

4.平滑筋の特徴と働き

平滑筋とは、血管壁や内臓壁を構築している筋肉です。血管の収縮作用や胃腸の動きに関与し、緊張・収縮によって血管や内臓の機能を保っています。

この平滑筋も心筋と同じく自律神経の支配下に置かれているため、自分の意志が関与できない「不随意筋」です。

どの筋肉も重要な役割を担っている

人体を構成する筋肉は、大きく分けると「骨格筋」「心筋」「平滑筋」の3種類です。

骨格筋は運動や姿勢保持、心筋は心臓を24時間動かすこと、平滑筋は血管や内臓の働きを担っています。いずれの筋肉も、人間が生きていくうえで欠かせない重要な筋肉です。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医