気管支炎はうつる?
喘息との違いやおもな症状・原因について解説

風邪でもないのに、咳や痰が長期間続いているという症状に悩まされている場合、気管支に炎症が起こっている状態かもしれません。

このような状態は気管支炎と呼ばれていますが、似たような症状を起こす疾患に「気管支喘息」もあります。

今回は、気管支炎と気管支喘息の違いを紹介しつつ、気管支炎はヒトからヒトへ感染するのかどうか、症状や原因について解説します。

1.気管支炎とは?

気管支炎とは、気管支の粘膜に炎症が起こっている状態です。また、原因がわからない咳や痰が3カ月以上、2年を超えて続く場合には「慢性気管支炎」と呼ばれます。

アレルギーなどによる気管支の炎症は、気管支炎ではなく気管支喘息とよばれる疾患です。なんらかの要因で気道が過敏な状態となり狭くなってしまい、喘鳴や発作性の咳などをくり返します。

気管支喘息の原因は、ダニやホコリなど空気中に存在するアレルゲンへのアレルギー反応であることが多いといわれています。

2.気管支炎のおもな症状と原因

ここからは、気管支炎の症状や原因について解説します。

2-1.気管支炎の症状

空気の通り道である気道が炎症を起こすと、粘り気の強い痰が増加し喉へ押し出されにくくなります。すると、気道が狭くなり、呼吸の苦しさや激しい咳や痰の症状をもたらします。

2-2.おもな原因

気管支炎の要因を以下に挙げます。

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

    以前、気管支炎や肺気腫と呼ばれていた病気が総称され、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」と呼ばれるようになりました。

    COPDのおもな要因は喫煙です。長い間タバコの煙を吸い続けると、気管支に炎症が起こります。おもな症状は咳や痰ですが、進行すると息切れを起こして普段の生活にも影響をおよぼします。

    COPDを予防するためにも、喫煙者はただちに禁煙することが望ましいでしょう。すでに発症している人も、禁煙により治療効果が上がることがわかっています。

    また、喫煙による健康被害は、周囲の人たちにもおよびます。気管支炎を予防するためにも、受動喫煙への対策や禁煙を早めに進めることが重要です。

  • 有害物質

    大気中に存在する汚染物質も、気管支炎の原因となります。具体的には、排ガスや工場の煙などの粒子状物質、燃料の燃焼が要因で発生する硫黄酸化物や窒素酸化物などです。

これらによる気管支炎を予防するためには、以下のような工夫をしましょう。

  • ・窓を開ける回数を減らす

  • ・排気のきれいな掃除機を使用する

  • ・大気汚染物質は水に解けやすいため雑巾で水拭きする

  • ・外出時にはマスクを着用する など

3.気管支炎は患者から感染するのか?

気管支炎はヒトを介して感染するのか、気になる人もいるのではないでしょうか。気管支炎の要因によっては、患者から感染する場合もあります。

例えば、RSウイルスに感染して気管支炎を発症している場合は、ヒトからヒトへ感染するケースがあることがわかっています。RSウイルスとは、特に子どもが重篤な病状を引き起こしやすい病原体であり、気管支炎などの要因となるウイルスの一種です。

RSウイルスのほかに、アデノウイルスやパラインフルエンザウイルスなども、激しい咳や風邪のような症状を引き起こす急性気管支炎を発症する原因になるため、注意しましょう。

また、マイコプラズマという細菌に感染して気管支炎を発症した場合、患者の咳による飛沫から感染したり、患者と接触したりすることで感染することがあります。多くの場合、マイコプラズマに感染すると気管支炎を発症します。気管支炎は軽めの症状で済むケースがほとんどですが、重症化する場合もあるため注意が必要です。

これらの感染を防ぐためには、日頃から手洗いやうがいを心がけましょう。外出時にマスクをすると、感染予防につながります。

気管支炎は早めに予防し、感染拡大を防ぎましょう

咳や痰、息苦しさなどが長い間続いている場合には、気管に炎症を起こしていることが考えられます。

気管支炎を発症する原因として、タバコや空気中の汚染物質などもありますが、細菌やウイルスなどが要因の場合は、ヒトに感染する可能性があるため注意が必要です。

感染を予防するためには手洗いを徹底しましょう。そして、症状がある場合には感染拡大を防ぐために、マスクを着用することが大切です。

気管支炎の症状が改善しない場合には、早めに病院に相談しましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。