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なぜ老化するの?

肝心要の臓器、肝臓は老化対策の要

監修:愛知学院大学
心身科学部 健康栄養学科 客員教授
農学博士
大澤 俊彦

「いつまでも元気でいたい」
「同い年と比べて老けて見えたくない」
「だけど、どうすれば老けずに元気でいられるの?」
寝たきりなど要介護の状態にならずに、最期まで元気に人生謳歌できる健康寿命を延ばしたい。
そう思ったなら、どこから始めればいいのか、老化対策の要はどこにあるのかをまず知っておきましょう。

肝心要の臓器、肝臓は老化対策の要

大切なものを指す「かんじんかなめ」という言葉は「肝心要」、または「肝腎要」と書きます。肝臓と心臓、または肝臓と腎臓を要としていて、どちらにも入っている肝臓は、人の臓器の中でいかに重要であるかがわかります。肝臓は右胸の乳頭のあたりから、おへそのあたりまでに位置する、人のカラダの中で最も大きな臓器です。心臓はわずか250~300gに過ぎませんが、肝臓は成人男性で1,200~1,400g、成人女性で1,000~1200gもあります。
肝臓は500もの役割を担っているといわれている臓器ですが、代表的な役割は2つです。
一つは体内の老廃物などに含まれる、カラダに悪影響を及ぼす成分を無害化する機能。
もう一つはタンパク質、脂質、炭水化物という三大栄養素の代謝、つまり食べ物をカラダに必要な形に変える機能です。代謝によって、熱エネルギーが作られ、体温が上がりますが、熱エネルギーの多くは、筋肉と肝臓で作られています。熱エネルギーを作る際に、老化の原因である活性酸素が大量に生まれ、肝臓が老化します。
肝臓が老化すると、大事な栄養の代謝が行われなくなり、力が出なくなってしまいます。加えて、もう一つの重要な役割である、カラダに悪影響を及ぼす成分を無害化する機能が低下して、老廃物内に含まれる、トラブルをもたらすものがそのままカラダに巡ってしまいます。
つまり、肝臓の老化対策は、全身の老化対策の要なのです。

不屈の鉄人、肝臓を老化させる敵は?

肝臓は細胞がどんどん新しいものに入れ替わっていき、たとえ一部を切除しても、トカゲのしっぽのように再生することができる不屈の鉄人です。活性酸素が大量に発生する内臓ですが、同時に活性酸素がカラダをサビさせ、老化を進めるのを防ぐ抗酸化力も持っています。そのため、あるところまでは酸化することなく、若さを保つことができます。しかし40歳を過ぎて、体内の抗酸化の仕組み、抗酸化酵素が減少すると、カラダがサビるのを防ぐことが難しくなっていきます。
特に肝臓を傷める敵がいくつかあります。
ひとつはアルコールのとりすぎ。飲みすぎると、アルコールを分解する仕事を担っている肝臓への負担が大きくなり、肝臓ががんばりきれなくなってしまいます。
そして脂肪。食事の量が多すぎたり、脂っこい料理ばかり食べていると、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝になってしまいます。内臓に脂肪がたまると言うと、「内臓脂肪だろ?」と思われがちですが、内臓脂肪は脂肪をたくわえる組織が元々ある腹膜周辺につく脂肪のことです。本来は、肝臓は脂肪がつく場所ではありません。食べ過ぎて、内臓脂肪にたっぷり脂肪が蓄えられたメタボリックシンドロームになり、さらにもっと食べすぎると、本来は脂肪がつかないはずの肝臓などに脂肪がついてしまいます。これを異所性脂肪といって、大変な異常事態。この脂肪が活性酸素によって酸化すると、過酸化脂質という、特にカラダにとって悪質で、肝臓にダメージを与える物質に変わります。

肝臓を守る生活習慣とは?

「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、ダメージを受けても、なかなかそれが表には現れません。しかし肝臓が疲れると、全身にエネルギーを送ることができなくなり、全身の疲れとなります。また、肝臓が老化すると、それは全身の老化になります。ダメージを受けても沈黙している肝臓の症状が自覚できるようになった頃には、肝臓のダメージは深刻になっています。不調を感じてからではなく、常日頃から、肝臓に負担をかけない生活、肝臓の老化を防ぐ生活をしましょう。
肝臓の病気といえば、まずアルコール性肝炎を思い浮かべがちですが、お酒を飲まなくても肝細胞に炎症が起きる「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」が増えています。脂肪肝にならないよう、食べすぎや運動不足に気を付けるとともに、脂肪や糖分に偏った食事も避けましょう。
肝臓を休ませてあげることも大切です。そのためにも睡眠時間はしっかりとってください。
適度な運動は血流を良くして、全身の健康に役立つのみならず、内臓脂肪や肝臓に脂肪が蓄えられるのを防ぐ役にも立ちます。
そして肝臓の老化を防ぐため、抗酸化成分を積極的にとって、抗酸化力を高めましょう。
積極的にとりたいのが、ひとつは抗酸化ビタミンであるビタミンA、ビタミンC、ビタミンE。野菜や果物に含まれるビタミンAはニンジンやカボチャなどに、ビタミンCはパセリやアセロラやお茶、ビタミンEは煎茶やアーモンドなどに多く含まれています。
そして、もうひとつが天然の抗酸化成分といわれているポリフェノール類です。ゴマや玄米、ぶどう、緑茶などに多く含まれています。

特に注目は肝臓に届いて働く、ゴマの抗酸化成分

さまざまな抗酸化成分を持つ食べ物がありますが、多くの抗酸化成分は、肝臓に届く前に分解されてしまったり、血液に溶け込んでしまい、抗酸化力がなかなか肝臓で充分に働きません。そのなかにおいて、ゴマは分解されにくく、肝臓までしっかり届くだけではなく、肝臓にたどり着いてからはじめて強力なパワーを発揮するという、珍しい特長を持っています。
カラダにうれしい2つの特長を併せ持つゴマ。肝臓の若さを保つために、ぜひ活用したい食品です。

取材・文 GOOD AGING LABO 編集部

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