気になる「老化症状」
気になる「老化症状」
監修:竹谷内医院 院長
竹谷内康修
腰痛を招く原因として、現代人に最も多く見られるのが「悪い姿勢」です。特に、長時間の座位は姿勢を崩しやすく、腰に大きな負担を与えます。
座ったときに姿勢が悪くなるのは、イスの形状やパソコンのモニターの高さなどにも要因がありますが、まずは、日頃自分がどのような姿勢で座っているのかを意識することが大切です。
腰に負担をかける悪い姿勢とは猫背です。骨盤が後ろにたおれて、腰椎の反りがなくなり、背中が丸まった姿勢が長く続くと、首や肩、背中、腰の筋肉や関節に負担をかけてしまいます。
立っている時間が長い職業の方もいらっしゃいますが、現代人の多くは座って過ごすことが多いため、特に座り姿勢は大切になります。
今回は、腰痛予防対策としての、正しい座り姿勢について考えてみたいと思います。
まず、私がよく腰痛の患者さんに指導する、正しい座り姿勢のつくり方を説明しましょう。
一度覚えれば、次からは意識しなくても正しく座れるようになりますので、ぜひ実践してみてください。
背もたれのあるイスに深く腰をかけ、普段の姿勢をとるところからスタートします。
5を見て、「背もたれに寄りかからず、背すじをまっすぐに伸ばした姿勢のほうが正しいのでは?」と思われたかもしれませんね。
たしかに、背すじをピンと伸ばした姿勢は正しいのですが、この姿勢で長時間座ることは現実的に難しく、しばらくすると疲れて姿勢が崩れてしまいます。
無理してよい姿勢をとるのではなく、力を抜いても正しい姿勢を維持できることがポイントです。
座って背もたれに寄りかかったとき、腰や背中にすき間ができないように、クッションやタオルをはさむとよいでしょう。
現代人の姿勢を悪くさせる大きな原因となっているのが、パソコン作業中の姿勢です。
ノート型パソコンは持ち運びができ便利ですが、画面の位置が低く、のぞきこむように顔を近づけてしまうため、猫背になりやすくなります。
私は、正しい姿勢のためには、できるだけ、デスクトップ型のパソコンを使うことをおすすめしています。
もし、ノート型パソコンしかお持ちでない場合は、ちょっとした工夫で問題解決できます。
外づけのキーボードをつなげ、ノートパソコンは台や箱の上に置いて、デスクトップ型の画面のようにして使うと、デスクトップ型と同じような環境をつくれますよ。
運転中の姿勢を意識している人は少ないかもしれませんが、これからは正しい姿勢がつくれるようにしていきましょう。
悪い姿勢は腰痛の原因になることを、くり返しお話してきましたが、たとえ正しい姿勢であっても、長時間同じ姿勢をとっていると、筋肉が固まってしまい首や肩、腰に負担をかけます。
特にパソコン作業などのデスクワークの時間が長い人は、要注意です。
私がよく患者さんに指導しているのが「30分ルール」です。
これは、同じ姿勢を30分間続けたら、一度立ち上がり、トイレに行ったり、少し歩き回ったりするなどして、姿勢を一度リセットするルールで、これによって体の負担を軽減できます。
立ち上がって歩き回る時間がないときは、首を回したり、座ったままで胸を反らしたりなどの簡単なストレッチを行うだけでもよいでしょう。
ここで大切なのは、長時間休むよりも、短い時間でよいので、こまめに体をほぐすことです。スマホのアラーム機能を使い、30分ごとに音を鳴らして、その度に一度休憩を入れるのもよい方法です。
腰痛の大きな原因のひとつが悪い姿勢
特に、座った姿勢は腰への負担が大きく、正しい座り姿勢が重要
パソコン作業中や運転中の正しい姿勢を意識することが腰痛対策になる
正しい姿勢であっても、長時間同じ姿勢を続けず、休憩を入れることが望ましい
取材・文 FYTTE 編集部
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