三好典座が語る食のこころ 阿木燿子さんが問う典座の教え

三好良久典座(みよしりょうきゅうてんぞ)

曹洞宗大本山永平寺当代典座。食を司る役僧・典座職として平成十六年入山。日々、二百余名の修行僧の食事を準備することが日課であり修行。

阿木燿子さん(あき ようこ)

作詞家、女優、映画監督として活躍。二〇〇六年紫綬褒章受章。食に関する造詣も深く、著書に『ほっぺたぽろりんレシピ』などがある。

「質素に見えて豊か。命につながる味なのですね」「精進料理は、単にお肉やお魚を抜いた野菜料理ではないんですね。ほんとうの意味での豊かで贅沢な食事がここにあるように思います」

阿木燿子さん

3. 旬の食材を使いきるのはとても豊かなこと

  • 阿木

    毎日の献立は、三好典座がお決めになるのですか?

  • 三好典座

    はい。1週間単位で考えます。ごま・麦・大豆・米を基本に、季節の野菜を足します。

  • 阿木

    私も「ごま信者」といわれるほど、ごまをさまざまなお料理に使っています。

  • 三好典座

    ごまは、精進料理には欠かせない食材です。朝は毎日ごま塩をいただきますし、風味と味において、ほかに代わるものはありません。

  • 阿木

    季節感も大事になさるのですね。最近はいつでも同じお野菜がお店に並んでいるので、旬が見えにくくなってきたように思います。

  • 三好典座

    私たちは、その時とれたものを760年食べてきました。たとえば、冬になると大根ばかりになります。でも味や料理法を工夫すれば、葉や皮までおいしくいただけます。

  • 阿木

    私もお野菜の皮をきんぴらにしていただくことがあります。野菜の滋味をしみじみ感じます。今は自由に食材が手に入るようになって、かえって本当のおいしさを忘れてしまったのかもしれませんね。

  • 三好典座

    『典座教訓』には、修行僧が気持ちよく食べられるよう、旬の材料を用い、食事に変化を与えよとあります。やはり基本は、心身においしくです。食は修行だけでなく、人の営みの根本ですから。

  • 阿木

    たしかに。質素に見えても、いただいてみると、とても豊かで、贅沢な気持ちになりました。