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食のちから 体を養い心を磨く 第3回:すしを漬ける

食のちから 体を養い心を磨く

指導・監修

料理指導:斉藤亮子さん

秋田県大仙市在住。協和町食生活改善推進協議会委員として、地域の食生活の指導や、伝統食の伝承・普及活動にあたる。秋田県観光総合ガイドの郷土料理HPで、自身の「赤もの漬け」レシピを提供。
http://www.akitafan.com/cooking/

取材協力/秋田県東京事務所

お盆の時期、客をもてなす秋田・横手盆地北部の伝統的な行事食

秋田県横手盆地の北部に伝承される
お盆のご行事食「赤もの漬け」。
赤じそから出る赤みが全体になじんで
『赤ずし』『盆ずし』とも呼ばれます。
さわやかな風味は
食欲が落ちる時期にも食べやすく、
その赤い色には、盛夏を乗り切るための
自然の恵みがちりばめられています。

ご先祖を迎えて祝う暑気払いのご馳走

 「赤もの漬け」は、酢を使わずに作る珍しいおすし。みょうがの葉を敷いた木桶に、もち米のご飯、きゅうりの漬物の輪切り、赤じその葉、塩などをふり入れ、これを繰り返して何層かに重ね、落としぶたの上に重石をのせて漬け込むと、1~2日で程よく発酵して食べごろになります。
 さっぱりとした味わいはお酒とも相性が良く、暑い日にもうれしい夏のご馳走です。郷土の伝統食に造詣が深い斎藤亮子さんのお話では、「昔からこの辺り(大仙市)の山間部に伝わるお盆料理で、精霊棚に供えたあと、お客様にふるまいます。家族も食べますから、毎年お盆前には1升の米を炊き、大きな木樽に漬け込みます」とのこと。

ご飯に染みる鮮やかな赤は夏の元気を支えるハレの色

 この行事食で何よりも注目されるのは、天然の色素成分や、発酵という自然のちからを上手に利用した、実に機能的なスローフードであるという点。赤じそからご飯に移る赤色は、アントシアニンです。
 また、きゅうりの漬物による乳酸菌は、雑菌の増殖を防いだり、体内の健康を保ちます。さらに、さわやかな風味を持つ梅酢と赤じそは、味の面でも衛生面でも、まさに鬼に金棒の組み合わせ。
 「身近な材料ばかりですが、米は炭水化物、赤じそはカロテンやビタミンC、カリウムなどが豊富。枝豆には植物性タンパク質やビタミンB1、ビタミンCが多く、栄養的にもバランスの良い料理です」(斎藤さん)

今こそ見直したい伝統食の優れた健康作用

 秋田の風土と先人たちの知恵が生み出した伝統料理ですが、近年は作る人が少なくなっているようです。しかし、夏を元気に過ごすための優れた健康食として、ぜひ見直したい料理の一つ。作り方も簡単ですから、この夏、ご家庭で作ってみませんか。


今月のレシピ

暑気を払う夏の精進「赤もの漬け」をご家庭で ここではご家庭向けに、簡単な漬け方をご紹介します。梅酢によって引き出された赤じその色素がご飯になじみ、一昼夜で食べごろになります。

赤もの漬け

材料
もち米・・・2合
赤じその葉・・・50g
梅漬けの汁(または梅酢)・・・36cc
きゅうりの漬物・・・2本
砂糖・塩・・・少量
ゆでた枝豆(皮をむいたもの)・・・50g
みょうがの葉(または笹の葉)・・・8~10枚

※きゅうりの漬物は、塩漬けがおすすめです。
※お好みでみょうがをタテに切って加えると風味がアップします。

作り方
  • 1.もち米はかために炊いて冷ます。
  • 2.赤じその葉は水洗いして細切りにし、ざるにあげて水切りする。
  • 3.きゅうりの漬物は輪切りにしてかたくしぼる
    (塩気が強い場合は、水にはなして塩分を軽く抜き、かたくしぼる)。
  • 4.容器にみょうがの葉を敷き、1のご飯、きゅうりの漬物、赤じその葉の順に重ねていき、梅漬けの汁、砂糖、塩を少々ふる。これを繰り返す。
  • 5.4に落としぶたと重石1kgをのせ、一昼夜涼しい場所に置く。
  • 6.盛りつける時に皿にみょうがの葉を敷き、ご飯の上にゆでた枝豆を飾る。