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食のちから 体を養い心を磨く 第8回:昆布

食のちから 体を養い心を磨く

取材協力/社団法人日本昆布協会
http://www.kombu.or.jp

北の海が育てたスローフード

呼び名が「養老昆布(よろこぶ)」に
通じることから、
昔から正月の鏡餅の飾りなど、
縁起物として使われる昆布。その豊かな旨みから、
だしとして使ったり、煮て食べたりと、
私たちの食生活を支えてくれる
伝統食材の一つです。
最近は、健康や美容のための有効成分を
多く含む食材としてあらためて注目されています。
新年の祝いに欠かせず、
日本人の味の原点でもある昆布のちからを
毎日の食卓に取り入れてみませんか?

鎌倉時代の北海道開拓を機に広まった昆布の食文化

 昆布の歴史は古く、奈良時代には東北地方の特産物として朝廷へ献上されたことが『続日本記』に記されています。当時は仏事や神事に欠かせない稀少品でしたが、鎌倉時代から始まった北海道の開拓が、全国に昆布食を広める契機になりました。
 北海道の沿岸地域で大量に採取された昆布は、函館や松前から船で越前地方に運ばれ、そこから京都に送られました。現在「昆布ロード」と呼ばれる、この日本海の航路は、海上交易が盛んになった江戸時代には、下関や大阪、九州、さらに沖縄、中国大陸へと延びていきました。
 現在も昆布の約90%は北海道で生産されていますが、最も遠く離れた沖縄県で大量に食べられているのは、「昆布ロード」の歴史がもたらした意外な事実です。

栄養面でもまさに体が「よろこぶ」健康食材

 昆布はその旨みだけでなく、栄養学の観点からみてもバランスの良い食材です。海の中のミネラルを吸収して育つため、カルシウムや鉄分、ナトリウム、カリウム、ヨウ素などが豊富に含まれ、そのうえ低エネルギー。また、昆布のヌルヌル成分も、実は体に大切な食物繊維の一種。健康的な生活のためにも上手に食卓に取り入れたいものです。

食べ方や利用法も地域によっていろいろ

 さて、ひと口に昆布といっても種類は様々です。香り高い高級なだしが出る真昆布や羅臼昆布、澄んだ風味の利尻昆布、煮込むと美味しい日高昆布や長昆布などがあり、さらに生育する浜や等級などによって、細かく分類されています。面白いことに、食べ方や利用法も地域によっていろいろ。「昆布ロード」の中継地には、福井のおぼろこぶ、富山の昆布じめ、京都の湯豆腐、大阪の佃煮、沖縄のテビチリ(沖縄風おでん)などがあります。
 また、だしを取った後も、捨てずにひと工夫。旨みと健康成分を無駄なく美味しくいただきましょう。


今月のレシピ

昆布をより美味しくいただくための知恵

厚さと色が見分けるポイント

 よく乾燥していて、肉厚で、緑褐色のツンとした香りの良いものを選びましょう。黄色っぽいものや黒すぎるものも味が落ちます。乾燥したところに保存すれば、長期でも風味は保てます。15cmくらいの長さに切って缶の中に入れておくと、使いやすく便利です。
 なお、昆布の表面の白い粉はカビではなく、旨み成分の結晶。水洗いすると流れ出てしまうので、固く絞った濡れぶきんでさっと表面を拭く程度で使いましょう。


だしを取った後も美味しく活用!

おにぎりやお茶漬けの具に大活躍「塩昆布」

  • 1.昆布ははさみで細切りにして鍋に入れ、浸るくらいまで水を入れる。しょうゆ、砂糖、みりん、酢をお好みの分量で加え、落としぶたをして弱火で煮詰める。
  • 2.水分が少なくなったら、焦げつかないように時々木ベラで混ぜ、水分がなくなったら火を止める。冷まして、粉末のかつお節をまぶし合わせる。

3分でできるスピードメニュー「佃煮」

  • 1.昆布は1~3cm角の大きさに切り、フライパンでしょうゆ、砂糖、みりん、酢をお好みの分量で加えて炒める。
  • 2.かつお節をからめたらできあがり。お好みで山椒などを加えれば風味がアップ。

ゴマや海苔を加えオリジナルの味に「ふりかけ」

  • 1.昆布ははさみで小さく切り、カラカラに乾燥させる。
  • 2.フードプロセッサーで粉末状にし、炒ったかつお節を加えてさらに回す。
  • 3.お好みでゴマや海苔、七味唐辛子、松の実、ミカンの皮の粉末などを加えると、さらに美味しい仕上がりに。